族[獣] 科[野] 名称[シャドウウルフ] 推奨[E~] 出現[野山森――――――――闇] 注意事項[集団化、闇魔法]
◇族[獣] 科[野] 名称[シャドウウルフ]◇
全長150センチ程度。特殊な黒い毛は暗がりに入ると認識を阻害する効果がある。
瘴気で汚染されたウルフの種類が強靭なほど危険度が跳ね上がる可能性がある。
◇推奨[E~]◇
連携し冒険者を襲うため、Eランク以上の冒険者に討伐を推奨している。
犬歯は魔導具に使え、毛皮は隠ぺい素材としてニーズがあるが、肉は臭くて売ることはできない。
◇出現[野山森――――――――闇]◇
主に森で発生し、茂みなど隠れる場所がある地域に進出していく。
◇注意事項◇
集団化・・・同族を見つけると共に行動をはじめる。また、群れが大きくなった際に上位個体を発生させる。
闇魔法・・・獲物の影の上を走る場合、2倍の速度で走れる。
◇ウロク談◇
コロニーのボスと関係が悪くなった俺は、生活基盤を立て直すため、別の街へ拠点を移すことにした。
カメリア町から徒歩1週間くらいのチャノ街には、金になる種類の魔物も沢山いると聞く。
その頃の俺はソロで、装備は銅の剣、杖(200センチくらいのただの木)、壊れた木の兜、湯を絞った布でよくぬぐった穴のあいた革の服だ。
チャノ街への街道は、デコボコで歩きづらく、魔物や盗賊に襲われることも頻繁にあると聞いている。
俺は、移動する際に2人の護衛と馬車をもつ商人に寄生するための話をつけた。
下手に寄生すると盗賊として討伐されても文句言えない。
商人と話し合いの結果、一番魔物に襲われやすい先頭、つまり商人の前方20メートルを俺が歩くこと。その代わり、ゴブリン3体以下なら押しつけて共同討伐しても良いという約束だ。
街道を進み、だいぶ日が傾いてきた時に、俺をつけ狙うように茂みが動いているのに気がつき魔法を放つ。
『ウォーターボール!!』
20メートル離れた茂みにウォーターボールを放つと、ダッと3頭のシャドウウルフが襲い掛かってくる。
「「「ガルルルルッ!!」」」
俺はすぐに、商人の護衛へ共闘してもらおうと走るが、商人の護衛から厳しい声が飛ぶ。
「くるな!!連れてきたら、コロス!」
そう叫び、俺に槍を向けてくるので、立ち止まらないわけにはいかなかった。
(嘘だろっ!約束しただろ?!)
せめて囲まれまいと杖を振り回すが、囲まれるのも時間の問題だ。
一頭がフェイントをかけ、同時に俺の視野の外から二頭目が襲う。
「でやあぁっ!!」
わざとスキを見せたのが功を奏し、跳びかかってきたシャドウウルフの足を切りつけ機動力をそぐことに成功した。
日が傾いて伸びている俺の影に入り込んだシャドウウルフが、一瞬で俺の首元まで走りこむ。
「――ッグ!!ガッ!」
とっさに杖で庇ったが、杖にかみついたシャドウウルフが全体重で杖を引っ張り俺から杖を奪い去る。
完全に俺を取り囲んだシャドウウルフは、二頭が跳びかかる機会を伺い、足を傷つけられたシャドウウルフが吠えて威嚇する。
二頭が連携し攻撃をしかけてきた。俺の影に入ろうとするシャドウウルフをウォーターボールでけん制し、連携に失敗しながらも跳びかかるシャドウウルフの肩から胸にかけて斬り伏せる。
(残り一頭をスラッシュで決めれば、あとは機動力を奪った一頭だけだ)
傷のあるシャドウウルフに注意を払いながら、じりじりと無傷のシャドウウルフに近寄っていく時にそれは起こった。
ヒュン!
「キャイッ・・・!!」
シャドウウルフの首に矢が刺さり、足が傷ついているシャドウウルフに槍が突き刺さる。矢が刺さって暴れていたシャドウウルフに、引き抜いた槍で商人の護衛がすぐに詰め寄ってとどめを刺した。
「約束通り共闘したぞ。こちらの2頭は我々が倒したから、もらっていく」
(は?何言ってやがる?)
文句を言おうとしたが、俺に弓が向けられているのに気づき商人たちが立ち去るまで黙って見送るしかなかった。
その日の夜、一週間ぶりに食べた肉はクソまずかったが、もうヒトなんて信用するものかと暴言を月に叫ぶ力を与えてくれた。
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