5話目
とある2人の少女には両親がいなかった
今住んでいる集落の人達に
森の中で気を失っている所を
見つけてもらえなければ
そのまま死んでしまっていた
酷い怪我と拷問の傷痕、
そして痩せ細った体
住人の必死の看護によって
なんとか一命を取りとめた
2人の意識が戻ったあと
名前や出身場所を尋ねるも
一切記憶がないと言う
そこから2人は一切笑わず
言葉を発さず
暗い顔をしたまま
日々を過ごしていた
それからしばらくが経ったあと
晩御飯を食べていた時だった
『こ…れ…お…し…い……美味しい』と
笑顔で2人が喋った
それが何より嬉しくて
2人から笑顔を見ることが出来た日の夜
2人の看護を務めていた女性
アス・サンラインは
2人に名前を付けた
恥ずかしそうに
それでも顔をクシャッとして
笑う少女に
ミツ・サンライン と
ミツとは逆に
顔を広げるように
大きな笑顔を咲かせた少女に
フヤ・サンライン と
その日 3人は家族となった
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「しっかしあれだな〜
相変わらず集落までが長ぇなぁ…」
「いやいやそんなことないよ〜
全然短いよ、短すぎる。」
「ええ、そうです
大した距離ではありませんよ?」
「………あ、そう…」
「運動不足!いけませんよ!
運動不足はいけません!」
「あはは…おうそうだな。」
「棒読み返事もいけませんよ!
しっかりするところはしっかりしなくては!」
「はい。」
「よろしいです!ぐつどぐっど!」
『今なんか間違えなかった?』
「いえ、一切間違えてなんかいませんよ?」
『え、でも今』
「いえ、一切間違えてなんかいませんよ?」
『えっ、い』
「ァ?」
『いいえなんでもございまりませんよ。』
「…フッ、ぷぷぷ
今…ござりませんって……ぷぷぷ…」
((こいつ………💢))
「ぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷ……」
((いつまで笑ってんだ!
でも怖いから言えない!))
「全く、2人とも言葉は
しっかりといけませんよ?
大切なところで間違えてしまったら
えらいこっちゃ〜でふ!」
『えっ、今間違えたよね?
今でふっつたよな?え?おお?お?ん??』
「いえ気のせいでふよ?そんなことあるわけ
ないじゃないですか、
2人ともおっかしいんだからぁ〜」
『いやほら今も間違えた、
2回も間違えたよ?人に注意してる時に
間違えたらダメなやつだろ
おいおいおいおいしっかり〜
へいへいヘイヘイヘイ!』
「…りなさい……」
『えぇ〜なんて?なんてぇ〜?
あっそ〜れ、まっちがーえた!
あっそ〜れ、まっちがーえた!
あっそ〜れ、まっちが〜えた!
あっsle……』
「ダマレ…ダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレ。」
((えぇ……))
「ツギナニカイッタラカワニシズメッゾ
ァ?オイ、キイテンノカ、ア?」
フルフルフルフルフルフルフルフルフルフルフル…
この時ネスタミアとフヤは心に誓った…
ミツが何かをやらかした時
二度と馬鹿にはしない、と
これ以上口を開けば
何を言っても殺される、そう確信した2人
一生懸命首を横に振ることが
唯一許された行為だと
本能的に察したのであった
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