三者会談

次の日の早朝、ホテルに泊まった聡太郎を自宅まで榎本に送らせる。

聡太郎は自宅に待機していた日下と登校したと榎本から報告を受ける。

ちなみに水希の件が片付くまでは部活には行かないと聡太郎は話していた。


私は中島と北条に、ホテルに来るように連絡する。

9時には2人とも揃い、昨晩の部屋で緊急の会議を開く。


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2人にこれまでの経過を話し、聡太郎からの実験の提案を説明する。


「私も聡太郎も刀子が特別な呪具とは考えていない、そこで実験を行う」

「本日の夜、山村宅にてプラネテスを召喚支配するが、方法は私が所有している『プラネテスを呼び出す触媒のダガー』で何かしらを傷つけるだけだ」


聡太郎は、刀子はダガーと同じ効果を有する呪具でしかないと考えている。

理由は文献や伝承に刀子のような魔力をもつ呪具が見当たらないことと、そのような強力な呪具の作成はチャールズ総裁クラスの魔術師でも不可能なこと。

そこから形状の類似性を鑑みれば、刀子はダガーと同じプラネテスを召喚支配する際に必要となる触媒でしかないと推論したのだ。

それが滝弁天の影響下では、本来の力以上の魔力を発揮する呪具に変わるのでは?というのが聡太郎の仮説である。


この仮説を証明するには、刀子でなく私の所有する魔力を付与したダガーで、状況から推測された刀子の使用法を再現する訳だ。


「切りつけるだけって、飛躍し過ぎてませんか?」中島が発言する。


「確かにそこは根拠は薄いのだ、聡太郎は肝試しの時、水希が何か刃物のようなもので草を薙ぎ払い墓場を進んでいたのを見たというのだ」


私がそこで説明を止めると「それだけですか?」と2人して声を合わせて呆れ顔になる。


確かにそうなのだ、何時もの私なら馬鹿馬鹿しいと相手にしない稚拙な推論であり突拍子のない世迷言だ。


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「部室の位置からは200メートル、山村宅からは約300メートル」私が突然話し出すと北条は不思議な顔をしたが、中島は察して言葉を繋ぐ。

「確かに、滝弁天の影響を調べる必要はありますね」その言葉で北条も理解した。


「聡太郎の監視警護に関して滝弁天の影響を把握することは重要事項だ、場合によっては聡太郎の居住地の変更も考慮しなくてはならない」私の意を汲んだ2人に念を押す形で説明した。


「そうなると、あのショゴス召喚の事例は何か見落としがある可能性も」中島はそこで話しを区切り考え出した。

中島が言わんとするのは、ショゴスが滝弁天に出現する事件が起きるまで、聡太郎はあの家で安穏に暮らしていたという意味だろう。

もし今夜プラネテスが出現することがあれば、あの時期の聡太郎たちの生活を再調査することになる。


今夜のプラネテス召喚の立ち会いは、私と中島と北条そして山村聡太郎の4人に決定した。

日下は他メンバーと近くで車待機とする、プラネテスは可視化できるクリーチャーだから問題はない。

他詳細を話し合ってから解散、各々が夜の準備に取りかかる。

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