第11話  兄妹の事情

俺はリザードマンを倒した後、2人を助け出して一度部屋に戻る。

部屋に入り、布団を敷いて2人を寝かす。起きるまでゆっくり休ませて上げよう。事情なり自己紹介は起きてからでいいだろう。あっ、2人ともだいたい怪我はしてなかったよ。部屋に戻ってからだいたい1時間が経過した頃中学生の男の子が先に目覚めた。


「……う~ん…はっ!」


男の子は飛び起きて周りをキョロキョロと見回して隣に寝ている女の子を確認できたら安心したようにホッとため息をついた。俺はそんな彼に話し掛ける。


「気がついたみたいだな、大丈夫か?」

「……ここは?…あなたは誰ですか?」

「俺の名前は逢坂聖夜。ここは俺の部屋で君たちは瓦礫の隙間に隠れるように気絶していたからとりあえず救助して部屋で休ませていたんだ」


俺は二人に出会った経緯や状況などを男の子に説明をした。


「助けてくれてありがとうございます。俺の名前は速水健助って言います。今寝ている女の子が妹の早苗と言います。」


速水君は姿勢を正して正座に座り直しどこか気品を感じる丁寧なお辞儀をしながら自己紹介をしてくれた。なかなか躾が良いな。どこかの御坊ちゃまかな?


「それで2人はなぜあそこに倒れていたのか経緯を聞いてもいいかな?」

「はい…」


速水君は涙が流れそうなのを我慢しながら話してくれた内容は、気分の良いものではなかった。この世界がファンタジー世界に変わってしまった後、速水家族は近所の人たちと避難指定所の高校に避難をしていたらしい。そこにオークのモンスターが攻めてきてパニックが起きた。速水君の両親は2人を先に逃がして離ればなれになった。その後は2人の職業スキルで何とか逃げ隠れしていたのだが、レベルをあげたと思われる人達に追いかけ回され妹さんが襲われかけ命からがら俺のマンション近くの地区まで逃げてきてる途中でさっきいたリザードマンに見つかって瓦礫の隙間に隠れていたらしい。


速水君の話を聞いて俺は不愉快な気持ちになっており、何とも言えない表情になっていた。その事を気にした速水君が「気にしないでください、両親の事は心配ですが妹が襲われたのは自分がしっかりしていなかっただけなので」と気丈に振る舞っている。


「しかしそんなことがあったら妹さんが起きたら俺が一緒にいるのはヤバイんじゃないのか?俺がどんな人間なのかもわからないしな」


俺がそう思って速水君に聞いてみたが、微笑みながら「逢坂さんは俺達兄弟を助けてくれたので信頼してます。それに危害を加えようとしているなら最初からそうしているだろうし、自分の事を怪しいといったりしないと思ってますから。俺から妹に話して、これからの事は2人で話し合って決めます。」と言った。


まあ、本人がいいと言うならそれでいいと思うが、とても2人で生きていけるとは思えない。ぅ~ん、どうするべきか…考えていると



≪クエストが確認しました≫

≪クエスト速水両親を救えが発生しました≫


※速水両親を救え

石塚高校にオークが攻めこんでおり、速水両親が抵抗を続けています。助け出し、オークキングを討伐せよ。

成功報酬:SP 100 JP 100 ジョブスキル無条件解放

パーティー報酬 SP 50 JP 50 ジョブスキル無条件解放


なんか出てきた。今までなかったからビックリした~。でも速水君達の両親はまだ生きてるらしい。これは急いで助けにいかないと。


「速水君、手短に言うけれどご両親が石塚高校で抵抗を続けてるみたいなんだ。でもオークキングもいるみたいだから急いで助けにいかないと行けないと思うんだ。」


「えっ?!石塚高校って僕たちが避難していた高校です!分かりました、何とか両親だけ連れてきます。すいませんが早苗を預かったもらっても良いですか?」


そういって速水君は立ち上がり玄関の方に向かい出て行こうとしたので俺は手首を掴んで留める。


「男の子の決意を蔑ろにして悪いけど、俺と一緒にご両親を助けに行こう。義理も何もないけど心配だし、なにより両親の生命がかかってるんだからワガママ言わないと。おじさんに任せなさい!」


「……ありが…とう…ございます」

速水君はそういうと泣き出してしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る