第15話 美少女の影響力はすごい
やばい……俺は取り返しのつかない事に俺はしてしまった。俺は白石の頭を無意識に撫でようとしていたのだ。
「いや、違う……家に入ってかなり時間たったなと思ったんだよ」
「「ジー……」」
視線が痛いぞ二人とも!間違っても撫でようとしてたなんて絶対に言えないんだよ!
「じゃあなんで手が白石さんの頭に伸びてたんだよ?」
ニヤニヤしながら聞いてくる恒星に続いて佐藤も聞いてくる
「完全にはくちゃんの頭を撫でようとしてたよね?」
「うっ……」
図星をつかれてつい変な声が出てしまった。
俺はわざとらしく咳払いをして反論をした。
「いや、それは錯覚だよ二人とも。俺はあそこにある時計を指したんだよ」
俺は白石が座っている方の壁に向けて指をさした。我ながら上手く誘導できたと思う。
「じゃあなんで指じゃなくて手の平を広げてたんだよ??」
「まあヨシヨシしたくなる気持ちも分かるよ〜!だってはくちゃんの髪の毛サラサラでツヤツヤだもんね〜」
うん、そうだよな俺の思考は普通の男子高校生の思考だよな……いやダメでしょ?!
一応白石の顔を見ておこうと思った。怒ってるかなぁ。
「ん」
「どうしたんだ?」
白石は俺に頭を寄せてきた。怒って頭突きでもしようとしてんのかな、それなら素直に受け止めよう。
「おうけいわかった。頭突きやらなんやらしてくれ」
俺は目をつぶって白石に向き合った。
「むー。何を言ってるんですか神崎くん、私の頭を撫でたいんじゃないんですか?」
「ちが、、、はいそうです」
あまりにも白石が真剣な眼差しで見てくると、嘘はつけない。正確にいうと嘘をついても見破られるんだけどな。
「それなら……どうぞ」
「それではお言葉に甘えて」
俺は白石の頭にそっと手を伸ばして撫でた。佐藤のいってた通り、触れるだけで分かるツヤツヤ感が半端じゃない。しかもすげーいい匂いもするし、これはたまらない。
白石は顔を真っ赤にしながら正座をしている。そんな顔を見ているとこっちも恥ずかしくなってくる。
「あの神崎くん……どうですか?」
「えっとー、うん最高」
「変な返答ですね」
くすっ、と笑いながら言う白石は、控えめにいって最高に可愛かった。
俺は撫でる気持ちよさに浸っていて二人のことを忘れていた。嫌な予感を頭にしまい込んで二人の方を見た。
いじり倒されるかと思っていたが、あっちもラブラブなようで気づかれてないのかもしれない。
「恒星達そんなにイチャつくなよ」
「人の家でイチャつくのは良くないですよ」
俺と白石は平然を装いながら、何事もなかったように言った。
「よくその状態で言えたなお前ら!!!!!」
俺は今の状況を確認した。俺は白石の頭を撫でている状態で、白石は撫でなれながら幸せそうな顔をしている。どうして幸せそうな顔をしているのかは全然分からないが。
とにかく今わかったのは、この状態で話しかけたのが失敗だったことだけ。
「あ、ちなみに最初からちゃんと見てたから隠さなくても大丈夫だよ〜」
「それを先にいえぇぇぇえええええ!!!!!」
全く平然を装った意味もないじゃないか。最初から見られてたんじゃどうしようもない。
「それで?歩はいつまでヨシヨシしてるんだよ?」
「何をいって―――」
俺はさっき自分の状況を確認したのにも関わらず、ずっと白石の頭を撫でていた。すぐに手を引っ込めて言い訳の言葉を探していた。
「むー」
ん?なんだこの視線は……いつもの殺意の視線やいじりの視線じゃなくて他のものだ。
視線を感じる隣を見るとさっきまで頭を撫でていた白石が不服そうな顔でこっちを見ていた。
「どうしたんだ?」
そこで白石も自分で気づいたのか、不服そうな顔をいつものクールな表情に戻していた。顔が真っ赤なのは触れないでおこう。
「な、なんでもありません」
まだ恥ずかしいのか少し言葉を噛んでいた。
「そうか」
俺もこの話題は早く終わらせたいので、少し分からなあ部分もあるが納得したような言葉で返しておいた。
恒星達はいじろうともせず自分達の世界に入っていた。いつもは早く終わってくれと思っていたが、今回だけはありがたいと思った。
それからは恒星達がイチャイチャし終わるのをまちながら白石と雑談を交わしていた。
「よし、それじゃあ俺とゆきのイチャイチャも終わったことですし出かける場所を決めましょうか!何か希望のある方ー?」
「人が多くないところを希望します」
人混みは体力を使うからそんなに好きではない。先に言っておけば人混みの少ないところにしてもらえるだろうという俺の技だ。
「白石さんとゆきはどこ行きたい?」
ん?
「私服買いにいきたーい!」
ん?
「私も新しい服買いに行きたいですね」
あれ俺の希望はどこにいったんだ?
あぁーここで恒星が何かしら言って図書館とかに行くことにするだよな、きっと。
さすが恒星だわ。リア充まじすげーよほんと。
「じゃあショピングモールだな!」
「俺の希望どこいっとんだよ?!」
「歩は嫌なのか?」
「もちろ―――」
俺が恒星の言葉を肯定しようとすると、その前に美少女から尋ねられた。
「神崎くんは嫌ですか?」
大きな綺麗な瞳で俺を上目遣いで見るのはやめて欲しい。少し悲しそうな表情で見つめられると嫌なんて言えるわけがない。
「ショピングモールでいい」
止むを得ず俺はそう言っておいた。あれで”嫌だ”なんて言える奴がいるならぜひ指導をして欲しい。まあいるわけないと思うけど。
正面では恒星がくすくす笑っている。口には出さずに目で『卑怯者目!』《ひきょうものめ》と言っておいた。
「まあ行く場所も決まったことだし、俺らはそろそろおいとまさせてもらおうかな」
俺はもうそんな時間かと思って時計を見るともう6時を回っていた。なかなか恒星達のイチャつきが長かったのかもしれない。
「ちなみに歩、もうこんな時間かと思っていると思うがそれはお前らのイチャつきが長かったからだからな」
「人の心を読むなよ?!」
リア充はほんとに心を読むのが上手いらしい。
俺と白石はアパートの下まで見送って部屋に戻った。
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