21戦目 英語禁止対決
「逆に英語禁止対決なら私が勝つわ」
「お、おう」
英語コミュニケーションの授業が終わってすぐにエリスはそう宣言した。
例えばこの英語コミュニケーションという授業名だってこの対決ではアウトだし、アウトという言葉だって敗北の条件になる。
ちょっと気を抜いたらここまで積み上げてきた勝利が水の泡になってしまうのだ。
「英会話対決で勝利した星夜くんは英語禁止に怖じ気ついたのかしら?」
「そんなわけないだろ。受けて立ってやる」
この勝負を提案したのはエリスだからな? 負けても文句を言うなよ?
心の中でそうつぶやいて幼馴染の顔を見ると余裕の笑みを浮かべていた。
「その切り替えの早さは見習いたいと思うよ」
「ほんと!? なら切り替え対決でもしてみる?」
「してもいいけどルールはどうするのさ」
目をキラキラさせてピョンピョンと跳ねる姿はとても可愛い。
揺れる胸がないのは残念だけど、それを補ってあまりある綺麗な金髪ツインテールが揺れ動いている。
「それじゃあ切り替え対決はひとまず置いておいて、英語禁止対決、レディ……ゴー!」
「はい。エリスの負け」
「なんで!?」
「今自分で言った言葉を思い返してみなよ」
「…………いや、あれは開始の合図であってまた試合は始まってないから。オッケー?」
「今のは完全に駄目だよね?」
「……はい」
またしてもほぼ何もしないで勝ってしまった。
ここまでくるとエリスが僕を勝たせようとしているとさえ思えてくる。
今すぐにでも僕の彼女になってほしいという想いと、幼馴染の望み通りちゃんと100回勝って堂々と彼女になってほしい想いが交差した。
大宮エリス、21敗目。
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