族[蟲] 科[羽] 名称[ハニービー] 推奨[F~] 出現[野山森―――――――光闇] 注意事項[光魔法、闇魔法]
◇族[蟲] 科[羽] 名称[ハニービー]◇
ハニービーとかわいい名前だが、その魔物が作るハチミツを求めた多くの冒険者を
◇推奨[F~]◇
ハニービーが持つ魔法は強力なため、討伐を推奨しない。
ただし、希少なハチミツのため、冒険者ギルドへの持ち込みは大歓迎である。
◇出現[野山森―――――――光闇]◇
山奥などの静かな場所に発生するため、害はほとんど確認されていない。
◇注意事項◇
光魔法・・・ハンドレッドライトルーレットと呼称される魔物特有の魔法を使い、100分の1の確率で受けた攻撃を無効にする。
闇魔法・・・ハンドレッドダークルーレットと呼称される魔物特有の魔法を使い、100分の1の確率で攻撃者を死亡させる。
◇ウロク談◇
古びたテントの前で、後ろ首を万力のような力で締め上げられ、吊るしあげられている。
その頃の装備は錆びた鉄兜、解体用のナイフ、シャドウウルフの毛皮マントもどき、穴が広がった革の服だ。
「おにぃちゃんをはなせ!!!」
ぽすん!ぽすん!とクッションでたたく音が聞こえる。
(エルミナ・・・それ、たぶん効いてない・・・)
「これではまるで、わたしが悪いみたいじゃない」
ドサッ
首を離された俺は、地面に尻もちをつく。
「ッガはッ・・・。後ろから攻撃しといて悪くないのか・・・」
「ダンジョンの最奥で、他人のテントに近づいてる時点で殺されても文句は言えんぞ?」
顔を上げると、長身のエルフの女が仁王立ちで俺をにらんでいる。
「そ、それは悪かった。俺たちも偶然ここに来ただけだから・・・」
「偶然?はっ。確かにこの霧の谷のダンジョンは難易度は高くない、だが、偶然来れるほど安くもないよ」
長い赤髪を大きく波打たせ、狼のように敵意のある視線が向けられる。
「嘘じゃないもん!ほんとうだもん!」
それから、チャノ街でオーク討伐者を案内する依頼を受けて、オークジェネラルに追われて、とてつもない深い崖に落ちたことを話す。
「信じられん話だが、もし、それが本当なら、チャノの大穴に落ちたんだろうよ。本当ならな」
「ほんとうだもん!」
「わたしは寝るよ。明日から引き上げる予定だったからな。ついでにダンジョンの外まで案内してやる。ただし、テントに近づくな。寝込みを襲おうなんてしたら容赦しないよ」
「いい人そうだね!」
(どこが?とりあえず焚火をするか)
ダンジョン内に薪なんて、しゃれたものはなく、石を積み上げて、ウォーターを放ちチャッカで火をつけて暖をとる。
エルフ女が使っていたであろう、大鍋が転がっているので、大鍋を借りる。
「エルミナ。鍋に水を入れてくれ」
「うん」
コトコトと沸騰させていると、エルミナがコクリコクリとし始めたので、少し寝るように促す。
俺はズタ袋から板のように固い肉を取り出す。実はこのズタ袋の中に7キロの肉がある。
正確には金貨の入っていた袋に隠してあった二重底がマジックバックで10キロまで荷物を突っ込めるのだ。
チャノ街の宿屋のベットで苦しんでいた時、ズタ袋から薬草を取り出そうと手を突っ込んだときに、どこまでも手が入るので発見した。
「まさか、案内するだけの依頼で、こんなことになるとは思わなかったからなー」
こんなことになると知ってたら、装備くらいは整える金もあったのだ。せめてもの救いは、案内だけの依頼でも数日かかるため、食料と調味料を突っ込んであったことだ。
「大半は、あの逃げた馬の持ち逃げだけどな・・・せめて、水で
コトコトに込んでいると、板のように固い肉はグングンと水を吸い取りしっとりと滑らかな肉へと変わっていく。
「こいつは・・・すげぇ」
最初は具がわずかの水鍋状態だったのに、水がなくなり炒め物のような状態になっている。
「うん。うめぇうめぇ。そろそろ、エルミナを起こすか・・・ん?いねぇ?!どこいった、ま、まさか魔物に?!」
ぎゅるるるるぅぅぅ~~~~
ぎゅるるるるぅぅぅ~~~~
テントから腹が鳴る音が聞こえる、しかも2倍・・・。
俺はテントに近づき、入り口の垂れ幕を上げると、クッションにしがみついて寝ているエルミナとエルフ女の姿がある。女二人に挟まれて生意気そうなヒヨコの形をしたクッションが、さらに生意気そうな表情に見える。
「あー。起きろ。飯作ったから。エルフさんも一緒にどうだ?」
「めし?ごはん?」
「ん?」
鍋を見たエルミナは、一気に目を覚まし目を輝かせる。
「おにぃちゃん!すごい!どっから出したの?!」
「へへ。秘密だ」
ブーンとこぶし大のハチが目の前を通り過ぎ、はたき落そうと手を振り上げると、エルフ女が叫ぶ。
「やめろ!ハニービーだ!」
ハニービー。別名は
「はは・・・。どうすりゃいい?」
「ほっとけ。攻撃力はほとんどない」
エルフ女によると、この先で数万のハニービーが
それから肉炒めを一杯も食い終わらないうちに眠気がやってくる。
「おにぃちゃんも眠ったら?」
「そうだな・・・」
「わたしのテント使っていいぞ。飯の礼だよ」
「ああ。そうさせてもらう・・・」
「じゃ、おねーちゃんと二人だね。おにぃちゃんはウロク、わたしエルミナ。おねーちゃんは?」
「ドナの木のディトナだよ」
俺はその会話を最後に眠りについた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます