第22話 美少女と美少女

俺はホームルームが終わるすんぜんに学校に着いた。


扉を開けて教室に入るとクラス中の視線が俺に向く。視線を教壇の前に立っている三浦先生に向ける。視線の先の先生は笑いを堪えながらも真顔で取り繕っている。誰のせいだと思っとんじゃ……


「神崎ー、遅刻は良くないぞー」


おうおう、どの口が言っとんじゃごらぁ?あ?


「すいません、気をつけます」


そう言って目の前にある席に俺は座った。


次は謎に殺意の目が俺に向いてくるなぁ、気のせいだよな、そうだよな、はは。


心の中で乾いた笑いをして前を向く。


「おはよーあゆ、遅刻なんて珍しいねぇ」


右隣の晴がニコニコしながら話しかけてくる。まじかで見るとほんとに美少女なんだよなこの二人。


「少し今日は寝坊しちゃってな」


俺は目を逸らした。あれ、なんかおかしいぞ?昔だったら何も意識せずに喋れていたのに……。


「どったのあゆ、そんなに遅刻した事が嫌だったのかな?」


晶は俺が硬直していることに気づくと、遅刻した事に落ち込んでいると思ったらしい。


「いや、なんでもない」


さすがにこんな事を言ったら晶達も引くに決まっている。絶対に言えないな。


そう自分に言い聞かせて表情を取り繕う。


一限目、二限目と俺は順調に授業を行っていた。白石とやるテスト勉強で少しは順位を上げないといけない。


別にこんな事をしなくても普通なら大丈夫なのだが、きっと恒星とかに俺の授業の事を聞くに違いない。もし、寝ているところを恒星が伝えると順位が上がったことに不審がる可能性が高い。


そうならないためには予め対策を立てる必要があるのだ。そして迎える三限目、俺は二つの敵と戦っている。両隣の二人はと言うと相変わらず授業で爆睡している。


「「くぅ、くぅー」」


そんな二人の可愛い寝息と寝顔をまじかで見ている俺は理性を抑えるのに必死であった。これが一つ目の戦いであり、二つ目は二人同様睡魔との戦いである。


最初は手を抓ったりしていたが、だんだんと睡魔が強くなっていき顔を叩いたり殴ったりした。しかしその効果も徐々に薄まっていき、俺は瞼を閉じてこの戦いに敗れた。



「ん……むむ……」


俺の両肩に何かが乗っている事に気づき俺は目を微かに覚ました。それでもまだ両肩の何かを見る気にもならず顔を手の中に埋める。


しかしそんな事をしていると妙に熱い視線を感じてそっと顔を上げた。すると狼のような瞳で目を光らせて恒星以外のクラスメイト+男性教師が俺を睨んでいた。


「げっ……」


思わずそんな声が盛れてしまったが、まずはこの現況を探ることに専念しよう。というか教師はそんなことしちゃダメでしょう!?!


俺は周りを見渡すためうつ伏せの状態から左を向いた。するとそこに思いもよらぬ光景が目と鼻の先にあった。


「オ、オイナンデコンナコトニ」


誰にも聞こえないくらいの片言の言葉でそう口にした理由は向いた先に晶が寝ていたからだ。よく考えると両肩に乗っかっている=こいつ俺を枕にしやがったな……。


「ってそれより」


俺はもう片方に俺は頭を向けた。あんのていそこにも目と鼻の先に美少女の顔がある。


「ウソデショ」


また片言言葉になり俺は固まった。これが周りが俺を攻撃する現況だったか。


晴と晶はこんな風にか爆睡すると昼になるまで起きなかったのを覚えている。


しかし今は高校生もしかしたら起きるかもとも思ったが、こんなにも気持ちよさそうに寝られては起こしたくても起こせない。


仕方なく俺はもう一度寝ることにした。


チャイムがなる音が聞こえたと思ったら、それと同時に両隣から目を微かに覚ましたような寝起きの声が聞こえた。


「ふぅ……んっ……むむむー」


「はぅ……んんっ……むー」


謎に少しエロいと思ってしまった俺を心の中でボコして起きてくれる期待をした。


「はぁ〜よく寝たね〜」


最初に起きたのは右隣の晴だ。


「ふぅー、少し物足りないけどいいかなぁ〜」


その次に起きたのはもちろん晶だ。そして俺も続いて起きようとするといきなり上に何かが乗った。


それなのにあまりにも軽いもので、ぷにぷにの丸いものが何やら当たっている。


「相変わらずあゆのうつ伏せの背中は最高だね晶〜」


聞き間違いなのかな?もう一回言ってくれると嬉しいかな?


「昔からあゆの背中はいいねぇ」


はい確信しましたァー!昔も寝てる時に重いなぁとか思っていたらお前らのせいだったんだね?しかもここみんな見てますからね?あとで俺の仕打ち目に見えた覚ますからね?


「あの、重くないけど起きたいからどいてくれませんかね二人とも……」


病むをえず俺は二人に言った。すると二人はいきなり離れて俺を起こした。なん何だ急に……?


「あゆ、寝てないならうつ伏せにならないで」


「そうだよあゆ、うつ伏せにならないで」


なんか少し怒ってませんか二人とも。俺なんか悪いことしましたかね?


「ちなみにその理由は?」


「寝てる時と寝てない時では気持ちよさが違うんだよ」


うん?晴何を言っているかもう少し具体的な事を教えていただきたいな。


「暖かさが違うんだよね、動き方も気持ちよくなるんだよね」


具体的な解説をどうもありがと晶。でもこれ俺のせいじゃなくね???


「すまんすまん、次から気をつけるよ」


説明するのもめんどくさかったため俺は謝っておいた。


そう言うと晴と晶は笑顔で頷いてそのまま授業を終えた。


終わったと同時に晴と晶は俺の手を取って走り出した。


「うおっ!何だ急に」


俺の問には答えずクラスのチクチクする視線を背中に廊下に出て走る。


「どこ行くんだよ」


走りながら俺は二人に向けて聞いた。いきなり走られせても意味がわからない。


すると急に二人は止まった。俺はと言うとその勢いで壁にあったった。


「あはは、大丈夫あゆー」


「派手にいったねえ」


二人は笑いながら手を差し出してきた。その事が地味に嬉しくて口元が緩む。


俺は二人の手を取って立ち、また二人に連れられて目の前にあった教室に顔を出す。


「はーちゃーん、きたよー」


「おっまたせー」


はーちゃん?一体誰やそんな人。


すると一人の茶髪の美少女が歩いてこちらに向かってきた。


「それじゃあ行きましょうか」


そう言って茶髪の美少女を前に俺らも続いて歩いた。










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