堕天使拷問刑
『堕天使拷問刑』 【涅槃】【純愛】
中学生、
『綾織問題』から三年。飛鳥部氏の復活作品にしてやりたい放題ミステリ第二弾。テーマは『塔と悪魔』である。
過去の二つの殺人事件や、序盤に起こる新たな殺人など、魅力的な謎は早めに提示されるものの、物語では、古い因習に支配された、異様な村の様子が主に描写され、ミステリというよりは、怪奇小説のような展開が続く。一章を費やし、作中人物による、『おすすめモダンホラー』なる、エッセイまでもが挿入され、氏の尋常ではないホラーへのこだわりを感じさせる。そして、クライマックスは、正しく怒濤。とてもミステリとは思えない展開が待っている。
その後、思い出したかのように、殺人事件の解決が行われるのだが、そのトンでもないトリックと真相には唖然呆然。バカミスが大好き、という方には、是非オススメである。特に、ある真相は、一生忘れることの出来ないほどのトラウマ(?)を植え付けかねない、衝撃的なものだ。
しかし、「詰め込み過ぎ」とも取れる、様々な要素てんこ盛りのこの作品は、信じられないほど鮮やかに幕が降ろされる。ハチャメチャな物語を、こうも爽やかに締めくくる、作者の「豪腕」ぶりには脱帽するしかないだろう。
面白い作品であることは保証できるが、キワモノであることもまた、認めざるをえない。『涅槃』という言葉を体現したかのような、昨今の飛鳥部勝則の代表作と言っても過言では無い、傑作である。
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