族[獣] 科[魚] 名称[ポイズンオオサンショウウオ] 推奨[F~] 出現[――――川――水――――] 注意事項[水魔法、毒、再生]

 ◇族[獣] 科[魚] 名称[ポイズンオオサンショウウオ]◇

  全長300センチ前後。普段は水中に潜んでいるが、川辺にきた獲物を襲うさいは陸上に飛び出し攻撃する。


 ◇推奨[F~]◇

  水辺で油断し亡くなる者が多いため、注意するように冒険者ギルドのオーブが教えている。

  爪や皮など、どの部分も役に立たないため、故意に討伐されることはない。肉は珍味であるが日持ちしないため出回らない。


 ◇出現[――――川――水――――]◇

 水辺にすんでいるサンショウウオに瘴気が汚染することによって発生する。


 ◇注意事項◇

  水魔法・・・口から水弾を放ち、獲物を昏睡させる。

  毒・・・ぬるぬるの体液に毒があり、目に入れば失明し口に入れば麻痺させる。

  再生・・・目や手足を失った程度の傷は、数時間で元通りに戻る。



 ◇ウロク談◇


 オークに見つからないように焚火をせずに二人で身を寄せ合いシャドウウルフの毛皮にくるまり夜明けをまち、日の出とともに、チャノ街に向けて出発した。


 その頃は腹を鳴らす連れがおり、装備は銅の剣、錆びた鉄兜、シャドウウルフの毛皮マントもどき、穴のあいた革の服だ。


 ぎゅるるるるぅぅぅ~~~~


 焚火をしない意味があるのかと思うぐらい、エルミナの腹の音が鳴りっぱなしだったが、数日一緒に過ごすうちになれていた。


 昼過ぎに川にさしかかり、橋を渡った川べりで休憩を取ることにした。


 「少し休憩しよう」


 「うん」


 水を飲もうと川に近づくと、かわいそうな物を見てしまった。


 まる見えなのだ。


 獲物を捕らえようと水中に潜んでいるポイズンオオサンショウウオの姿が、川の水が綺麗過ぎてまる見えなのだ。


 エルミナに目配せをして、銅の剣を引き抜き水辺に近づく。


 近づくと、あたかもばかめぇーという感じで、ポイズンオオサンショウウオが水弾を放ち飛び出してくる。


 当然、俺もエルミナも余裕で回避して、斬撃と突き刺しを行う。


 深い傷を与えたにもかかわず、水弾を放ち暴れまわる。


 ポイズンオオサンショウウオがエルミナに大振りに尻尾を振り回し、エルミナがジャンプで回避する。


 空ぶりした勢いであおむけに転げた隙をつき、頭部へ銅の剣を突き立てる。


 俺の冒険者の感が、大抵の魔獣は頭を破壊すれば死ぬと訴る。


 さした瞬間エビぞりになるような強烈な動きを見せたが、グッと力を込めて、さらに突き刺すとビクンと大きく震えて動かなくなった。


 「お、お、お、お肉まつりだぁ~!!!」


 「いてっぇ?!」


 手についたぬるぬるから痛みが走る。心配そうにしているエルミナに触るなといってから、川でぬるぬるを洗い流す。


 ぎゅるるるるぅぅぅ~~~~


 エルミナの催促が激しいが薪集めをお願いして解体に入る。


 とっとと俺のウォーターでまる焼きにしたいのだが、その炎だけで焼くと肉に変な臭みがつくのだ。


 『ウォーターボール』『ウォーターボール』『ウォーターボール』


 『チャッカ』


 ポイズンオオサンショウウオのぬるぬるを何とかするため、表面にウォーターをぶっかけて火をつけてみる。


 しばらくメラメラと燃やし、焦げた表面を触って痛みが走るか確認する。


 「大丈夫そうだな」


 「肉取ってきたよ!!」


 (薪だろ)


 「んんじゃ。試しにしっぽを焼いてみるか」


 焚火をセットし、火が通りやすいように薄めに切り取ったしっぽ肉を枝にさし並べ、俺のウォーターで火加減を調整しながら焼き上げる。


 ぎゅるるるるぅぅぅ~~~~


 (しかたねーな。ちっこいのなら、もう火が通ってんだろ?)


 「いちをぬるぬるにしか毒はないって冒険者ギルドのオーブで学んだけど、外側の皮は食べないようにしろよ」


 「うん!」


 焚火からしっぽ肉を取りエルミナに渡し、俺も一本焚火から取る。二人同時にしっぽ肉にかぶりつく。二日ぶりのまともな食事は・・・


 「おいぃぃ~~~!!」


 「うまっ?!」


 「いぃぃ、いぃぃ~~!!」


 「いぃぃってなんだよ?黙って食え。お、そういえば胡椒あるぞ。使うか?」


 「もぐもぐ!」


 腹の虫がおさまるまで、二人で肉を貪り食う。


 内臓を除いた残りの肉も100キロ以上あるので、少し早いが今日はここで野営することにした。


 オークが追ってきてそうで怖いが、目の前の大量の肉を放置できるほど強い意思もない。


 夕飯も大量に肉を食い。解体した残りの肉を遠火にあてる。


 仮眠を取るため代わりばんこに見張りをする。


 日が昇り俺が目を覚ますと、水分が抜け、十分の一に縮んでる肉を見て絶望するエルミナの姿がそこにあった。

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