20戦目 英会話対決
情報の授業はパソコンで作業するので朝イチだと眠くならなくて助かる。
それにタイピング対決で圧勝もできて気分も良い。
「星夜、英会話よ! 英コミの授業で勝負よ」
「いいけど、ルールは?」
「えーっとそれは……星夜が考えて」
大好きな幼馴染から上目遣いでウインクされたら断るわけにはいかない。
授業中に対決となると大それたことはできない。そして公平に決着が付かないとモヤモヤするし……。
腕を組んでうんうん悩みながら教室移動をしていてあることに気付いた。
「今日って僕がエリスとペアだよね?」
「うん。そうだけど」
英語コミュニケーションの授業は毎週ペアが変わる。座席が固定される列と移動する列があって、エリスは固定、僕は毎週席が変わる。
初めは戸惑ったけど1年も続けていれば慣れるもので、この授業はそういうものだと受け入れている。
「ロールプレイの時に先に日本語を喋った方が負けっていうのは?」
「わかりやすくていいじゃない」
にやりと不適な笑みを浮かべているがエリスはすぐに日本語が出てくる。
いかにみ英語ペラペラそうな外見とのギャップが可愛らしいとは言え成績的にはあまりよろしくない。
「ちなみに和製英語もアウトだから。シャーペンとか」
「ふっふっふ。いいの? そんなに自分を追い込んで?」
「エリスの成績でよくそんなこと言えるね」
謎の自信に溢れた幼馴染からの忠告をそっくりそのまま返してやりたかった。
僕を油断させるためじゃなく、エリスは本心で自分が勝てると思ってそうだから恐い。
言うまでもなく勝者は僕だ。
もはや戦わずして勝ったと言っても過言ではない。
ロールプレイが始まるや否や『目に物見せてあげるわ!』と思い切り日本語を喋ってエリスは自滅した。
こういう迂闊なところも含めて僕は可愛いと思っている。
早く僕の彼女になればいいのに。
大宮エリス、20敗目。
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