笑ってたいんだ

雪うさる

prologue



ある街の薄暗い建物。

その中にいたのは複数の人間。


「Hey.come on!」


体格の良い男が声をあげた。


「I search for him.

When you find him,you get good position,fame and huge money!」


その言葉にウォォ!!と雄叫びをあげる何十人もの男性。

だがその中に、不思議そうな顔をしたまだ若そうな青年がいた。

その青年は隣にいた老人に日本語で話しかけた。


「何を…言ってるんですか?」


その言葉に老人は即答した。


「"あいつを捜している。お前らがあいつを見つけたら、地位と名声と、莫大な恩賞を得られる"と言っている」

「彼…ですか?」


率直に"彼"とは誰だ、と思っただろう。

老人は蓄えた髭を触りながらフォッフォッと笑う。


「もしワシが彼を手に入れれば、世界はワシのモンだと言ってもいい」

「そんなに恐ろしいやつなんですか?」


世界が手に入るとまで言われ、驚く青年。

老人はフム…と髭を触りながら考える。


「あぁ。恐ろしい。いや恐ろしくないか」

「?」


結局、彼とは誰か聞けないまま集会は終わってしまった。




そう、彼とは知らずに。



その彼は今、日本にいる。




――Next...

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