貴方との出会い


私の名前は、望月沙耶モチヅキ サヤ


中学1年生。剣道部の入りたて。

お爺ちゃんが剣道の達人で、そこから剣道部に入ったって感じ。

私はお爺ちゃんをいつも尊敬してるわ。


家族構成は、母方のお爺ちゃんにお母さん、お父さん。高校2年のお兄ちゃんと小学2年の弟ね。

毎日うるさくて…お爺ちゃんによく怒られてるわ。


そんな日々。



学校は、山の奥だけどなかなか大きな中学校。

ほとんどの子が小学校にいた子。

転入生なんて滅多に来やしない。

新たに何かが始まることもない。

ずっと同じ毎日繰り返してる。


そんな日々。



学校の近くにあるのはコンビニ1つ。あとは木、草、花。オマケに茸。


つまらないけど、つまらなすぎるけど、自然に囲まれた学校はどこか良いっていうのを、みんなが知っている。


いい場所よ。



そんな毎日を過ごし始めて1ヶ月。



私はどこかでスリルな事を求めていたんだと思う。



だから、都会に行ってみた。




山の人間が都会に行くのは危険すぎるからやめなさいっていつも言われてたっけ。

お爺ちゃん達もずっと小さい頃から、言われてるから今は誰もしない。


でも私は行きたかった。同じ毎日を繰り返すのに退屈していたの。


**********


都会へは初めてで、見たことのないものがたくさんあった。

それはもうたくさん。


どこへ行っても機械音が合奏をしている。


便利そうな街。

だけど、不思議と魅力は感じなかった。

自然がないから?


「オイ姉ちゃん」


そんな思考の中にいた私を引きずり出したのは男の人。

少し怖そうな印象を持つ、ガタイのいい男。


「何かしら?」

「姉ちゃんはどこから来たんだ?」

「…山からよ」


少し考えたけど、正直に言ったその言葉を引き金に男の表情が変わった。


「そうか。なら、ここの街を案内してやろうか?」


優しい言葉の裏腹には何かを企む表情。


「結構です」


そう言ってその場を終わらそうとした。

けど、手を強く握られた。


「待てよ。折角、親切にしてやってんのに…このままで帰んのかァ?」

「ひっ…」


これだ。これが危険な理由なのか。

都会人は、何でも悪さをするのだ。

しかも法律スレスレで。

周りは見てみぬ振り。


都会人は何でもやるけど、こういう世間知らずな私達をカモにするのね。


だから降りない。


でも私は都会に来てしまった。

故の、被害。

私の人生はここでおしまい。


諦めた。


そんな時だった。


「あっの~。それ俺のツレ」


その場にそぐわない声がした。


...NEXT——

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