族[塊] 科[肉] 名称[グール] 推奨[E~] 出現[野山森――――――――闇] 注意事項[感染、無敵、馬鹿力]
◇族[塊] 科[肉] 名称[グール]◇
すべての生き物から嫌悪されるこの手の分類は一律、悪魔と呼ばれる。
生物の屍に瘴気が宿った魔物で、自然発生することは少ない。
◇推奨[E~]◇
水に弱く、ウォーターボールで弱らせることができる。屍の状態によるが良く燃える。
精霊族(ヒト科、ドワーフ科、エルフ科、アニマル科)を感知するとまっしぐらに襲い掛かってくる。
◇出現[野山森――――――――闇]◇
不幸な死をむかえた者に瘴気が汚染することによって発生する。
◇注意事項◇
感染・・・かみつきや、ひっかきで傷を受けた者は汚染される。汚染された状態を放置して死亡した場合、100%グールになる。
無敵・・・脊髄を破壊されない限り、消滅することはない。
馬鹿力・・・冒険者は斬撃や防御の際に魔力を使って肉体強化を行うが、グールは常に肉体強化を行った状態である。
◇ウロク談◇
シャドウウルフを倒した後は気力もなく、たいして移動もせずに早々と野営の準備を始めた。
その頃はソロで、装備は銅の剣、ウルフバスター(200センチくらいのただの木)、壊れた木の兜、穴のあいた革の服だ。
野営といっても、たいそうな荷物を持っていないので、焚火をするだけである。焚火には残ったシャドウウルフの肉を長持ちさせるため遠火にあてている。
夜に出没する魔物は、火属性が苦手な魔物が多く気休め程度に焚火をしている。それに俺は薪を大量に集めなくても、ウォーターボールで代替がきく。
焚火をしている近くの茂みから2本の長い耳が出ている。
月に向かって叫んでいた時分に気づいたが、気まずいし、ガキの面倒を見れるほど俺に余裕があるわけではないので放置している。
ぎゅるるるるぅぅぅ~~~~
俺の良心をゴリゴリ削っていく。
「おい!そこの肉を好きなだけ食べていいが、食べたら失せろ。俺はこう見えても凄腕の冒険者だ!寝込みを襲おうとおもうなよ!」
そういって、銅の剣とウルフバスターを抱きしめ、少しなめして乾かしただけのシャドウウルフの毛皮を羽織り体を休める。
薄目で様子を伺うと、10歳くらいのピンク色の精霊族(アニマル科ラビット種)が、おっかなびっくり焚火に近づいて肉を食べはじめる。
子供だからと油断しない。スラムではこんな子が日常茶飯事に盗みをしているのだ、もし、銅の剣を盗まれたら、まず間違いなくこの街道で俺は死ぬ。いや、うっかり、うとうとしただけでも首を切り落とされかねない。俺は決して油断しない。俺は月にもう人は信用しないと誓ったんだ。絶対に!絶対に!油断しない!
「・・・」
「・・・て」
「・・・ぃちゃん」
「おにぃちゃん。おきて」
ゆさゆさと揺さぶり、耳元に小声でおこす少女の声で目を覚ます。
「森の奥からくるよー。何か怖いのくるよー」
「ん?!」
俺は、ビクッとしたあと立ち上がり。少女が耳と視線を向ける森の奥と焚火を境に対峙する。
ガサガサと森に生える草を押し分けて、紫色の屍、グールがものすごい勢いで迫る。
グールは、前傾姿勢で転びながらも、勢い落とさずに真っ直ぐ向かってくる。
『ウォーターボール!!』『ウォーターボール!!』
「――はぁ。やっぱ、俺の水魔法は効かないか・・・呪われてんのかな?」
グールが焚火に突っ込むと、一気に燃え上がるが、燃え上がるのもお構いなしで俺に迫ってくる。
燃え上がったグールにウルフバスターを叩きつけ這いつくばらせて押さえこむ。
馬鹿力で払いのけられそうになりながらも、燃えるグールを必死に抑え込んでいるうちに徐々に動きを失い、指や足、体の細い部分が炭になってボロボロと崩れ動きを止めた。
当たりにはプスプスとした煙が漂う。
危ないところを救われた俺から、最初に出た言葉は意外なものだった。
「え?肉20キロくらいあったろ?後ろ脚しか残ってないぞ?」
少女はつーっと目をそらすが、遠火にさらしていた肉は半分くらいなくなっておりポッコリとしたお腹が雄弁にすべてを語っていた。
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