第19話初クエストなのです

ハルは、冒険者カードを手に持ち跳びはねている


「わぁーい♪やったのです!ハルは冒険者になったのれす!」


ギルマスのフェアリーが喜ぶハルに話しかける


「あのハルちゃん、ちょっといいかな?」


「はい!」


「この薬草なんだけどね、一束だけ買い取りでもいいかな?」


「全部でもいいのです♪もっと出しますか?」


「ハハ…全部はいいかな、とりあえず一つだけ売ってもらって、あとはしまってくれるかな」


「わかったのです♪」


ふぅ…

あと聞いておかない事…


「それとそのバッグなんだが、容量はどれくらい入るんだね」


ハルは少し考え答える


「いっぱいなのです、沢山入るのです」


はぁ何とも曖昧な回答…


「あぁ…沢山はわかるんだが、容量って…

まさかその中に魔物の素材とかも入ってたりとかするのかな?」


「はい!沢山入ってるのです♪」


ギルマスは、ハルの持つ倒した魔物に興味を持った


「やっぱりハハハ…ちなみにだしてもらったりとか、は無理かな?」



「無理なのです!出したら、ハルを捕まえるです。ハルは目立ちたくないのです」


ギルマスは、ハルの機嫌を損ねないように対応する


「ハルちゃん、一匹だけとか、種類とかで出してもらったりとか、無理かなぁ」


ハルもギルマスの柔らかい対応に素直に答える


「ハルを捕まえたりしないならいいのです、でも見せるのここにいる人だけなのです」


「わかったわ約束する」


フェアリーは、気になってるもう一つをお願いしてみる。


「ハルちゃんもう一ついいかな?買い取り所で出した薬草なんだけどもう一つあったよね、それをここに出してくれるかな」


「わかったのホイ!これなのです」


ハルは先ほど出した、ストールトル草をテーブルの上に出した


ホイ!


その場にいた者達は、初めて見る特長のある紫色の薬草を見つめる


「なんだこの薬草は、初めて見るぞ!」


「そうですね、なんなんでしょうか?

私の知識の中にないので、鑑定スキルで表示されません」


「私も初めて見ました、でも特長のある薬草ね」


ハルは長くだらだらした状態に飽きたのかまた、ぐずりだす。


「ハルお腹すいたの、もう帰っていいの?」


「ち・ちょっと待って!」


「嫌なのお腹すいたのぉーー!」


バニラがハルの状態に素早く反応する。


「ハルちゃん、ちょっと待ってね、すぐお菓子持ってくるからね」


ハルはお菓子と聞いて、大人しくなりこの世界の初めてのお菓子にワクワクしていた。


「お菓子♪お菓子♪フンフン♪何かなぁ」


ガチャ♪お持ちしました。


「キークと言って小麦粉と砂糖と卵を使ったお菓子になります、果実水です」


コトッ!


「ありがとうなのー」


サクッ!


「うわーこれ美味しいのです♪」


ゴクゴク


「この飲み物も美味しいのです」


ハルの機嫌もよくなったところで、バニラがハルに質問する


「ハルちゃんちょっと教えてくれるかな?この薬草の名前知ってるんだよね」


「ハル知らない」


バニラは、機嫌を損ねないように様子をみながら慎重に対応する


「ハルちゃん聞いてくれる。今日ここであったこと、絶対誰にも言わないから、ここにいる者だけの秘密にするから、ハルちゃん冒険したいんだよね。

その邪魔にならないようにするし、応援するから教えてくれないかなぁ」


ハルは、ギルマス達を見て少し考え答える


「ストールトル草!」


「ストールトル?なんか聞いたことあるな」


「ハルちゃん、何に使うのか知ってるよね教えてくれる?」


「石化が治る薬!」


あれ?また機嫌悪くなってる?まずいわ


ギルマスも気づいて、私に合図を送ってくる


「ハルちゃん、今日はいろいろありがとう、いっぱい時間とってごめんね。今日これからどうするのかな?」


「え?もういいの?」


「うん♪ありがとう」


ハルは、立ち上がりバニラを見る


「依頼!クエスト受けて見たいのです!」


「OK♪じゃハルちゃんは特別に何でも好きなの受けていいよ」


「え?ランク制限とかあるのです」


「ハルちゃんはギルマスも承認済み、好きなの選んで大丈夫よ」


それを聞いてハルは、クエストボードに行って暫くいろいろ見て戻ってくる


「じゃこれ受けるの♪」


「村を襲う魔物の退治Cランククエストね。いいわよ、でもこの村はここから、馬車で2日かかるよ、大丈夫かな ?」


ハルは、両手を腰に当て胸を張り答える


「困ってる人助けるのです!ハルは大丈夫なのです!」


バニラは、心配事項を伝える


「ハルちゃん、退治したあと、そのまま帰らないでね。完了報告しないとクエスト失敗になるからね」


「わかったのです」


フェアリーとバニラは、グレープに目を向け合図を送る。


「ハルちゃん一応私達もついて行くからね、何かあったら心配だから」


「グレープお姉ちゃんだけなの?」


「そうよ、カエラ様はお留守番、だってこれCランククエストだから、お姉ちゃんがついて行くのよ♪」


「よろしくお願いなのです」


「じゃバニラ、フェアリー様、カエラ様行って来ます」


バタン!


二人は部屋を出て行った。


ギルマス達は、残った者で話し合った。


「さてこれからだが、ハルちゃんのいろいろなことについては絶対他言しない!これは、いいな?」


全員がうなずく


「ハルちゃんの冒険者としての能力は、同行者グレープがチェックしてくれるからいいとして、マジックバッグにあの薬草の量、我々の知らなかった薬草、あの子は何者なんだろ?」


フェアリーが皆に話しかける


「さっき私の鑑定スキルで鑑定したら、レベル5で平均能力値が50って出たが…あり得ん!そんなステータスであの薬草は採取できん!

恐らく隠蔽スキルか何かで誤魔化してる。

そんな事できるとは…驚いたよ」


「そうね、こんなこと初めてよ!」


バニラも頷く答える


「まさかのステータス隠蔽でステータス偽装… してるなんてね。ひょっとしてギルマスより強いんじゃない?」


フェアリーも答える


「ステータス偽装するって事は、その可能性大ね。私単独でミラーレス大森林の奥地まで入れないわ、だからあの子の薬草採取場所が、ミラーレス大森林中層って事なら同じくらいだが、恐らく最奥…」


カエラがハルがギルマスより強いと聞いて驚き疑問に思う


「でもそんなに強いなら何故震えたりしてたのでしょうか?」


フェアリーも頷く


「そうなのよねぇ…私より強いのに怖くて震えるって、わからないわ」


☆・☆・☆・☆


ギルドを出たハルは、いきなり迷子になっていた。


グレープがハルに尋ねる


「あの・・ ハルちゃん?どうしてこっちに来たの?食糧か何か買うつもりだったの?

迷ってるみたいだけど…もちろん目的あっての行動なんですよね」


「アハハ…こっちかなって感じで来たのれす。

ここどこなの?町の出口どっち?出れないのれす」


まさかの考え無しの行動に呆れるグレープ


「えーーー!何か買うのかと思ってました。

はぁ…いいですから、私にについて来て下さい」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る