誰のための綾織

『誰のための綾織』 【百合】【絵画】

 女子高生、鹿取かとりモネは、あの新潟大震災の日、何者かに拉致される。気がつけば、教師や同級生数人と共に、孤島に連れ去られていた。彼女たちを連れ去った主は、彼女たちがいじめ、自殺に追いやった少女、三識瞳みしきひとみの父と兄であった……。

 記念すべき長編十作品目であり、久々に筆者自作の絵画付き。だが、『ある問題』のせいで、絶版回収となってしまった曰く付きの作品でもある。問題については、ここでは触れないので、興味がある方は、各自で調べて欲しい。

 「推理小説に禁じ手などあるのだろうか。おそらく、ありはしない。面白ければそれでいい」

 のっけから随分パンクな文章で始まる本作のテーマはずばり『アンフェア』への挑戦だ。もちろん、本当の意味でのアンフェア、という意味では無いのだろうし、事実、「アンフェアとまでは言えない」、というのが私の意見でもある。だが、かなりギリギリのラインをついた、強力なトリックが仕掛けてあることは事実。あまりに意外な犯人に、驚くこと請け合いの傑作である。ちなみに、全くどうでもいいことだが、私の一番お気に入りの作品(※10)。


※10 最近は「黒と愛」など他作品も捨てがたく、明確に1番好きな作品を言い切るのは難しいが、かなり好きな作品であることに変わりはない。

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