第22話  黒幕の影

まさか、速水家族がまだ体育館に避難していたとは。しかしおかしいな、なぜ速水君の父親は速水君が寮に避難していると思い込んでるんだ?俺は速水君の父親に疑問に思ったことを直接聞いてみる。


「息子さんなら隣町までモンスターから逃げて来て、俺が気絶しているのを助けて今は俺のマンションに避難して貰っていますが、なぜ寮の方に避難していると思っているのでしょうか?」

速水君の父親はとりあえず息子さんが無事と聞いて安堵しながら喜んでいた。そしてゆっくりと俺の質問に答えてくれた。


「モンスター達が体育館に襲ってきた時に私たち家族は近所の人達と避難しており生徒会メンバーと私と何人かの男性と警備員さんでモンスター達を足止めして息子達を駿河さんという隣人に頼んでまだ安全だった寮の方に避難するように頼んだのです。幸い最初に襲ってきたのが小人みたいなモンスターだったので私達でも対処できていましたが、そのうちモンスターが増えていき私達はここに立てこもっていたのです」と答えてくれた。そうなるとその駿河さんというのが速水君達を追いかけ回していた過激派の使途ということだろう。もしかしたら、この高校にモンスターが襲ってきたのもそいつが原因かもな。ん?待てよ、と言うことはその駿河っていうのがここに戻って来て寮の方にいたモンスター達に襲わせたということになるのか?何で今頃になって寮の方を襲ったんだろう……これは生徒会メンバー達にも聞いた方が良さそうだな。そう思いながら考えを放棄して生徒会メンバーがいる方に歩き出そうとして速水さん夫婦の方にもう一度振り向く。そういえば速水夫婦の娘早苗ちゃんの事を話してなかったことをふと思い出したので健助君と一緒に保護をしたことを話す。この時俺は気づくべきであった。息子の事をかなり心配していた速水両親が娘の早苗ちゃんの事を聞かないことを。なぜあんなにもモンスター達が体育館周辺にいたにも関わらず体育館が無事だったのか。それ以前に速水君の言葉を簡単にも信じたのか。俺は早苗ちゃんの事を伝えた後信じられない事実を聞かされた。


「それと娘さんの早苗ちゃんも健介くんと一緒に保護しているので安心ください」


「早苗?……私達夫婦に娘はおりませんよ。息子の健助だけです」


それを聞いた俺はバカなと思いながら聞き返そうとした時に、頭の中に警告音のように鳴り響き背後から敵意を感じ取った。すぐさま後ろを振り向き対応をしようとしたが、少し手遅れだった。「グサっ」と嫌な音が辺りに鳴り響いたと思ったら、俺の目の前には「空間の裂け目」から右手が出て来ており、俺の右腹を深く突き刺していた。

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