第14話 リア充カップルと美少女
別に白石はいつも来てくれているから驚くことはない。いつもなら驚くことないけど…。
なんで入ってこれたんだ。
「…………」
言葉が出てこなかった。二人の視線はなんか気持ち悪いし、白石の『どうして二人が?』見たいな視線にも反応が出来なかった。
そんな呆然を破ったのは白石や俺ではなく恒星だった。
「お邪魔してるよー白石さん!」
いや、ここ俺の家なんですけど?
「お邪魔したま〜すハクちゃーん!」
だからここ俺の家だからね?!!
「ここは神崎くんの家ですよ」
苦笑しながら言う白石もテンションは違うが、恒星と佐藤と同じリア充なんだなと思った。
「神崎くん今日のお昼ご飯はどうしましょうか?」
いきなりその話題を振ってこられるとリア充カップル二人組の視線がいじり視線に変わって俺に向けられた。白石はというと『しまった?!』とまではいかないけどあっ、見たいな感じでこっちを見ていた。
「食材は残っていますか?残っているなら二人分追加で作れますよ」
あえて普通に振る舞っているんだろう。さすがの判断力だ。
「食材は残ってるぞ、でも少し負担が大きいんじゃないか?」
「二人分追加ぐらいはそんな変わらないので大丈夫ですよ」
「そうなのか、まあそれなら頼む。二人もそれでいいか?」
その二人は唖然とした顔で俺と白石を見ていた。
「なんだ、お前ら夫婦だったのか」
「夫婦になったんなら先に言ってよ〜」
どうやら逆効果だったらしい。普段通りに振る舞っていたらまさかの夫婦判定って白石に失礼すぎるだろ。白石だって顔が赤くなっているし、怒ってるんだろうな。
「あのなバカップルども。俺は別にどうでもいいけどな、白石には失礼だぞ」
普通に白石ほどの美少女と夫婦判定されて嫌がる男子はいないだろう。でも白石からすると俺みたいな短所しかないやつと夫婦判定なんて嫌に決まってるしな。
「「「はぁ〜」」」
「えっ?!なんで三人揃ってため息ついてんの?!」
全く理解ができない。普通のことをしたと思ったんだけどな。
「神崎くんはなんでそんなに自己評価が低いんですか」
「俺は自己分析が得意な方だけど」
「しょうがないよ白石さん。こいつは中学の時からひねくれてるから」
「ひねくれてない」
「まあ、いつもの事だからね」
「俺はいつもひねくれてないぞ」
俺は全く自己評価が低いわけでもないし、ひねくれてもない、ただ自分にあった評価をつけてるだけないだけどな。
「髪の毛で目は隠れてるけど上げるとかなりイケメンなんだよな」
「だよね〜」
「たしかに……」
「なんだお前ら嫌味か」
お前ら美男美女共に言われたらただの嫌味に聞こえるぞ。少しはその事を知って置いた方がいいよな。
「性格はなぁ」
「自覚しているから言わなくていい」
自分でもそんな事は自覚しているし直そうとも思ってない、これこそ性格悪いのかもな。
「いや、歩は優しいぞ」
「もう嫌味はよしてくれ」
「ただ近づかないと分からないんだよ歩の優しさはさー!」
どういうことだよ。っていうか声がでかいんだよ!
「たしかに分かりにくいよね〜」
「分かりにくいですね」
「優しさにわかりやすいなんてあるかよ」
俺が優しいなんて有り得ないこと。
「そういう事だからな」
グゥ〜
俺のお腹がなった
「そろそろご飯作りますね。何がいいですか?」
「白石が作るのならなんでもいいぞ、美味いから」
また白石の顔が赤いな。なんか怒ることなんて言ったかな……
「…………」
謝ろうにも何が悪いか分からないから謝れないな。
「そ、それじゃあ神崎くん達はリビングでまっててください」
そう言われて手伝わなくていいのかと思ったけど、俺にはやられる事はひとつもなかった。
「んで歩は白石さんの事好きなのか?」
「どこをどう見たらそうなるんだよ」
たしかに白石は良い奴だし感謝もしてる。けど好意をもっているかと聞かれるとなんか違う気がする。
「ゆきはどう思う?」
「あんなデレてる歩は見たことないな〜」
俺はデレてない…と思ってる。
「だよな!」
「いやデレてないから!」
そんな感じでいじられ続けて耐えれなくなった俺は白石の方に行って助けを求めることにした。
「白石助けてくれ」
「あと少しでできるので待っててくださいね」
今日も白石が作っているご飯は美味しそうだ。いや、美味しいんだな。
「神崎くん残りは盛り付け少し手伝って貰えますか?」
そのぐらいは俺もできるやつだな。
「はいよー」
皿に盛りつけをしてリビングまでご飯を持っていくと、また変な視線を感じた。もう俺はこの視線には反応しちゃダメだということを学んだ。
白石もこっちに来たところで今日のピンチな瞬間も終わった。
「おぉーこれは美味しそうだなこのご飯」
恒星の目が輝いて見えるのは気のせいか?
