5.太郎からのメッセージ中
そして、メッセージはこう続いていた。
「だから、ヨーゼフさんに会えて かわいがってもらえて ぼくはとても しあわせでした。いまでも とても 感謝しています。いちども わすれたことは ありません。」
さすがにこれには訳が分からなくなった。「可愛がってもらえて」?
俺はメイド喫茶などの、女性がいるような店に彼は行ったことはなかった。そして、自慢ではないが、今まで恋人という存在すらいたことはなかった。
ハーフである彼の見た目を好む女性から、声をかけられたことはあった。
だが、やや偏屈な性格と、「夢」を見ている間数分間まぬけ面で硬直状態になってしまうせいで、付き合うという話になる前に相手から距離を置かれてしまうのだ。
回想に耽って返事を返さなくても、相手からはさらに送られてきた。
「だから 今回は ぼくが あなたの お力になりたいと おもっています。」
はあ、力に、ねぇ。何の?
半ば呆れながらも、律儀に文に目は通していく。そろそろぼったくり有料サイトへのURLが貼られる頃だろうか、と思いながら画面を眺めていた。
と、その後に送られてきたメッセージに
「彼女を、『夢』で みたんですよね。」
と書かれていた。
目を疑った。
「彼女」?あの「彼女」のことか?
あの巻き毛の、うさぎのような目をした。ドクンと鼓動が早くなるのを感じた。
なぜそれを知っているんだ?
その前に、白昼夢を見ることもこの人物は知っているようだ。あまり人に「夢」の存在を話したことはないのに。
そして、メッセージに返事を返した。
「彼女の事を知っているのか?」
「いや、そもそも、なぜ俺が彼女の『夢』を見たことを知っているんだ?お前は何者なんだ?」
畳み掛けるように質問を送りつけた。
しばしの沈黙。
そして手に振動が伝わったかと思うと、相手からの返信が届いていた。
「はい、しっています。」
続けて、
「あの『夢』は、あなたにとって とても たいせつな いみを もっています。そして、彼女にとってもです。」
大切な意味?
とは、一体何なのか?
詳細を尋ねようと指でキーパッドの上に触れた、その時、
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