バベル消滅

『バベル消滅』 【絵画】【純愛】

 新潟の小さな孤島の版画館で働く風見国彦かざみくにひこは、毎日「バベルの塔」の絵を眺め続ける不思議な中学生、藤川志乃ふじかわしのと話をするようになる。一方、彼女の通う中学校の教師、田村正義たむらせいぎは、美術室で、同僚の教師が死んでいるのを発見。そして、そこにはバベルの塔の絵画が……。

 デビュー作に引き続き、作者自身のタブロー付きの本格ミステリ。まだまだデビュー当初とあって、昨今のように、『ぶっ飛んだ』内容ではなく、比較的普通の作風なので、飛鳥部初心者にも安心して勧めることは出来る。

 しかし、本作の結末には賛否両論あるようだ。必ずしも読んだ全ての読者が、納得のいくものではないように思える。当然、しかるべき手がかりや、伏線があるとはいえ、このオチには納得出来ない、という方がいても私は不思議とは思わない。是非、本作を読む際には、広い心を持つよう、心がけてほしい。

 だが、ミステリとは関係なく、個人的な意見で申し訳ないのだが、「ある民謡」が絡むシーンは、数ある飛鳥部作品の中でも、素晴らしい名シーンの一つ。心が広く、純愛要素が好き、という方にオススメだ。

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