第39話ハルはミラーレ大森林に帰るのです

プライム陛下と別れたシリウスは、マエラの部下の案内で部隊を進めモルソン達を包囲する。


「シリウス王子完全包囲完了しました。」


シリウスは、部隊に激をとばす


「よし!皆よく聞け!今よりモルソン侯爵とコート男爵を捕らえる!

いいか、くれぐれもシトラス家の者を攻撃されるような事があってはならん!

特に中にいる少女は命に代えても守れ!少女が死ねばわが王国は滅びると思え!閃光のジド!」


どこからともなくシリウスの前に現れる一人の男


ストッ!

「ここに!」


シリウスは、現れたジドに指示をする。


「お前は部下を連れモルソンの包囲網を突破して、シトラス家に入り、中の者を守れ!

特に少女の警護は女の部下にさせるんだ!

いいか、絶対少女は死守しろ!いけ!」


「お任せを!」


シュン


…………


ジドは、部下達に命令する


「護衛対象はシトラス家全員だか、特に少女を最優先だ!

パルモとマリモは、何が何でも銀髪の少女を守れ!」


「「はい!」」


「皆いくぞ!」


シュン

…………


ジドの部下数名は、モルソンの包囲網を潜り抜け無事シトラス家の潜入に、成功する


ミリヤが屋敷の中の雰囲気が変わったのを感じ警戒する。


「誰です!」


ミリヤの声に応じ姿を見せるジド達


「モーリスト国所属暗部閃光隊ジドと言います。

このたびシリウス王子の命で、皆様をお守りするように言われました。

これより我ら閃光隊、この屋敷に侵入してくる敵を殲滅し、皆様をお守りいたします。」


その言葉を聞きシトラス家の者達は安堵する


「私達は、助かるのね。」


ジドは、ミリヤの言葉に答える


「は!我ら命に代えてもお守りいたします!」


それを聞きミリヤ達は安堵する。


その頃モルソン達は、魔物の襲来に加えて、王都の兵士が現れた事に驚いている。


「モルソン様大変です。周りを王都騎士団に囲まれています!」


モルソンは驚く


「なんだとー!何故ここに王都騎士団がいるのだ!」


シリウスがモルソンに向かって叫ぶ!


「私はシリウス、プライム国王が命により、モルソン侯爵及びコート男爵を我が国の最重要要人の虐待及び殺人未遂、我が国の条約違反、住民からの徴収税隠蔽違反で捕縛する!反論は王都貴族裁判で述べよ!」


モルソンは、王都騎士団が出て来た事で、かなりヤバイと悟る。


「くそ!全部あのチビのせいだ!コート!お前はシリウスを殺せ!儂はシトラス家を全員殺す!やれ!」


コート男爵は抵抗を試みるも、シリウスの部隊に捕縛され、モルソンの部下はジトと王都諜報暗部の部隊に捕縛された。


モルソンは最後までくそチビと叫びながら暴れ抵抗したが、ジトにより拘束された。


モルソン達がシリウス達の兵によって鎮圧された頃、プライム国王が到着した。


プライム国王は、連行されるモルソン達に


「モルソンよ!お前達の犯した此度の件で王国存亡の危機を引き起こしたのだ!

