第6話〜初めての戦闘

独特の浮遊感、壮絶な船酔いをする様な感覚を得てから万華鏡の様な筒を抜けてまっすぐとどこかを飛んでいく。

視界が真っ白に染まると同時に地に足つく感覚が脳裏に走った。

やっぱり慣れない、めちゃくちゃ気持ちが悪い。

両眼を閉じて開いてを少しやると視界一杯に西洋建築が見えた。

やはりディーテールというか、リアリティが違う、著作権ネズミランドに来たみたいでテンション上がるなー。


今日やることは決まってる、まずは。


「ステータスオープン」


眼前に広がるステータスの概要からチームのアイコンをタップ、開いた招待というボタンをタッチし名前を入力。

確か名前は、


「『すけさん』っと」


何故すけさんかはしらん、知ろうとも思わん終わり。

その後何をすればいいのかはまあ大体聞いてる、追加ボタンを押すと名前の下にコンタクトやら位置情報表示などのアイコンが現れた。

なんだこの位置情報表示って。おじいちゃんか、年頃のおじいちゃんか。


確か言ってたのがコンタクトを押せば一時通話がコインを払ってできると言っていた。

十万コイン残っているし、通話料の月五千コインと書かれたのをタップ。


「『アクセサリー商人割引で半額となります』」


「おう運営からも同情されてる気がしてきた......」


とりあえず二千五百コインとなった料金を払うと様々な項目が現れた。

すけさんにコンタクトしますか?とこれまた電話の様に出てきてまあ面倒だが承認をタップ。

月間料金制とか本当にリアルだな。

さすが第二の人生とか謳うだけある。


着信音が少ししてすぐに音声が止まった。


「おー鏡花、お前今どこいるんだ?今見て回ってるんだが見つけられない。幼女ショタって言うサイレントノイズ並みの矛盾を抱えたお前小さすぎない?見当たらないんだが」


「今の俺の身長は百センチ前後だ。舐めんなよ?」


噴水に腰掛け適当に返す。

視界にそれっぽい人影が一つ見える、だがどうやら気付いていないらしい。

それもそのはず結構な数のプレイヤーが歩いているので見当たらないのも無理はないだろう。


「まじか。つうか本当にどこだよ。今俺噴水の前にいるんだが......」


本当に見つけれてないのか。

ここは悪戯しようと背後から近寄ってみる。


「振り返ってみ。笑ったら殺しちゃうぞ⭐︎」


「おう今の録音して黒歴......史......?」


鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔してやがる。

今の浩介の姿格好はなんかめちゃくちゃ強そうな弓に腰に矢筒を。緑色の髪に全身緑色の薄手のシャツにズボン、その上から全身すっぽり隠れるぐらいのこれまた緑色のマント。


「なんだお前の野菜か?萌えキャラでも目指すのか?」


「いっいやまて。お前、っ待て」


「オタク的な待てだな。どうした?」


「赤髪微乳ロリ......いやえくすかりばーはあるんだよな?」


「言い方選べや。レーザーでないぞ」


「特殊性壁のお兄様方が大変好みそうだな。お兄さんがドレス買ってやろうか?」


思いっきり肘鉄しておいた。

普通に防がれたしこっちが痛かった、けっ。




ーー



歩いて移動し街を出た。

結構な広さの街だがゲームあるあるの大通り四本の十字路、直進できて結構早く移動できるので簡単に街を出れた。

浩介曰く街を出てすぐのところに初心者用の狩場があるそうだ。

初心者の街から隣町までの範囲がPK禁止、だいたい隣町まで行ければかなりのレベルになれるし、PKも対応できるとか。

そもそも警備ギルドが見張ってるらしいのだが、まあ今は問題ではない。


で、街を出てきたのだが。


「うぅぅぅぅ!!!ガァァァぁぁ!!!」


ガツガツガツガツ

めちゃくちゃ食われる。

ワンコロにめちゃくちゃ噛まれる、結構痛いがすぐに消えるため問題ではない、だが痛いものは痛い。

このモンスターの名前はブルーウルフ、小型犬ぐらいの大きさでめちゃくちゃ噛んでくる。

視界の端に映るHPバーが半分ぐらいになった。


「うっわお前......はははははは!!本当にアクセサリー商人になってんだな!」


ピュウンピュウンと音を立てて爆笑する浩介の矢がブルーウルフの眉間を貫いた。

クソワンコ共のHPがゼロになり俺と浩介に経験値が入りましたと言う音が鳴った。

チームを組んでるからだろう、因みに俺は噛まれてただけだムカつく。


「見てろよっ!なんとかやってやらぁ!」


お誂え向きに十メートル先に丁度クソワンコが出てきた。

ちょっと離れたところで馬鹿笑いしてるあいつに目に物見せてやる。


大体全力で飛んで十歩ぐらいの距離、指輪二つの使い方は簡単、それぞれの指輪の軌道に指定した名前を口にすればいいだけだ。


まずはダッシュの指輪で接近し毒霧でダメージ、そのまま鬱陶しくうざったく攻撃するのだ。


「このクソワンコめ、お前は俺を怒らせた!一番!」


青色の指輪が輝いて両脚の下から勢い良く風が噴出、凄まじい速度で加速し一瞬でワンコ共の前に出た。

転びそうになりながらもなんとか着地、右手の指輪をむけて。


「二番!」


叫ぶと同時にあたり一面に紫色の霧が蔓延しワンコのHPバーの横に毒マークが表示される。

毒霧は数秒すると消えてしまったがまだ効果は続いている、さあとっととくたばーー



ると思っていた時代が俺にもありました。


ガツガツガツガツガツ


めちゃくちゃ齧られてる。

毒霧使ったはいいがHPバーの一割ぐらいしか減らなかった。

そりゃあそうだ、デバフ系即死とかあったらチートだ。

ポイントとしては毒霧使ってすぐはクソワンコは攻撃してこないのだが十秒もすれば毒霧が切れて怒り狂って攻撃してくる、ふざけるな。


しかも一番の問題が。


「だっ大丈夫かい!?」


「くっ小さな子に容赦なく噛みつくなんて」


「こんな幼気な子どもが噛まれてるのを見過ごせないわ!」


「はぁはぁ.......飴ちゃん食べるかい?変態不審者さんじゃないから大丈夫だよ......はぁはぁ」


雷が、炎が、剣戟が、槍の一撃が。

俺を噛みついていたワンコ共を殲滅する上にあたりに沸いたら周りを囲んでめちゃくちゃ守ってくる。

最後の奴には警察に行く様勧めておいた、なんかめちゃくちゃ興奮してた。


ちゃりんちゃりんとコインと経験値が入ってくる音が絶え間なく耳に入ってくる。

そう、今この周りのプレイヤーが何故か俺に経験値譲渡設定とやらをしていて何もせずにレベルが上がっていく。

浩介は顎に手を当てて真面目に考察していた。


「ふむ、これが姫プレイか。いやショタプレイ?今レベル十五か、楽でいいな」


「おい確かレベル十までPKからの保護ってあるんだよな?」


「ああ、さっき外れてたな」


「......まじやばくね?」


「ああやばいな」


まだ戦闘方も確立してないのにこれって結構まずい気がする。

どうすんだこれ。





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