第13話 友人と美少女
「なあ歩?」
「なんだよ」
「今日学校午前終わりだし家に遊びに行っていい?」
今日は学校の創立記念日で午前授業で終わる。俺が思っていた創立記念日は、一日中休みだと思っていたが午前はちゃんと勉強がある。さすが進学校って事だろう。
「なんで俺の家に遊びに来るんだよ」
「いやぁー久しぶりに遊びに行きたくなってな!もちろんゆきとセットでな!」
確かに高校に入って少ししたら、すぐバイトに入ってほぼ遊ぶことなんてなかったか。と言うかカップルの営みの場所に俺の家を使わないで欲しい。
「カップルでイチャつくなら恒星か佐藤のお家で」
「そんな硬いこと言うなよォ」
「リア充のイチャついてる場面を目の前で見せられている俺の身にもなって欲しい」
三回ほどカップルで俺の家に来たけど遊びの三分の二をムカつくほどイチャつくカップル鑑賞だった。
「今回は少し控えるからよー」
「まあ良いけどさ」
イチャついた瞬間とにかく本をよもう。うん、そうしよう。
「「ありがとう歩!!」」
どっから佐藤は出てきたんだよ。
「後ろにずっといたんだよぉ〜」
「簡単に心を読む能力を使うなよ?!」
ほんとにリア充特権の心を読む能力を簡単に使わないでくれよ。隠し事が出来なくなるじゃないか……。
「佐藤はもう帰る準備はできてるのか?」
「バッチリだよ!」
そう言って俺らは家まで歩いた。
家の近くまで来て俺は思い出した。白石が家でご飯を作ってくれている事を。
かなりピンチだよやばいよまじで?!俺のミスだけどこれはほんとにピンチだよ!
「な、なあ恒星?やっぱり今日は無理だ。ほんとに済まないな」
「嘘が下手すぎるぞ歩」
「あまりにも下手すぎて引くレベルだよ〜」
恒星と佐藤が中々まじな顔で言ってきたのに少し傷ついた。
俺はそんなに嘘下手じゃないと思うんだけどな。やっぱりこれも能力なのか……?
「なんで嘘って分かるんだよお前ら……」
もうリア充達に嘘つくの辞めようかな。メンタルがすり減っていく気がするよ……。
「「表情」」
「イ・チ・ャ・ツ・ク・ナ」
「「どこがだよ?」」
「そこがだよ!」
もういいや、このカップルは天然イチャつきでもなんでもしていてくれ。
それよりもどうにかして白石か恒星達をどうにかしなければ。まずは白石に連絡しないと。
『白石今どこにいる?』
……そんなに早く既読がつかないか。一旦家まで行って白石がいるか確認をするか。
「ちょっとまっててカップル。少し中を見てきてくるから」
「別にいいけど、なんかあるのか?」
これで”白石がいるからだよ!!”とか言ったら間違いなくノックアウトだよな。
「いや、部屋片付いてたかなみたいな?」
「歩の家はキッチン以外は片付いてるだろ。まあ、前でゆきとイチャついてるわ!」
満面の笑みでそう言われるのは苛立ちしか立たないんだけどな。
「速攻に帰ってくれ……」
俺は家の中に入るが白石がいる気配はない。メッセージの既読はついてないしどうしたもんかな……。
「電話するか」
俺はLINEに着いている無料通話で白石に電話をした。
プルルルル プルルルル プルルルル
やっぱり出ないか〜。残り三コールで出なかったら諦めよう。
プルルルル プルルルル プルルルル プチ
出なかった。これは観念して恒星達を入れて、白石が来たら玄関で事情を話せばいいか。
「すまん、もういいぞ」
俺は玄関の前でまっていた恒星と佐藤に声を掛けて家の中に入れた。
恒星は足速にキッチンへ向かった。
「お、おい歩なんでこんなにキッチンが綺麗なんだよ?!!」
その言葉に反応して佐藤もキッチンへ向かった。
「え、ほんとじゃ〜ん!なんで何で?!」
「今さっき片付けたに決まってるだろ」
恒星と佐藤は目を細めて俺をまじまじと見てから、目を合わせて同時に言ってきた。
「「嘘じゃん!!!!!!!!!!!」」
「なんですぐに決めつけんだよ?!」
「そんなん歩がキッチンの掃除を短時間で出来るわけないし。なあゆき?」
「恒星の言う通り〜。歩がこんな短時間でキッチンの掃除ができるなら、世界中の人はコンマ何秒でできるって言うの〜?」
「おい、そんなに言わなくてもいいだろ」
今の言葉で俺の100のHPが20になったよ。俺の心はガラスのハートなんだよ!……多分。
そんな俺のガラスのハートをバラバラに砕いた人が玄関を抜けてキッチンの前に立っていた。
その瞬間恒星と佐藤の目が人をいじる体制に変わっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます