第27話牡丹鍋がクポルの名物になったの
アリス王女がクポルの町を目指してる頃、クポルの町はちょっとしたお祭り騒ぎになっていた。
ハルちゃんが作った貯蔵庫ちょっとひんやりしてて、中には氷魔法で作った氷塊が置かれてて、中はハルちゃんが倒したワイルドボアの肉、ファイアバッファローの肉が解体され吊るされていた。
何でも肉は、何日かたってからの方が、美味しいってことらしく、解体してすぐの肉と、貯蔵庫で3日たった肉を比べてみると全然違うことに驚いた。
なんでそんなこと知ってるのか聞いたら、おばあちゃんに教えてもらったって言ってたけど、あの子両親いないみたいだし、自分で試したのかな?
それにあの子の作った料理、無茶苦茶美味しいのよね。
この前戻ってきてから、ギルドの食堂で、あの子の料理を公爵令嬢のカエラ、メイドのミラル、ギルマスのフェアリー、サブマスのバニラ、ギルドスタッフのキールの5人で食べた時も皆あまりの美味しさに驚いたもんね。
「「「うわーー!美味しい」」」
「はじめて食べる味だー!」
「ハルちゃんの料理凄く美味しい」
って叫びながらばくばく食べててたよね
ハルちゃんが言うには、本物の牡丹鍋は違う調味料使い、食べ方も違うらしいのだけど、それがないからアレンジしたって言ってたけど、今まで私が食べた料理の中では、比べ物にならないくらい美味しかったわ
カエラお嬢様なんか、完全にハマってるし、ギルマスなんかしゃべらず、夢中で食べてる
この料理こんなに薄く切ったボアの肉を、香草とボアの骨を乾燥させ少し火であぶったのを鍋に入れ、岩塩で味を調えた、そのだし汁の中に肉を色が変わるまで浸してから、ハルちゃんの手作り調味料ゴマダレをつけて食べる
パク!
「ほわーナニコレむちゃ美味しい」
この時たまたまギルドに来てた町の領主がその様子を見て自分も空いてる席に着き食べ始めた。
領主もあまりの美味しさに、声を上げて叫んでいた。
領主がこれを食べクポルの町の名物料理にすると宣言した
その翌日には領主主催で多くの町民が集まり、領主が料理の説明をし、その後町民全員に牡丹鍋が提供され、町民もあまりの美味しさに、多くの者が驚きの声を上げていた。
この件があり、クポルの町の名物料理になった。
牡丹鍋は、その食材がギルドの常設依頼に上げられ、肉の貯蔵庫の増設と貯蔵庫管理する仕事は、商業ギルドが請け負い、町ぐるみでの取り組みとなった。
もちろんこの料理を作ったハルちゃんの名前は、伏せられることになり、料理の権利レシピは、ギルドで保管することになった。
ギルド食堂で提供されていた牡丹鍋は、その後クポルの多くの食堂、宿に広がり多くの場所で、食べられるようになっていった。
ハルは最初味噌を使って、作るつもりだったが、味噌が手に入らず、諦めしゃぶしゃぶ料理に変えたのだった。
あぁあ~、あれ牡丹鍋違うのにーしゃぶしゃぶって名前なのに、訂正してくれないの…
ハルは、今日ギルドマスターさんに呼ばれたのです。
『なんだろう?お願いしてた調味料でも手に入ったのかなぁ…』
ギルドの受付には、バニラお姉ちゃんがいました。
「ハルちゃん待ってたわ、こっち来て」
ハルは、お姉ちゃんの後をついて行ったのです。
「マスター連れてきました。」
ハルがギルドの応接室に入ると、カエラお姉ちゃん達がいました。
「ハルちゃんは、鍋大会のあと、どうしてたの?」
ハルはウサギと戯れてたことを話す。
「ウサギさんと追いかけっこしてたの」
「ミニロップかな?あれ小さくて可愛いしなかなか早いでしょ」
「違うのです。ホーンロップなの♪青いお目目と大きなポフポフしっぽあるのです」
再び静まるマスタールーム
【ホーンロップ討伐難易度Sクラス】
強さは大したことないが、素早さが半端なく、魔法や矢はまず当たらない、素材は全て超が付くぐらい重要で角は、薬になり、毛皮は癒し効果があって、枕や寝具に加工され貴族や王族用に取引される。
肉はその味は癖がなく非常に美味と言われている。
その1匹の取引価格は、状態にもよるが最低白金貨数枚と言われている
バニラが尋ねる
「あのね、ハルちゃんそのウサギってこの近くにはいないよね。どこに行ったの?」
ハルは見つけた場所を話す。
「ミラーレ大森林の入り口の辺なの、追いかけっこしたら、すぐ眠くなって木の上で寝てたの」
「あの後見ないと思ったら森に行ってたのね。
それでウサギさんといっぱい走って疲れたのね。
ハルちゃん独特の身体の制限かな」
「知らない・・なんでかわかんないけど、眠くなるのです。
でも生意気にハルに攻撃してきたから倒したのです!