お前達の悪事の証拠もはっきりと残っておる!覚悟せよ!厳重に警備して連れて行け!」


モルソン達は、うなだれ連行されていく

シリウスは、プライム陛下の無事な姿を見て喜ぶ


「父上無事だったのですね、よかった!本当によかった」


プライム陛下は、シリウス達にシトラス家の者に救われた事を伝える


「儂は、このシトラス家の者に救われたのじゃ!いや、王国が救われたと言っても過言ではない!」


国王はシリウスを連れてシトラス家を訪れた。


「この家の主はおられるか?」


「はい!私でございます、ミリア・シトラスと申します、お久しぶりですプライム陛下」


プライムは、声の主ミリヤを見る


「おお!やはりお前であったか!」


ミリヤは、プライムがコストコまで来た理由を尋ねる


「陛下自らこの地に足を運ばれるなんて、どうされたのでしょうか?」


プライムは、モルソン達の起こした大罪を伝え駆けつけた事を伝える


「こたびのモルソンの馬鹿どものことで、自ら兵を率いて来たのじゃ!ずいぶんとミリアにも迷惑をかけた、申し訳ない」


ミリヤは、モルソンの兵士から救われた事にお礼を述べる


「いえ!そんな、私こそ助けて頂いて感謝しております、ありがとうございました」


プライムはシリウスに目配せをし、態度をただし、ミリアに敬意を示し深々と頭を下げる、


「此度の件、ミリア・シトラスの行動で我が王国は救われた!瀕死だったハル殿を、手厚く看病し、貴重な薬を使い、見事回復させてくれた。本当に感謝する!後に王都で報奨を渡したいので来てほしい!」


ミリヤは、当然の事だと伝えハルの事を質問する。


「私は人として当たり前のことをしただけですわ、それより、このハルちゃんって何者何ですか?」


プライムは魔物の行動を説明しハルがどういう存在なのか説明する



「ハル殿はミラーレ大森林の多くの魔物達が慕う姫、全ての魔物の女王のような存在、見たいなのじゃ…

事実儂も信じられんかったが、ミラーレ大森林から多くの魔物達が集まり天災、災害級クラスの魔物、喋る魔物が現れそれらが統率されているあり得ない光景じゃった。

そのリーダー的しゃべる魔物がミラーレ大森林の魔物を統べる姫だと言ったのじゃ!

