密会
薄暗い部屋のベッドの上、2人は裸体を密着させ横たわっていた。
「今日の会議、あまり話さなかったね、珍しい」舎人史恵は切れ長の目を艶っぽく濡らして見つめ、小暮を揶揄った。
「珍しく比留間が喋っていたからな、そろそろ後進に道を譲らないと若いヤツらが育たない」真面目に答えたが、胸板に触れる柔らかい双丘が気になっている自分を小暮は心の中で笑った。
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「ねえ、どう思う本当のところは?」
今日会議後『時間ある?』と舎人に誘われた時からこの質問を予測していたが、思ったより時間がかかったことに正直驚く。
情交を重ねるうちに緊張感が薄らいだのか、扱いやすい男と侮られたのか、どちらにしろ彼女の心境であって俺が気にすることではない。
「虎の子の日下美由紀を犠牲にしてまで監視する意味は一つしかないだろ、山村聡太郎は協会にとって凶兆だということだ」
俺は態とらしく顔をしかめて目を細めた。
「まずは不可視のショゴスだ、出現しても日下以外には気づけない、だから日下の配置は絶対条件だ」
「それに総裁の見解が正解ならショゴスを支配できる山村は無敵だ、総裁でも太刀打ちできるかわからん、何せ不可視のショゴスなんて確認されていない、何でもありか適合者は」
「でも滝弁天に近づかなければOK?」
「その保証は?出現条件は他にもある可能性だってある、あと議論にも出たが日下と聡太郎が滝弁天に行く結論を出した場合は?」
「聡太郎を殺せば?」
「聡太郎の死を条件にショゴスが出現したり、また何かしらの外宇宙の災厄が発動する可能性は大だろう?勝手なことはできない」
舎人は身を起こして少し考えてから振り向き質問をした。
「日下と聡太郎は滝弁天に行くと思う?」
俺も身を起こし舎人に顔を近づけて答える。
「日下には総裁の御孫という情報は入っているから、こちらから禁止命令でもない限り聡太郎のお願いやら欲求には何だって答えるはずだ、また聡太郎は両親の惨劇は自分が原因ではないかと疑念を抱いている節がある、そこから総裁は聡太郎の抑圧された欲望を推理した訳だから、蟠りが晴れない聡太郎が再度現場を訪れたいと思っても不思議はないだろ?」
「それにウチのリーダーは聡太郎を鼻っから疑っている、リーダーがいうように聡太郎が俺らを騙しているなら、日下を誑し込んで滝弁天に近づく危険だってある」
その先をつい口走ってしまいそうになったが自制した。
それは総裁とリーダーの見解に相違があるのに協会が上杉チームを起用した理由が判らない、総裁が崎原に聡太郎を帰した真意は何か?
『監視しろ必要なら守れ』協会らしくない曖昧な指令だ。
「だとしても...」といいかけた舎人の唇を俺は唇で塞いだ、そして2人は再びベッドに横たわり身体を重ねる。
俺は上杉の見解が正しかった時に考えられる最悪を想定して萎えるのを逸らすため、今は無心で舎人の乳房や陰部を貪り、漏れる喘ぎを愉しむことに集中した。
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