7話目
集落に着くとすぐ、盛大に歓迎された
なぜかと言うと…
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(実は2日後にネスタミア様がこちらに
いらっしゃるそうなのですが。) とミツが
集落話合いの時にそう言ったらしく
(それは本当か?!)
(それなら盛大にもてなそうではないか!)
(あぁ!我らの恩人だ!パーッと歓迎しよう!)
((オー!宴だ宴だぁ!!
ドカンと派手にぶち上げたらァ!))
((ふぅーー!フォーーーー!おおおおお!!!
うおおおおおおおお!!やったろう!!))と
話し合いのはずだったのだが
それ以降その話でもちきりとなり
稀に見ない盛り上がりを見せたという。
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当然何も知らないネスタミアは
面食らっていた
状況が理解出来ていないのだ
集落の近くに来た時から
違和感としては感じ取っていた
明らかに人が生活している気配がしなかった
やけに静かで、少し身構えもした
ところがそんな不安が一瞬で消し飛んだ
『久しぶりでございます!我らが恩人
ネスタミア様!心よりお待ちしておりました!』
と、大きな声でそう言った
次の瞬間
集まっていた人々があっという間に散り
持ち場につく
そして楽器の演奏とともに
顔や体に化粧をつけた踊り子たちが踊り始める
木から作った息を吹き込んで演奏するもの
様々な大きさの木を叩いて音を出すもの
何本もキツく張った糸を引っ張り音を出すもの
自分の腹を叩きリズムをとるものなど
様々な楽器を使い場を大いに盛り上げる
「あっ…おっ、、おお……」
大きな口を開けてそれを眺めるネスタミア
正直彼は戸惑っていた
歓迎されるのに慣れていないのだ
戸惑うネスタミアを置いてくように
場はどんどんあったまってゆく
((qgやま+43やまやwpmgm@'.!!!))
「え、今なんか人間じゃない声が…」
どうやら宴というものは
他の生き物ですら盛り上がりを見せるものらしい
昼間から始まった宴
終わることを知らず
日が落ち星が空を埋め尽くしてもなお
賑やかな声は静まらなかった
少し火照った体を冷ます為に
静かな空を見上げた
広く果てしなくどこまでも続き
全てを包み込まんとする 大空を
「ほぅ………」
ポロッと言葉が零れる
「すげぇ…すげぇなぁ……」
ネスタミアが空を見たことがあるのは
これが初めてでその広さに
深さにその果てしなさに飲み込まれていた
空というものは不思議なもので
手が届きそうで届かず
自分の小ささを語る
「真っ暗な中…小さな光の点が……
なんだありゃ………」
『あれはねぇ…、星というものだよ。』
1人で地べたに寝転んで
星を見上げていた そのハズだったのに
突然 知らない声が答えを教える
「ッ?!」
辺りを見回してみても誰の影もない
そのいるのはネスタミアただ1人
「誰だ?!出てこい!出てきて姿を見せろ!」
そちらの問いには答えることはなく
『星はねぇどれだけ世界が暗くなろうと
絶望に包まれていようと光り続けるんだよ。』
「どこだ?!どこにいる?!」
『空のずっとずっと向こう
私たちでは行けないところで
ずっとずっと命が終わりを迎えるまで
見守ってくれているんだよ。』
「何の話だ?!お前は誰だ!」
『だから、安心してお眠りなさい
貴方は1人じゃないのよ。』
「…………………?」
『大丈夫、私はここにいるから
目を閉じて、うん、いい子ね。』
「……」
『また明日、おやすみなさい、…。』
一日の終わりを告げる声とともに
意識はそこでプツンと切れた
とても安らかな顔で眠りに落ちる
その日夜空は
美しく 明るく 誰かを見守るために光り輝いていた
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