「さすがはくちゃんだよね〜」
佐藤も輝いてるから気のせいじゃ無くなったな。
「ありがとうございます」
白石もニコニコな笑顔で言ってるのでよかったなと思う。
「「「「いただきます」」」」
白石以外の三人が箸を一斉に動かした。
いつも通り俺の箸と口は止まらず動いてすぐに完食してしまった。今日は佐藤と恒星も素早く食べ終わって完食していた。白石も量が少ない分早く食べ終わっていた。
「「「「ごちそうさまでした」」」」
「いやぁー白石さんのご飯めっちゃ美味かったよ!歩が最近ニコニコしながら学校に来る理由がわかった気がするよ!」
「神崎くんはいつもニコニコしながら来ているんですか?」
「いや、していないと思う」
心の中では満面の笑みだと思うけど顔には出てないはず……出てないよね!?
「歩最近ずっと昼までニコニコしてるよ〜」
「俺、顔に出てる???」
「「もちろん」」
自分で思ってる以上に顔に出てるらしい。これからはもう少し気にしながら登校しないとな。
一応白石の方を見てみると目をそらされた。
弁解とかしたいが、二人がいるところでやるとまた質問やらいじりやらでめんどいことになるから後でしておこう。
「てゆーかやっぱり歩の家本以外なんもないな」
「だよね〜、男の家にしてはつまらなすぎる」
「そんなディスるなよ。必要最低限の物は置いてあるからいいだろ」
「生活には困らないですね」
やっぱりわかってくれるか白石!
「でも少しつまらないところもありますね」
「白石も敵だったのか」
「敵じゃありませんよ」
笑顔でそれを言われると胸にグッとくるから控えて欲しい。目の保養にはじゅうぶん過ぎるほどだけど。
「恒星は私のご飯も好き〜?」
「当たり前の事を聞くなよゆき」
やばいこれはイチャイチャが始まる予感が…
「ほんと〜?いつも頭撫でられるとかしかされてないんだけど」
「美味しいに決まってるだろー!」
恒星はそう言って佐藤の頭を優しく撫でた。始まってしまったこのイチャイチャゾーンが。
「ふわぁぁぁ最高だよ恒星〜」
「今日も可愛いぞー」
「「…………」」
もう慣れてきてはいるが、やっぱり目の前で見せられると居心地が自分の家なのに悪い。
白石の方を見てみるといつも通りクール美少女の顔で俺の隣に座っていた。少し顔が赤い気もするがこれを見せられると無理もないだろう。
ヨシヨシヨシ ヨシヨシヨシ ヨシヨシヨシ ヨシヨシヨシ
そろそろ止めたろうかとも思ったが、俺にはそこに割ってはいる程の肝が座ってない。最終手段に入るか。
「俺皿洗ってくるわ」
「私も洗ってきますね」
しっかり白石もこの作戦がわかったようで二人でキッチンに行こうとしたその時……
「おい歩と白石さん!なんで止めてくれないんだよっ?!」
「俺らもそれほどバカじゃないからな、カップルはイチャつきながら帰ってくれ」
「さすがに人前で堂々とイチャつかないよ〜!」
どの口が言っとるんじゃ!!!!!!!!!!!今さっきもバリバリイチャついとったじゃねぇーか!
「まあいい、そのイチャつきが終わってくれたなら居心地のいい我が家に戻る」
「さっきのイチャつきは凄かったですね」
「そうなんだよ、リア充のイチャつきを目の前で見せられるとたまったもんじゃない」
そういいながら俺と白石はまたリビングに戻った。
「よし!では、イチャつき芸も終わったとこれで歩!今週の土曜日は空いてるか!?!」
「見事空いてるな」
「はくちゃんは空いてる〜??」
「空いてますよ」
「なら四人で遊びに行こう!」
なんでこのリア充軍団の中に俺が入らないといけないのか。また痛い視線を感じることになるのか……。
「歩がすっぽかしたらどんな罰をあたえようか」
恒星はわざとらしく悩む素振りをして手を顎に添えた。
「すっぽかしたら白石さんに任せることにしよう」
「それがいいね〜」
「いや、さすがにすっぽ貸すことはしないよ」
バイトが入っていたらありがたかったたんだけどな。
「それに、白石に罰を与えられると何をされるか分からないからな」
「神崎くんは私のことをなんだと思っているんですか」
少しムッとした表情で見てきた白石は可愛くて幼い子を見ているようだった。
手がかってに白石の頭に伸びていった事に気づき、すぐに手を引っ込めた。
しかし引っ込めるのは遅っかたらしい。
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