族[植] 科[草] 名称[コイビトキノコ] 推奨[F~] 出現[野―森――――――風――] 注意事項[毒、風魔法]

 ◇族[植] 科[草] 名称[コイビトキノコ]◇

  獲物を見つけると、地に張った根を外し、傘を使って飛びついてくることから、コイビトと呼ばれている。

  傘のサイズは直径60センチ前後。


 ◇推奨[F~]◇

  屑魔石を落とすが、街への持ち込みは禁止されている。


 ◇出現[野―森――――――風――]◇

  ジメジメした場所に大量に発生する。


 ◇注意事項◇

  毒・・・獲物を見つけると、ただただ臭い胞子をヒダから散布する。

  風魔法・・・傘に風をまとい、滑空するように獲物へと飛翔する。



 ◇ウロク談◇


 メイド姿の魔物にボコボコにされた翌日の話だ。


 その頃の装備は錆びた鉄兜、解体用のナイフ、シャドウウルフの毛皮マントもどき、破れた革の服だ。


 俺も、エルミナも、ディトナも包帯で口を覆っている。もちろん、ディトナに至っては、昨日の怪我で体中に包帯を巻いている。


 メイド姿の魔物のことは、俺も気絶してどうなったかわからないと伝えた。


 そんな俺たちは今、死んだ目でコイビトキノコと戦っている。


 足元には、コイビトキノコからドロップした屑魔石がじゃりじゃりしている。


 「もうやだよー!」


 「大口開けてしゃべると、口の中まで臭くなるぞ」


 『ウォーターボール!!』『チャッカ』


 壁面から飛んでくるコイビトキノコを次々と焼き払うが、臭い胞子をばらまきながら襲ってくるので、辺り一面酷いにおいだ。


 「くさいよー!」


 くささにも種類があり、腐ったにおい、ドブのにおい、ごみのにおい、酸っぱいにおい。最終的に混ざりに混ざり、スラムで一番臭いところが赤子レベルに感じるほどだ。


 「なんでディーさんは、こんな臭いダンジョンに入ろうと思ったんだ?」


 「・・・。冒険者として、ダンジョン攻略をしたかったんだよ。このダンジョンなら誰も狙わない低レベル。ソロで行けるとおもったんだよ」


 『ウィンドカッター!!』


 ディトナが風魔法で、コイビトキノコを細断する。


 ダンジョンを攻略した者はランクがSに上がり、冒険者としても待遇がよくなる。


 「攻略者か」


 俺は10歳の時に自分の食いぶちを稼ぐためサザンカ村を出て、カメリア町で薬草採取して2年たち、この現状だ。


 (俺も冒険者・・・なんだよなー)


 『ウォーターボール!!』『ウォーターボール!!』『チャッカ』


 (おっ。おならのにおいだ)


 おならのにおいが、当たりに感じるってどうなんだろうと思いながら、戦闘を続ける。


 『ウィンドカッター!!』


 (くっ。先輩冒険者の靴下のにおいだ)


 ぎゅるるるるぅぅぅ~~~~


 「う、うそだろ?!こんな臭い中でも、お腹へるのか!!」


 「ち、違うもん!これは乙女の秘密だもん!」


 (乙女の秘密ってなんだよ)


 『ウォーターボール!!』『チャッカ』


 (カメムシの匂い・・・)


 「エルフ秘伝の豆だ。ウロクも食べておけ。あと1日はこの状態が続く」


 「「えっ?!」」


 (うそだろ?!うそと言ってくれ!もうすでに鼻も心も限界超えてんだよ!!)


 『ウィンドカッター!!』


 (村にあった肥溜めのにおいだ!!)


 『ウォーターボール!!』『チャッカ』


 (腐った肉のにおいだ!!)


 「もうやだよー!」


 『ウィンドカッター!!』


 (当たりだ・・・癒される)

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