族[獣] 科[野] 名称[ホーンラビット] 推奨[F~] 出現[野山森―――――――] 注意事項[雷魔法、突撃]

◇族[獣] 科[野] 名称[ホーンラビット]◇

  族と科を合わせて野獣種とも呼ばれる。

  頭に30センチ前後の角があり、角を除いた体長は100センチ前後。

  獣族は元々動物が瘴気に汚染されて魔物化したため、肉として食用が可能。

  ただし、獣族から魔石は取れない。


 ◇推奨[F~]◇

  どこの草原にでも生息しており、角が売れ、肉としても売れるので駆け出し冒険者にはいい稼ぎになる。

  角は加工しやすく、装飾やアクセサリー、ドアノブなどの生活に身近な用具にも使用される。


 ◇出現[野山森―――――――]◇

  元々ウサギのため、ウサギのいる場所には発生している。


 ◇注意事項◇

  雷魔法・・・頭の角から、対象を麻痺する程度の電撃を放つ。

  突撃・・・5メートルを一瞬で突き詰める瞬発力で頭の角から突撃する。



 ◇ウロク談◇


 俺は金がなく、せめてウサギでも取って飢えをしのごうとしていた時の話である。


 その頃はソロで、装備は銅の剣、ちょっと臭い木の盾、壊れた木の兜、革の服で、頭にはちょっとした怪我があり包帯を巻いていた。


 駆け出し冒険者の俺は、宿に泊まる金もなく、駆け出し同士で集まるスラムのコロニーで、日々暴力や盗みにそなえ生活をしていた。


 コロニーにもルールがあり、最低限食料を分け合うことになっている。貢献度が低い俺は、ウサギを狩りに腰まで草が伸びているカメリア町近くの草原にきた。


 いつものように、木の盾で草むらをかき分け進んでいると、背後にものすごい勢いで草をかき分け突っ込んでくる音がした。とっさに、真上に飛び上がり股を大きく開くと、股の下ギリギリに青黒いホーンラビットが通過する。俺に向かってホーンラビットは突撃チャージしていたらしく、突撃から派生する衝撃でズボンの股に裂け目が走る。


 「け、ケツの穴が増えるところだった?!」


 草が動くので、だいたいの位置を把握することはできるが、草が長すぎて姿は見えない。


 ゆっくりと、ホーンラビットに近づく。


 パシッ


 「――あがっ?!」


 ホーンラビットから放たれた電撃で、俺の体に電気が走る。その隙をついて突撃が俺を襲う。


 バコン!!!


 木の盾が砕け、俺の脇に突撃したホーンラビットが挟まって止まっている。あと10センチずれていたら、俺の胸に穴があいていた。


 電撃でしびれている体を無理やり動かし、俺のわきに挟まった状態のホーンラビットを締め付けるが、ウサギだけあり後ろ足のけりが凄まじく。離してしまう。


 「てやぁ!」


 離れざまにホーンラビットのケツを斬りつけることに成功する。


 「ぴぎぃ?!」


 「どうだ!ケツの穴を増やされる側になった気分は!」


 ウサギとくんずほぐれつしたおかげで、周囲の草が倒れ、お互いの視線が交錯する。


 ホーンラビットの後ろ脚に力が溜まっていくのを感じ取り、魔法を使う。


 『ウォーターボール!!』 


 ウォーターボールといっても、魔導士が使うレベルのウォーターボールではない。あくまでも、生活魔法であるウォーターの延長線上のレベルだ。


 生活魔法のウォーターは、千差万別で、人によっては塩味だったり、腐った卵のにおいのお湯だったりする。


 余談ではあるが、大昔に砂金を含むウォーターを出せた奴がいて、豪遊していたが数年もすると砂金が含まれなくなり、金が回らなくなったそいつは借金奴隷に落ちて鉱山で金鉱を掘るはめになったという笑い話がある。


 俺が何を言いたいのかと言うと、俺のウォーターもちょっと違っていて、ツーンと臭い粘性のある黒い水がでるのだ。


 刺激が強く飲めたものではないが、魔物にあたればこの通り。


 顔にぶつかった黒い水の刺激臭でホーンラビットは転げまわる。


 「とどめだ!」


 俺が跳びかかろうとしたとき、パシッとホーンラビットが使った雷魔法でなぜかホーンラビットが燃え上がり、転げまわる。


 「はぁ?!自爆?」


 草原が火事になったら大変だと、再びウォーターボールを放つが、さらに火力が増大する。


 「はぁぁぁぁ?!」


 焦った俺は壊れた盾で叩いて消そうとがむしゃらに奮闘し、火を沈下させ火事を食い止めた時には、真っ黒になった俺とすみになったホーンラビットだけが残った。


 「ははは・・・ウォーターが燃えるってどういことだよ・・・。も、もしかして俺、呪われてるのか?」

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