そしたら仲間がいっぱい出て来てハルは攻撃されたのです。
痛かったのです、怖くて逃げたのです」
倒したと聞き聞いていた者は驚く
「嘘ぉーー倒したぁーー!」
「えーーーー!倒したの!」
バニラがギルマスに尋ねる
「フェアリー様ホーンロップって集団で人襲うんですか?」
「そんなの聞いたことない、何せ討伐例がほどんど上がってないんだ。
たまたま魔物同士の争いとかで死んでるのを、状態確認して持ち込まれるくらいだ。
私もまだ見たことがない貴重な魔物だ。」
バニラがハルにお願いする。
「ハルちゃん、お姉ちゃん達にそのウサギ見せてくれるかな」
「ウサギ出したら、ハルを捕まえたりしないです?」
「そんな事ギルマスの私がさせないから、見せてほしいのじゃ」
ハルはバッグからウサギを出して、みんなの前に置きました。
〈コトン〉
「おお!間違いない!ホーンロップじゃ!しかも傷がない超綺麗な状態なのじゃ、これどうやって倒したのかなハルちゃん」
「え?一緒に走って水球作って中に閉じ込めて窒息させたの」
グレープは倒しかたに驚く
『はぁ?嘘でしょ!あり得ないわよそんなの…』
フェアリーも驚く
「一緒に走ってって嘘でしょ」
しかしこの子は相変わらず凄いわ
ハルは、呼ばれた理由を尋ねる
「あの・・なんでハル呼ばれたの、ハル何もしてないのに」
「そうですね私も呼ばれましたね」
ギルマスのフェアリーは、思い出したように話す。
「そうだ!本題じゃ、君たち二人が持ち込んだ貴族の王女暗殺計画書類を取りに、王女様一行がここに向かってるらしい、ついては、君たちにその時立ち会ってもらいたいのだ」
王女の言葉を聞いてハルは、一気に嫌になり断る
「ハルは嫌なの!冒険者にもなれたからもういいの、お家に帰る」
まさかの面会拒否発言にフェアリーは驚き引き留める
「待ってくれ!王女様一行は明日には着くはずだ。だからもう少しだけ頼むハルちゃん」
「嫌なの!ハルは王女様とか王様とか大嫌いなのです!嫌なのです!帰るのです!」
ハルが帰るっていう場所をフェアリーは尋ねる
「ハルちゃん帰るってどこに?」
「森の奥にお家あるのです!そこに帰るのです!鳥さんもお留守番して待ってるのです!」
またこの子のことだから、ほんとに森の中に住んでそう…
まさか大森林の深層じゃないよね。
なんか凄い場所に住んでそうなんだけど…
それに鳥?ミラーレ大森林にいる鳥って魔鳥よね、聞くのが怖い気がするけど…
ハルちゃんが、帰る態度を変えないのを見て、引き留める強硬手段を取る。
ギルドマスターが立ち上がりハルに強い口調で言い放つ
「ハルちゃんどうしてもダメなのか!なら冒険者カード返しなさい!
言うことを聞かないなら資格はない!」
今まで優しく接してくれてたギルドマスターの突然の強い言葉に、ハルちゃんは驚き、泣きだした
「ひぃっ!……… グスッ うわーん うわーん うわーん 」
バン!
「うわーーん」
ガチャ
わーん
ハルちゃんは泣きながらギルドカードを取り出しテーブルの上に置き、そのまま走って部屋を出て行った。
バタン
あまりの出来事に、誰も動くことができなかった。
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