6話目

ネスタミアのいた洞窟から

アーリアを背負い

3人で歩くことしばらく


話に夢中になっていたせいか

疲れも感じず集落へとたどり着いた


着くとすぐに長の元へ通された


長の家に向かう間

その集落に住む人々から

ネスタミアは激しく感謝されていた


それもそのはずだ

彼は過去にこの集落を救っている


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ひとつの小さな集落に

厄災とも言えるほどの災害に襲われていた


森に火がつき、近くの川が氾濫し

それらが集落を囲んだ


押し寄せる火と行き場を失って

あちらこちらへと暴れ狂いながら迫る水


絶望の中、集落の人々は当然の如く

慌てふためきこの状況を嘆く


「どうしてこんな目に!」


「嫌だ!…死にたくない!」


響き渡る死への、現実への拒絶と共に

泣き叫ぶ声、嘆き嗚咽を漏らす声にもならない叫び


その集落は絶望に包まれていた


森にいた人が黒く焦げ、動いていた口が止まる


目の前にいた人が、今の今まで愛を誓った

愛しの人が、掴んでいたその手を残し

岩の落ちる音と共に辺り一面を赤く染め上げる


((人生においてこれ以上価値のある宝はないよ))

そう言って母が抱えていた我が子が

命も温かさも輝きも 何もかもを一瞬で

奪い去る、光のない濁った水が



大切にしていたモノが人が

瞬きしたなら消えていく

一切の容赦などなく

無慈悲に奪い去ってゆく。


そこはまさに地獄だった


それでも生きようと足掻く人が4人


「水と火の勢いが弱いここから逃げる!

俺が道をひらく!生き残りたくばついてこい!」


体にまだ癒えてはいない傷がある大男


『皆さん!こちらです!急いで下さい!』


周りの音にも負けぬ声を響かせる

2人の小さな女の子


「大丈夫ですか?!すぐ手当をしますので

今は安全な所へ!」


怪我をして諦めたような顔している人達へ

生きることを諦めぬようにと声を張り上げる女性


そんな4人の必死の誘導のもと

集まった集落の人々を導き前へ前へ進んでいく


後ろから迫る死を振り切る為に前へ前へ

進み続けとうとう振り切った


しかし助かった人々は消して安堵の表情は

見せなかった


それもそのはずである



「ああああああああぁぁぁ!!」


「いや…いやぁぁぁぁぁ、死にたくな!…」


「やめてくれ…やめてくれええええええ!!!

これ以上俺から何をうばっ……」


「ーーーー!!ーーーー!どう……」


「ああああああああぁぁぁ!!

なんで!どうして!さっき……ざっきまで…

生きて……いたのに…!私の……わたじの……

……うばれだばっがりのぉおぉお…!」


「だれ……だ…か…誰か…たす……て」


水に襲われず

燃え移ることの無い安全な場所


そこは命が消える音が聞こえる


命が消える様が目に映る


そんな場所だった。


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