第36話ハルは人を信じたいのです
ハルが逃げた場所は、ココストの町の古くからある大商人のお家だったのです。
「お母さん!誰かプラムの木のところで倒れてる」
娘に言われ庭を見ると、木に寄りかかるように倒れてる少女がいた、近づくと、信じられない光景を目にする。
プラムの巨木がその少女を隠すように、地面から枝葉が伸び、少女を隠してしまう
カサカサカサ
「え?嘘でしょ………」
その光景を見た、エリアも驚き
「お母さん凄いの、あの子は妖精さん?木があの子を守ってるみたい」
しかしこんなこと初めてだわ、古くから続くこのシトラス家の御神木として、大切にお守りしてきたけど…
御神木には、精霊様でもいるのかしら、ほんと凄いことが起こってる。
あら?あの子凄い怪我してるじゃない!助けてあげないと、でも枝葉が邪魔で近づくことができないわ、ためらってる場合じゃないわね
私は木の前に膝まずき両手を合わせ目をつむり静かに木に話しかけた
『私は、あなたが大切に守ってる少女を助けたいの、このままじゃあの子死んじゃうわ、私達を信じて、お願い…』
すると少女を隠していた枝葉が左右に分かれ、少女の姿が現れる、私は急いで少女にかけより状態を確認する
これはひどい…酷すぎる… 背中はまるで何かですりおろしたようになってて、とても見ることができる状態ではなかった。両足も腱が切断されていて、歩けないようにされ、腕には何ヵ所も刃物で刺した後があり血が今も流れ続けていた。
私は少女を抱き上げると、プラムの巨木の枝葉がざわざわする
『大丈夫よあなたが守りたい人、絶対死なせないから、あなたは長い間私達シトラス家を見守ってくれたわ、今度は、私達があなたのためにさせてもらうわ、だから安心して』
プラムの巨木のざわめきも収まり、私は急ぎ家の中に入る
娘はお湯を作り綺麗な布を持って来る
私の行動に、3人のメイドもてきぱきと動き、傷ついた小さな少女の身体についた血をお湯できれいに拭き取り、刺さってた小石やトゲも手分けして取り除き、ベッドに寝かしつけた。
「ダメね血が止まらないわ、それに傷も深すぎるわ、このままでは死んでしまう、何とか助けてあげたい… 何か方法はないかしら あ!」
私は、以前もしものためにと大金を使い、幻と言われた秘薬のハイポーションを手に入れていたのを思い出した、急いで保管庫に取りに行った。
娘とメイドが持ってる薬を見て驚く
「お母さんそれ高いお薬でこの家のお宝でしょ」
「奥様それは、白金貨30枚もする秘薬ではないですか!よろしいのですか?」
私はこの秘薬を使う必要性を話した。
「何言ってるの!この時に使わなくていつ使うの!それにこの子を助けることで、私たちが救われるそんな気がするの」
私は、少女にハイポーションを飲ませようとするが、少女は体力もなく口すらあけることができない状態だった、私はハイポーションを口に含み少女の口を開き口移しで飲ませた、しかし喉が動かず口に含んだままで、なかなか飲んでくれない、私は舌を奥まで入れていった、お願い… 飲んで、すると少女の喉が動く
ゴク ゴク
少しずつ回復し喉が動くようになる、私はハイポーションを口に含み飲ませ続けた。
すると薬の効果で、少女の身体は光り、身体の傷がみるみるふさがって行く!
背中の削れた皮膚も綺麗に再生され、暫くして光も収まり、全ての傷はふさがり回復して静かに眠る少女の姿があった。
私は少女の傷が消え綺麗な姿になって眠ってるのを見て安堵する
「よかったわ、ほんとによかった…」
娘は少女の傷が消えたのを見て尋ねてくる
「お母さん、この子もう大丈夫なの?」
「ええ、呼吸も安定してるし大丈夫よ」
娘のエリアが少女に寄り添い私を見て言って来る
「お母さん、エリアこの子が起きるまで看病してる」
私は頷く
「エリアお願いね」
☆☆…☆…☆
その頃モルソン侯爵家では………
執事の男が倒れてた主人を起こし話しかける
「旦那様…大丈夫ですか…」
モルソンは、気がつきよろよろ起き上がる
「うう… くそ!あの娘!絶対なぶり殺す!コート!いつまで寝てるんだ!」
ドカ!
モルソンに蹴りを入れられ気がつくコート
「うう… モルソン様、申し訳ございません、まさか魔法使って来るとは」
モルソンは、怒りが沸き上がり部下達に指示をする
「おい!ガトー!屋敷の警備兵それに町の守備兵も全員集合させろ!」
執事は、モルソンに言われすぐに動く
「わかりました旦那様すぐに!」
コートは、これからどうするか尋ねる
「モルソン様どうされるおつもりですか?」
モルソンは、怒りがおさまらず、町で隠れてる闇ギルドの名前までだす。
「決まっておる!あのくそチビを探し出してなぶり殺す!お前も闇ギルドに行き兵士を集めてこい!」
コートは、この町で秘密裏の存在になってる闇ギルドに向かう
「はい!すぐに行ってまいります!」
☆……☆…………
ガヤガヤ…
ガヤガヤ…
こうしてモルソン侯爵邸の前には、500人の兵士が集まっていた。
「よく集まってくれた。お前達には今からこのモルソンを殺そうとした重罪人を探してもらう!見つけた者には褒美を与える!行け!」
モルソンの屋敷に集まった500人の兵士は、8歳で銀髪の傷だらけの少女を探しに、数十組かに分かれ町の中に散って行った。
ココストの町は、兵士が血眼になって一人の少女を探していた。
必死に探す兵士のせいで、ココストの町は大騒ぎになっていた。
兵士は、無理やり家の中に入り込み、乱暴に調べ始めたから、住人とのトラブルも多数発生してた。
そして一つの捜索チームが大きな屋敷の前に立っていた。
「俺たちのエリアでは、ここが最後だ!シトラス家か、侯爵様の行動にずっと反対してる商人だったな、よし調べるぞ!」
チームリーダーが屋敷の門を叩いた
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