ハルの冒険

第40話ハルが森に帰った後のモーリスト国なの

ハルは帰ったか…

しかし信じられん光景じゃった。

天災、災害クラスの魔物の中にルが駆けて行くと、巨大なトラの魔物の背中に乗り、わしに向かって叫び帰って行った。信じられん光景じゃった。


この後、今回の件の首謀者モルソン侯爵、コート男爵を捕縛、国の貴族裁判でモルソン侯爵、コート男爵の数々の犯罪が明らかになり、モルソン侯爵領地は取り上げ王国の管理地となった。


同じくコート男爵の領地も、取り上げとなり国の管理地となる。

モルソン家コート男爵家は、取潰しになりモルソン、コート共に斬首となった。


今回の最大の功労者ミリア・シトラスは、爵位を与えられ王国管理地になっていた、旧モルソン侯爵領コート男爵領統合した領地をそのまま与えられた。


ミリアは一旦断ったが、モルソンとコート達の悪政に苦しんだ領民のために、引き受けることにした。


☆・☆・ハルが森に帰り数年の歳月が流れた


ミリアはその後悪政に苦しんだ領民のために税制の改革し、悪政で職を奪われ、家を取り上げられたスラム者達の、救済のため職を与えた。

そして仮設住居を作り、公共事業、教育と力を入れココストの町は大きく変わって行った。


モーリスト国も変わった。貴族監視院と言う部署を作った。

モーリスト国を治める、大小20の領地を管理運営する貴族、それを監視監督する新たな部署、その責任者に、シリウスが任についた。

そして監視には、シトラス家の持つモーリスト国の情報網を利用した。


モーリスト国内も大きく変わり、借金奴隷制度の廃止、法律の取り締まりは、新たに創設された、国家治安部が行うことになった。

その結果、貴族の横暴な行動の取り締まり強化により、住民の不満の減少、犯罪の減少にもつながった。


モーリスト国が、一番力を入れたのが教育だった。

孤児も含め貧しい農村の子供にも、教育を施すその費用は全て国家が負担した。


教育は全て無償とした。この制度が始る前のこの国の識字率20%だったのが、今や60%を超え国の経済にも、大きな影響をもたらした。


☆・☆・☆


一方ハルの行方を追って旅をしていた轟たちは、レストル国、キリキス神聖国、とタイセル国に隣接する国々を回る。

そしてハルが数年前に訪れたと言うシトラス伯爵領にたどり着いた。


8人はこの地を起点に冒険者活動をしていた。

その内の一人サクラは、隠蔽と影縫スキルを習得スキルレベルも上がり、ヒナタも状態異常を完全に回復するリカバリーのスキルを習得、スキルレベルも上がった。

そして、目的通り召喚され今もタイセル国に残る、女子のクラスメートの奈々達を救いに旅だった。


「サクラ、ヒナタ任せたわよ、残ってるクラスメートは、あなた達が一番仲良しだったから、任せるけど絶対無理したらダメよ!」


ルナの言葉に答えるサクラ


「やっと解除できるまで頑張ったもん、早くユイやシオリ達を助けたい!

今は奈々が頑張ってくれてるけど、最新の情報では、タイセル国が戦争の準備をしてるらしいから嫌な予感がするの」


ルナは頷く


「わかった、私達は、先生の情報を引き続き調べるから」


こうしてサクラとヒナタは、奈々達残りのクラスメートの救出に向かった。


ルナ達は、冒険者ギルドでの依頼がきっかけで、シトラス伯爵がハルと強い結びつきがあるのがわかり、現在は専属の護衛兼冒険者としてシトラス伯爵の屋敷に間借りして生活していた。


領主ミリアは気さくに話すことができ、ルナ、カエデ、レンゲ、ユリ、スミレ、レナと呼ばれるくらいになっていた。


今日はミリアが、ここの領主になったいきさつをルナたちに話すと、ルナたちは全員顔を見合わせ頷く


「あのミリア様、そのハルって女の子を助けたのがきっかけでこうなったと」


ルナの質問に頷くミリア


「そうよ、あの子はホント不思議な子だったわ、この屋敷の庭に巨大なプラムの木があるでしょ?

あそこで木に寄りかかるように倒れていたのよ。

もうそれは酷い状態でね…

私たちがその子に近づこうとしたら、そのプラムの木が地面から枝葉が現れ、その子を隠すように守ったのよ。

ホントビックリしたわ」


ルナ達は、その話に驚く


「そんなことって起こるんですね…」


ミリアは、ハッキリ否定する。


「何言ってるの、普通は起こらないわよ!

でもあの子は違った…

私が、プラムの巨木に、必ず助けるからって祈ったのよ。

そしたら枝葉がわかれて、その子が確認でき近づくことができたの、その子は瀕死の状態だったわ」


ミリアは、その時の状況を思い出すように話す。

その表情は悲しげで、今にもなきだしそうだった。


「それから家の者総出で、その子のためにいろいろ尽くしたけど、ほんと酷い状態だったのよ。

生きてるのが不思議なくらい…

傷と出血がひどくどうにもならなかったわ、

最終的に、私が以前たまたま手に入れた、秘薬ハイポーションを飲ませて回復したわ」


ルナ達は、先生が助けられた事を喜んでいた。

『よかった先生が死ななくて…』


ミリアが、ルナ達の様子を見ながら話を続ける。


「それから、その少女を捕らえ虐待していたと言う侯爵が、兵をあげて攻めて来て、それを王国軍が退け、国王自らミリアに頭を下げ感謝された。

その理由がミラーレ大森林の、全ての魔物の女王ハルを救ったからだと…

ホント驚いたわよ。

あのハルちゃんが、ミラーレ大森林の魔物達の姫だったなんて…

それからその褒賞として爵位とこの領地を任されたのよ」


ルナ達は、話を聞いて思った。

何か凄い展開・・それに魔物の姫って、いったいどんな経験したの先生…


「たぶんあの時、私たちに手紙をくれ警告してくれた少女、先生の記憶を持ってる女の子が生きていた。

もう一度会いたい…会ってちゃんと確かめたい」


私たちは、ミリア様の話しを聞き6人は涙を流してた。

大好きだった先生の記憶を持ち、私たちに注意をしてくれた女の子…

先生は、どんな時でも優しい人だったんですね。



私たちのつぶやきを聞いて、ミリア様は驚きのことを告げる


「だったら会いに行く?あなた達のその思い、ハルちゃんに伝えてあげなさい。多分会えると思うわよ、私とエリアがいればね。ウフフ…」



私たちはすぐ返事をした


「「「「「お願いします!」」」」」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る