あとがき

あとがき

 この度は貴重な読書時間を割いて拙作「海の向こうに」と二つの番外編をお読みいただき誠にありがとうございます。心よりお礼申し上げます。


 そして。

 完結しました! 完結しました生まれて初めての作品!

 と、昂揚感が止まりません。何だか自分で自分にお祝いしたいくらい。


 さて、ほぼ半年近くかけて完成させた拙作ですが、今にして思うと少し雑だったかも知れません。カクヨムでの掲載に当たってそれなりに推敲したり、足したり削ったりしたエピソードがあるのですが、それでももっと良い物に出来たかも知れないと思うと少し、いや、とても残念です。残念ですし申し訳ないとも思っております。

 ただ、メインで書いていた「偽りの星灯火」と比べて肩の力が抜けていたのがよかったのでしょうか。少しは読みやすい文章になっているような気がします。


 初めて書いた小説の一つではありますが、掲載開始後しばらくするとPVが目立って増え、現在1,300PVを超えました。初心者の、それも生まれて初めて書いた小説がどれほどのPVを獲得するのが一般的なのか分かりませんが、自分にとっては大きな驚きと喜びです。これからも頑張って行きたいと思います。

 ただ、星とハートの数が少ないので、これはまだまだ力が足りないんだろうな、と思い精進したいと思います。




 以下拙作に関するネタバレを含むこぼれ話なので、ご理解いただける方のみお読みください。


















 最初は惠美が多喜の墓参りに向かうバスの描写から墓前で泣き崩れるシーンまでを思い立ち、その後はとんとん拍子にお話が出来上がりました。偽りの星灯火を書いて疲れたらこちらを、こちらを書いてて疲れたら偽りの星灯火を、といったローテーションで書いておりました。

 私は特異体質なのかお得な身体なのか、20時間座りっぱなしでもお尻も腰も全く痛くならない体質なのです。これは書き物をするにはもってこいの体質で、もう俺こういうの向いてんじゃないかな、なんて思ったり。いや、冗談です、勿論。




 今回、拙作を描いていて怖くなった事がいくつかありましたのでご紹介します。


 序盤、惠実が墓参りをするシーンを書き終えたところで、たまたまとあるアニメのPVを観て、それが私の書いた内容と激似なのに愕然としました。雪と雨の違いがあるくらいでしょうか。

 これはまあ、アマチュアの、しかも実質初めての小説でプロレベルのイメージを思いつけたんだから俺って凄い凄い……凄い……のかな? でも怒られないか……な? と今でも不安でいっぱいです。怖いです。


 それだけではありませんでした。

 槇子の勤め先が火災に巻き込まれる話を書き上げた数日後に、京都アニメーションの放火殺人事件が。この報道を最初に耳にした時は恐ろしかった。この偶然が恐ろしかった。日本犯罪史を塗り替える凶悪事件で、本当に胸が痛み胃が重たくなります。改めて亡くなられた方のご冥福を衷心よりお祈りいたします。これも本当に怖い出来事でした。

 そのあと、火災以外の事故で何か表現できないか試行錯誤しましたが、トンネル崩落を考え付いたところで、何故だか書くのがとてつもなく怖くなって諦めました。調べるうちに心霊写真をたくさん見てしまったせいでしょう。心霊は信じてないくせに本当に怖いんです。



 キャラクターについていくつか。


 槇子は10代の(かなり)年下が好みなのは間違いないのですが、惠美についてはちょっと良く分かりません。多喜と槇子はかなり違うキャラなので、これもちょっと良くないかな? でも今更性格動かせないしな、と思いつつもそのまま突き抜けてしまいました。個人的には根が頑張り屋さんな槇子が好きかもしれません。ただ、「二股をかけてる」自覚がありながら惠美とねんごろになる性格はいただけないのですが。

 惠美は直感先行型で多喜は天才肌といえます。そう意味では二人はどこか似ているのかも知れません。


 多喜の自殺理由ですが、これは全く不明です。設定として作ってさえいません。「唯ぼんやりとした不安」といういわば不安障害に冒されていたのかも知れません。ストーリー案では小さなガラス瓶に入れた遺書かメッセージを多喜の部屋で二人が見つける、といったものも考えましたが、やめました。謎のままの方がいいような気がしたのです。

 指輪物語のファンで煙草に興味を持ち自宅に父の煙草を隠し持っていたという設定もありました。それをこれまた二人が見つけ、煙にむせながら無理して吸って多喜に思いをはせる、というアイディアもありましたが、なんかカッコよくなさそうなので、これもやめました。


 少し謎めいた紀恵というキャラですが、これも色々とある女性です。最初は「中学時代槇子が初めて告白して振られた女性」にしようかと思いました。が、告白して振られた相手に就職した後まで付きまとわられるのは辛過ぎるだろう、と却下。理解者の少ない槇子の相談相手としての立場に落ち着きました。


 また、お話の中では少ないもののセクハラを連発する彼女は同性愛者ではないか、との疑問を持った方もいらっしゃるかと思います。番外編二 告白 で、そんな紀恵のお相手が判明する予定でしたが、これも色々あってお蔵入りしました。



 多喜の母、紗子ですが、これはとある新聞のとあるコラムに出ていた読者投稿をもとに思い付いた人物で、このお話をもとに番外編二 告白 を作りました。

 作中で紗子が作るおみみさんですが、これはなかなか美味しいのですよ。レシピサイトで偶然見つけカミさんが寝込んだ時に作ってやりました。本当に優しい味です。


 それと、実は当初、紗子は紀恵とカップルにする予定でしたが、歳の差があり過ぎなんじゃないか? とか、紀恵自体が年上好きか? そもそも紀恵って自由過ぎてパートナーなんて要らないって思ってる口じゃないか? と言う気がしてこれは諦めました。結局紀恵はヘテロなのか同性愛者なのか私にもわかりません。


 拙作では二人しか出てこない男性である救急隊員と多喜のお父さん。救急隊員は女性にしてもよかったのかなあ、と今更思っております。

 ただ、多喜のお父さん(多喜父、紗子夫)。これはどうしても外せない人物でした。

 多喜父は、紗子にぞっこんほれ込んでいます。番外編二 告白 の直後、意を決して紗子はCOし、紗子の夫も紗子の意を汲み離婚となります。その後も彼は紗子を想い続け、定期的にナセル来店することを許してもらいます。

 この辺りもお話に出来たらよかったのですが、ちょっとうまくまとまらなくてですね。もしかしていずれ書くかもしれないですが…… どうかな?(苦笑



 長々と愚にもつかぬものを書いてしまいました。でも本当はまだ色々あるのですよ。

 それそれこれでおしまいにしたいと思います。今後この「海の向こうに」に関して番外編などを書く予定はありません。つまりはこれで一応の完結、言ってよろしいかと思います。


 このようなあとがきまで目を通して下さり、誠にありがとうございました。

 

 改めまして、この度は拙作「海の向こうに」とその二本の番外編をお読みいただき本当にありがとうございました! 深い感謝の念に堪えません。

 

 今後も精進を続けていい作品をかけて行けたらと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。


 そして願わくば皆様のより良いカクヨムライフを!



                             ―― 完 ――

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【百合】海の向こうに 永倉圭夏 @Marble98551

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