第20話冒険の始まりなのです

ハルちゃん、この道を進めば村に着くわよ、


「わかったの、走るのです」


「ハルちゃん?走るってどれくらいあるかわかってるの?100kmよ」


「はいなの!ゆっくり走ったら大丈夫なの」


「えー!本当に走るの?大丈夫?お姉さんはAランク冒険者だから行けるけど」


まぁこれで実力わかるからいいかな…


「行くのです」


ハルがグレープが思った速度以上に走り出す


タッタッタタッタッタ………………


この子凄い!これ本気で身体強化しないとついていけない


暫く走るとハルが前方を指さす。


「お腹すいたから、あそこでご飯食べるのです」


「はぁはぁやっと休憩、はぁはぁ よかったわ」


え?ここってオロフレロ峠、普通ならこの少し手前で野営になるのに…

まだお昼なんだけど、この子全然疲れた様子ないけど、まさかこのペースでゆっくりなの?


「はい!ハルが作っておいたお弁当だよ」


ハルがバックから食べ物を渡してくる。


「ありがとう♪これは、何て食べ物なの?」



「ブラックファングウルフのお肉薄切りにして挟んだサンドイッチだよ」


あれ?お姉さん驚いてる?サンドイッチって初めてかな?


「え?ハルちゃん今ブラックファングウルフって言った?」


「うん!あとエンペラーグリズリの肉もあるから、こっちは夜ご飯用、このお肉じゅうしいで、めちゃくちゃ美味しいんだよ」


グレープさんが魔物の名前を聞きいて固まってる?

何で?


「え?エンペラーグリズリ」


グレープお姉ちゃんフリーズしてる?


「お姉ちゃん?お姉ちゃん!」


「はぁーあまりの衝撃にちょっと意識が飛んだわ、ごめんなさいそ・そのエンペラーグリズリのお肉是非食べて見たいわ」


『私は耳を疑った、ブラックファングウルフは、群れで行動するから全員Aランクパーティーで対処する魔物。

エンペラーグリズリって完全Sランク対象魔物、それを一人で倒した?

この子の態度から嘘を言ってるように見えないわね。

ほんと信じられないことする子ね』


グレープはハルを見て思う


『この子自分がどれだけ凄いことしてるのか、自覚ないし無邪気過ぎる。

それだけ強いのに何故私達に怯えてたのかしら?

震えてたから、本当に怖くてって感じだったけど、このクエストでこの子の実力がわかるかな?』


お昼を食べて再び走り出した、暫く走るとハルが突然止まる


「どうしたの?」


「この先で誰かが襲われているのです!」


グレープは驚く


「ハルちゃん索敵スキル持ってるの?私も持ってるけどまだ反応ないわよ!どれくらい先にいるのかわかる?」


ハルは考え答える


「うーんわかんないの、でも早くいかないと、反応弱くなってるのです。

ちょっと早く走れば間に合うのです。

お姉ちゃんは後から来て下さい」


ハルはそう言うとすぐに全力で走り出す。


シュン


「え?ちょっとハルちゃん!待って!えーーー!」


『嘘でしょ?もう見えなくなったわ、とにかくこの先見たいだから追いかけないと』


☆・☆・☆・☆

襲撃現場では、護衛騎士達が馬車を守り戦っていた。


「皆防御態勢を崩すな!なんとしても姫様をお守りするのだ!」


兵士が叫ぶ


「盗賊だけじゃないです!魔物使いもいるようです!完全に連携しています!」


ぐわー!ぎゃー!


馬車を守る兵士が次々倒れて行く、魔法攻撃で馬車が破壊される


ドカーン!


「姫様ーーーー!」


「キャーーー!」


襲撃者達が馬車に近づく

「おい!捕らえろ!」


襲撃者の仲間が魔物に命令する

「レイドウルフそいつらを噛み殺せ!」


・・・・


やっと着いたのです。

見つからないように…


『隠影!気配遮断!』


これでハルの存在わからないのね。あの木の上から悪い奴倒すの!


まず、狼倒す!改良したスリングショットにこれを挟んで…


『毒針!』


いっけぇーーー!


シュン!シュン!シュン!

シュン!シュン!シュン!


スリングショットから放たれた毒針は、次々とウルフ達に命中して行く


ザック!ザック!ザック!ザック!ザック!ザック!ザック!


ドサッドサッドサッドサッドサッドサッドサッドサッ


突如倒れて行くウルフ達に、兵士達は驚いている


綺麗な女の子がピンチなのです!させないの!


やっちゃぇーーーー!


毒針!加速!


シュン!シュン!シュン!


ザク!ザク!ザク!ザク!


