6戦目 漢字テスト対決
しっかり昼寝をしたせいで昨夜はなかなか寝付けなかった。
だけどそのかいあって予告されていたアレの対策は完璧だ。
「はぁ……なんで高校生にもなって漢字テストなのよ」
「読み書きできない人が多いからだろうなあ」
「まったく、迷惑な話ね」
「いや、当事者がそれを言うなよ」
範囲は漢検2級レベル。つまり高校で習う漢字とのこと。
まだ2年生なのに高校の全範囲かよとも思ったけど、要は日常で使う漢字というわけだ。
漢字を使うのは何も国語だけじゃない。他の科目にだっていろいろな用語が出てくるわけだし、やっぱり読み書きは学びの基本だと思う。
「僕はしっかり早寝したからテスト対策はばっちりだけど、エリスは?」
「なんで早寝したのにばっちりなのよ。昼寝を早寝と表現するなんて呆れちゃうわ」
「ふーん? あの勝負はエリスが持ち込んだんだけどなー」
「ぐぬっ……!」
眉間にしわを寄せてガルルと鳴きながら僕を睨みつける。
さすがに可愛い顔を台無しにしては可哀想なのでこれくらいにしておこう。
「で、もうわかってると思うけど」
「漢字テスト対決でしょ? いいわよ。星夜が名前を書き忘れて0点になる可能性に賭けるから」
「自力で僕に勝つ可能性は考えないんだ?」
「運も実力のうちよ」
ちょっと使い方が違う気もする。
まあ、こういうおバカなところがエリスの可愛いところだから良しとしよう。
「一応勝敗はテスト返却が終わってからにするから、数日は勝利の可能性に酔いしれるといいよ」
「だからなんで勝った気でいるのよ!」
キーッとツインテールが逆立ちしそうな勢いで反抗してくる。
こういうエリスを見たいというのが煽った理由の一つ。
もう一つの理由は自分を追い込むため。
何があっても絶対にエリスに勝つ。僕がエリスに勝ち続ければ、ずっと側に居てくれそうだから。
「油断しないことね。漢字は覚えてても名前をド忘れするかもしれないんだから」
「忠告ありがとう。万全の状態でテストに臨むよ」
大沢エリス、5敗を維持。
今回の勝敗はまた後日。
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