2. 無責任な心

19歳を迎え、相も変わらず親に迷惑を掛けていた頃

髪を染めたくない、まだ遊んでいたいとゆう理由で専門学校の道を選んだ。

放浪していた反抗期も終え。

専門学校は毎日通いながら、夜勤のアルバイトもしていた。

心を改めようと考えたとゆうよりも、このままいるのが恥ずかしかった。

手に職を持ってれば何とかなるだろうとゆう安易さもあったが

それなりに努力をしていた。

世間的に見たら当たり前の事がようやくできるようになって

毎日が物凄く楽しく、勉強、遊び、バイト。

全てが良い循環で回り、自分自身の性格も徐々にいい方向に変わっていったが

”好き”とゆう感情だけは分からないままいた。

LikeではなくLoveの方。

今まで僕は片思いとゆう経験もなければ、ドキドキするといった経験も当然ない。

何となく、雰囲気で付き合う事だけでその理由も“情”しかなかった。

だから自分の理想はあっても、なんとなくとか、断るのも悪いからとゆう

何とも失礼極まりない理由で今まで交際をしていた。

専門学校にいた頃も同じ事を繰り返したのだが

それが自分の人生を大きく狂わす事となった。

病弱とゆう事を理由に中退をした彼女に情が湧き

自分にできることは何でもしようと思った。

自分の時間を犠牲にして「電車に乗れない」と言われたら駅まで向かって一緒に電車に乗ったり、「親に会いたくない」と言われれば1人暮らしの家に呼び毎日夜ごはんを作ったり、目の前で震える彼女の看病をしたり・・・。

次第に我慢も蓄積していき毎日のようにケンカをするようになって、家を飛び出す彼女を夜更けまで探し回ったり

「死にたい」と言われたので「じゃあ死ねば?」って言ったら暴れ、携帯を壁に投げつけられたこともあった。

最終的にはいつも府に落ちないながらも土下座をしていたのは僕の方。

気づけばいつも彼女にマウントを取られていた。


当時は誰かを救える事に生きがいを感じたことがあった。

僕は両親が嫌いとゆうのを理由に家を出て、初めての一人暮らしを相手の家の近所に選択した。

地元からだいぶ離れた所だったが、それでもいいと思った。

そして、学校も中退した。

学校に行くたびに彼女に「うらやましい」と言われたのが凄く辛くなった。

誰に何を相談するでなく、自分で選んだ選択肢だった。

無知で収まる話ではない。

初めての一人暮らしは半同棲の生活だった。

楽しいと思えることはなく、寧ろ気を遣いすぎて些細なことでもイライラが募る。

突然の離れでの暮らしは友達もいないし、毎日やるせない気持ちでいっぱいだった。

毎日その場凌ぎの嘘を繰り返し、すがる相手が1人しかいない状態でずっと1人でため込んだ。

友達に話すことがなんてできなかったかとゆうと、携帯を見られたり包囲されてるんじゃないかと感じることが多々あったから。

自分の友達も利用されるのなら、寧ろ1人で我慢してた方が絶対に良いと判断した結果が誰にも相談できないとゆう所に行きついた。

やり場のない怒りをどこに発散することもできず、自分に傷をつけた。

人はある一定のラインを超えると自分でも考えていない事をする。

腕には普段使っていた牛刀が刺さっていた。

「あれ。。」

我に返った時には血の塊が溢れ出て、痛みはなく自分の体温が下がっていくのを感じた。

バスタオルでキツク締め上げても全く止まらない。

「こうやって人って死ぬんだ。。死んでも親に迷惑かけるんだ。」

そう考え始めたときに家族が好きなんだと知った。

悔しさと恥ずかしさから涙は止まらなかったが「まだ死ねない」と思考が変わりつつあった。

「まず救急車を呼ぼう。でもなんて呼べばいいだろうか。」

自傷したとは言えなかった。

「部屋で転んで、包丁の柄に当たって腕に落ちてきた。」

救急車が来たとき腕は丸太のように腫れ上がり

救命医の方に服を切ってもらい一時的な止血をして搬送された。

警察も、救命医も「本当に事故?」とゆう疑いの目で見ていたが

事故と押し付けるしかなかった。

行き場を完全に失っていた僕は、実家に戻ることもできなければ

引っ越す費用もなかったからなんとかここに住むしか道はないと考えていた。

結果として、深さは10cm、神経にも届く傷で、手の感覚が鈍くなり6針縫う傷を負った。

その後唯一のアルバイトも行けなくなり、行くあては自宅と病院の往復。

これを機に相手は家から居なくなり、怪我は1か月で抜糸ができた。

会う時間が極端に減ったことで自分に投資する時間が増えた。

友達と遊ぶ事、飲みに行くこと、好きなことに挑戦したり、時間を作ること

今まで感じた事ないぐらい毎日が充実していた。

まるで洗脳から解き放たれたかのような解放感だった。

「今までは俺は何をやってたんだ・・・」と本気で思った。

いざ離れてみると、恐ろしい程に

僕はとある芸能プロダクションのオーディションを受け合格。

音楽の道を走り出していたとき

僕の人生は大きく狂っていくことになった。



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