それらがハルを取り戻すために集まった行動だったのだ」


ミリアや後ろに控えたメイドは、話を聞き驚く


「ミラーレ大森林の姫ですか…

信じられないような事ですね。多くの魔物から慕われる姫様だと、なるほど納得しました。

それでですね、小さな魔物からこのような物を頂きました」


プライムは、尋ねる


「魔物から何をもらったのじゃ!」


ミリアがプライム国王に加工された結晶石を見せる


「ハルちゃんが教えてくれたんですが、ミラーレ魔光結晶石って言うらしいの。

何でもハルちゃんの魔力が込められてるから、ミラーレ大森林の中に入っても魔物に襲われないし、何かあっても守ってくれるらしいの」


プライムは、驚く


「なんと!また凄い物を…それは恐らくミラーレの魔物達の感謝の現れだと思うぞ!大切にするといい」


ミリアは、頷く


「はい!我がシトラス家の宝にしますわ」


プライムは、騒動の元になったミラーレの姫に会わせてほしいと、ミリアに頼む


「うむ!それでじゃ、儂もそのミラーレの姫とやらを見たいのじゃが」


ミリアは、微笑み部屋で遊ぶ少女を示す


「あぁ、それなら、うちの娘と遊んでる髪の長いあの子ですわ」


ミリアが示した方向に二人の少女が仲良く遊んでいた。

プライム国王は仲良く遊んでるハルに近づき、挨拶をする


「お嬢ちゃんはハルちゃんでいいのかな?」


プライムが声を掛けると

「は・はい! 」


ブルブルブル


ハルはプライムが近づくと怖くて震えてだす


そんなハルを見たプライムは、ハルの前に膝を折り、ハルと目線を合わせ優しくゆっくりと話しかける


「ハルちゃん、ここに来るまで怖い目に合って、痛かっただろう辛かっただろう… ごめんなのじゃ」


ハルは目の前の偉い人が立ったままではなく、ハルの目線まで膝をつきかがんで、優しく語り涙ぐみ謝っているのを見て驚いている


「おじさまハルのために泣いてくれてるの何で?おじさまは誰なの?どうして」


「爺は、この国の王で一番偉いのじゃが、爺の国の悪いやつが、ハルちゃんに痛いことさせてしまったのじゃすまぬ。

ハルちゃんが、怖くて辛い思いしてるの知らなかった。

ほんと何が王じゃ!このダメな爺をハルちゃんが叱ってくれぬか」


嘘、王様って一番偉い人なのに、ハルのために泣いてくれてる。

ハルに叱ってくれって… 偉い人にもこんな優しい人いたんだ。

ハルのことわかってくれる人だぁ、それにこの人の魔力優しい感じがする


ハルは、身体の震えも止まり、プライム国王に近づき抱きつく


「ハル凄く怖くて痛くて…グスッ うわーーん

うわーーん 助けてくれてありがうなの 」

プライムは、優しくハルの頭を撫でながら話しかける


「ハルちゃんに悪いことした人は、ちゃんと罰与えるから、もう大丈夫じゃから安心したらええ」


「グスン… うん あいまと おじいちゃん」


プライムは、ハルに悪い人間ばかりだけじゃないからと話し森に、ハルの事心配してる仲間が待ってると話す。


「ハルちゃん、が怖い思いをしたこの国には悪い人ばかりではないから、このシトラスのお家の人達のように、いい人もいるからまた遊びに来てほしい。

それでの、ハルちゃんのことを心配して森で待ってる者が、おるのじゃ、儂が送って行くから一緒に戻ってくれぬか… 」


ハルは素直に頷く


「わかったの♪一緒に行くの!でもハルと手を繋いでくれないなら行かないの」


ハルに認められ嬉しそうにするプライム


「そうか♪こんな爺でも手を繋いでくれるか、嬉しいのぉー」


ハルは自分が怖がる理由を話し森に行く事を伝える


「おじちゃん、ほんとに国王様?ハルはね、偉い人にいっぱいひどいことされたから、偉い人が近づくと、怖くて身体が震えるの…

でも国王おじちゃんは大丈夫なのです!森まで連れてって国王おじちゃん♪」


プライムは、ハルの回りに集まったシトラス家の者にお礼を言うように促す


「ハルちゃん、その前にこのお家の人達にお礼を言わないとな」


ハルはミリア達を見渡しお礼を言う


「あ!そうなの!ミリアさんハルを助けてくれてありがとうなの、また遊びに来てもいいですの?」


ミリアは、微笑みながら答える


「もちろんよ!エリアも楽しみにしてるから来てあげて」


ハルも嬉しそうに答える


「うん♪ 森のハルのお家にも遊びに来てください!エリアたんまたなの!」


エリアは、少し寂しそうに手を振る


「ハルちゃんまたね♪バイバイ!」


プライムは、ハルの手を取り言葉をかける


「じゃ行こうかの!」


「はいなの!」


シリウスは、プライムに自分も同行を申し出る


「父上、私も同行しましょうか?」


プライムは、それを断る


「ならぬ!ハルちゃんが怖がっておる!心配せずとも大丈夫じゃ!

森の入り口には儂一人で行く!皆もついて来ることはならん!」


こうしてプライム国王は、ハルと手を繋ぎ魔物達の待つ森へハルを連れて行った。



ハルは、プライムから手を離すと森に向かって走り出した。

魔物達もハルが走って来るのを見て、災害級の魔物達も森から出て来てハルを迎える。

ハルも大きな魔物達が出て来るのを見て、魔物達に向かって走っていき、魔物に飛びつく。


魔物達もハルを傷つけないように優しくハルを渡し合ってハルの無事を喜んでいる

ハルの嬉しそうな声が響き渡りハルの様子を見ていた者達にも聞こえる。


国王は一人城壁の外でその信じられない光景を見ていた。


『ほんとにあの子は、ミラーレ大森林の姫じゃった…SSクラスの魔物がハルを大事そうにしている…』


シリウス達も城壁の上からその光景を見て驚く


『ほんとだった…災害級の魔物が小さな少女を抱き抱え、それを同じクラスの魔物に優しく渡してる…

ほんとに大森林の姫なんだ…』


暫くして落ち着いたのか、ハルが一匹の巨大なミラータイガーに乗って、プライムの近くまで歩いて来る


「おじちゃん国王様、また遊びに来るね。バイバイ!」


ハルは、ミラータイガーに合図すると魔物達の待つところに戻って行く、

ハルは、ミラータイガーの背中の上から

手を振り森の中に消えて行った。


ハルが魔物と共に消えた森を見つめていると、森の中からハルの元気な声が聞こえた


「おじちゃん国王様ぁー♪またなのーー」

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