「ぎゃーー!」

「ぎゃーー!」

「ぎゃーー!」


男達は倒れもがき苦しむ


ぐぁー

ぐぁー

ぐぞぉー誰だ…


姫と呼ばれてた女の子は、連れて行こうとした盗賊達が倒れたのに驚いていたが、護衛の兵士が無事なのを見て駆け寄る


「次はあいつなの!絶対許してやらないのです!」


氷魔法で倒してやるのです!


「アイスランス!アイスランス!アイスランス!」


シュン!シュン!シュン!シュン!


ザシュ!ザシュ!ザシュ!ザシュ!


「ぐぁー」


バタン


「ぐわーー!いったいどこから…」


バタン


「ぎゃー!」


バタン


残っていた盗賊も次々ハルの放つ魔法の前に倒れて行く


ハルは木の上で上手くいったのを見て喜ぶ


「やったのです!ばれてないのです!このまま倒した魔物だけ回収して戻るのです」


姫様よくぞご無事で、生きてる者は姫様をお守りするのだ!


誰が助けてくれたの?もうダメかと思った


兵士の一人が回りを見て驚く


「姫様倒された魔物が消えてます!」


姫に兵士の声は届かず、倒れた兵士の手を握り叫んでいた。


「ロマリオ兵士長ーーー!」


息も絶え絶えの重傷の兵士に必死に呼びかける


「ロマリオ!ダメーー!目をあけなさい!

私を王都に連れて行くまで倒れることは許しません!ぅぅ…」


男は息も絶え絶えに答える


「はぁはぁ…姫様が無事なのを見れて安心しました…

私はここまでです…

はぁはぁ… どうか私を捨てて急ぎ王都にお戻り下さい…」


姫と呼ばれてる人は、手を握り叫ぶ


「そんなこと、できるわけないわ!うぅロマリオあなたは私の護衛なのですよ ! さ・最後まで責務を全うしなさい!死なないでロマリオーー!」


ハルはその光景を見て思う


「あの人助けてあげたいのです。でも姿を現すと、連れていかれそうだから、どうしたら…

あ!この前作ったハイポーションならたぶん助かるかな?

ヤバイの…能力使い過ぎて制限超えたみたいなの…

フラフラしてきたのです。また眠ってしまいそうなのです。これ置いてグレープさんのところ戻るのです」


これ飲ませてあげて、ハルは氷魔法で小さな玉を作り中にハイポーションを入れて、風魔法を上手く使いながら姫様のところへ運んで魔法を解除しました。


兵士は、警戒して姫の前に立ちふさがる


「姫様お下がり下さい!」


「待って!この魔法は、あの盗賊達を殲滅した者よ、今さら逃げても仕方ないわ!」


『これは、何?風魔法によって運ばれて来た物は、何この筒の中に入った液体は…』


この状況を見て送って来たってこと?液体ってことは、回復薬のポーション?

ロマリオのあの傷はポーションでは治らない重傷…でもこのままじゃ助からない…ならこの薬に頼るしか…


「ロマリオ!これを飲みなさい!私を信じて!」



「わか… した」


ゴクゴク


するとロマリオの体が一瞬光に包まれて傷がふさがり消えていく


「嘘!」

「おお!」


そこには先ほどまで瀕死の重傷で倒れてたロマリオではなく、きれいに傷のふさがったロマリオの姿があった。



「姫様、ありがとうございます。どうやら姫様の護衛を続けて行けそうです」


「よかったロマリオ! グスン…王都まで護衛頼むわね」


「もちろんです!しかし姫様、私に使われたのは、幻の秘薬ではないですか?」


確かにあの異常な回復具合は、ハイポーション?

今ほとんど手に入らないって聞いたけど…

それにあの回復の時の光は部位だけでなく全体を包み込んでいたわ。

文献調べないとわからないけど、もしかしたら最高品質のハイポーション?


私達の命を救ってくれた謎のお方、貴方は何故姿を現さないのかわかりませんが、絶対探してお礼をいたしますわ。


私達を助けてくれた方はどういった方なのかわかりませんが、わずかに手がかりはあります、ウフフ


☆・☆・☆

ハルを追いかけていたグレープは、ハルの状態を見てあきれ返っていた


「ハルちゃん!あなたバカなの?」


「ふぇ?」


「ふぇ?っじゃないわよ!今どこで寝てるかわかるの!」


「木の上なの」


「ふーん!私はどこにいるのかな?」


「木の上?」


「よく見て!」


ハルは目をこすりながらグレープを見る


「ほぇ?普通に地面に立ってる?」


「だよね、で!ハルちゃんはどこ?」


「木の上?あれ?えーーー!」


「そうよ!あなたは地面から1mのところの木の枝で寝てたの!

いくら疲れたからって、そんな目立つところで寝てたら簡単に襲われるわよ!

もう少し考えて行動しなさい!」


「ごめんなさいなのです」


本当にこの子は、自由過ぎるって言うのか、本当何やらかすかわからないから目が離せない子ね



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