第9話 美少女との共同生活
「どうやって返そうかな」
俺は今タッパーと弁当箱を見ながら家で悩んでいる。今日は土曜日だから学校が休みで、返すきかいを逃してしまった。
学校で返そうと思っていたら今日は休みで、マンションまで渡しに行こうと思っても白石の部屋番が分からないから呼び出せない。もちろんLINEも知らない。
「やっぱり月曜日返すのがいいか」
結局月曜日に返えす事に決めて俺は朝ごはんのゼリー飲料を取った。
ピンポーン
ん?白石が取りにきた?ってそんな面倒臭いことするわけないか……
「はーい?」
扉を開けた先にはさっき来ないと思っていた白石が立っていた。
「あー、取りに来てくれたのか。すまんちょっとまってて」
「ちょ、ちょっと待ってください。今日は取りに来たのもあるんですが、一緒に朝ごはんを食べようと思って。今日もゼリー飲料でしょう?」
もう朝ごはんを当てられても俺はビビらないからな。でもなんで一緒にごはん食べるんだ?ただ取りに来ればいいだけなのになんで朝ごはんまで作ってくるんだ?
「まあ、そうなんだけど。なんで?」
「昨日も言ったとおり、食生活が悪い人が近くにいるのに、見捨てるなんてできませんから」
「なんなんだそんの善意は」
「いいえ、これはただの私のお節介であって偽善ですから」
なんかこの前俺が似たような事言った気がしたけどまあいいか。
「一緒に朝ごはんを食べさせてくれるのはありがたいけど何処でたべるんだよ。朝っぱらから公園でピクニックは少し気が引ける」
「違いますよ。神崎さんの家です」
「ん?なんで?」
「神崎さんの家はもう一回入ってますし大丈夫かと」
「別に俺はいいけどさ」
こいつは男の家に入ることを躊躇しないなのか?もう少し自分が男の理性を壊すって理解した方がいいと思うけどな。
「それでは、お邪魔しますね」
「ん」
白石はリビングを見渡してその次にキッチン。最後に俺の目の前に来て聞いてきた。
「神崎さんは家には本と生活に最低限必要なものしかないんですか?」
そう聞いてきて俺も一度部屋を見渡して見ると本棚に詰まってる本以外は最低限のものしかない。だから男子高校生の部屋にしては綺麗なのかもな。
「そうだな。家にいても本読むしかないし、食べ物もカップ麺とかで済ませてたから料理器具とかも最低限しかない。もちろん服も家具も」
「ミニマリストですか?」
少し興味深そうに聞いてきたけど俺はミニマリストではない。
「全く違う。俺は買うのが面倒臭いから買わないだけだ」
「極度の面倒くさがり屋ってことですね」
「そーゆことだ」
極度がつくほどかは分からないが、面倒くさがり屋なのは自分でも理解しているつもりだ。
「それでは食べましょうか。手洗ってきますね」
「はいよ」
タッパーに入ってるのはサンドイッチと厚焼きたまごだ。サンドイッチは昨日とは具材が違うらしくツナマヨとハムレタスサンドだ。
どのご飯も見てるだけで満足できるぐらい美味しそうだ。
「お待たせしました。それじゃあ食べましょうか」
「今日もありがとな」
「いえいえ、ではいただきます」
「いただきます」
俺はツナマヨのサンドイッチを取って食べた。相変わらずの美味しさで思わずまた口から言葉が出てしまった。
「美味い…」
「ありがとうございます」
白石は学校とは違う笑顔で応えた。その笑顔は眩しすぎる。
「ふぅ……食った食った」
「かなり量あったと思うんですが……」
少し白石は驚いた表情で俺のお腹を見ていた。
「普通の男子高校生ならこれぐらいは食べれると思うぞ」
「それにしては神崎さん細いですよね」
「いや、普通だと思うけどな」
「そうですか?」
「まあ、美味しい物は別腹って言うだろ?」
「そうですね?」
疑問系なのはきっと聞いた事がないからだろう。なんせ俺が今考えた言葉だからな。
「まあいいです。それよりLINE交換しませんか?これからもタッパーとか返す時とか連絡していただければ楽ですし」
「そうだな。今日もどうやって返そうか困ってたし」
ん?これからも?まさかまた朝ごはんを作りに来てくれるのか?いやいやそんな都合のいい勘違いをするな俺。
「これからもってまた作りに来るのか?」
一応聞いてみることにした
「そうですよ。迷惑じゃなければですが。迷惑ですか?」
まじか。またこの美味しいご飯を食べさせて貰えると思うとなんか嬉しいな。
「俺は感謝しかない。でもほんとにいいのか?」
「はい。嫌だったらこんな事しませんよ」
白石は指をタッパーにさして笑顔で言ってきた。だから眩しすぎるんだよ…
「それじゃあ頼んでもいいか?」
「もちろんです」
「食費は分 二人で半分ずつだすか?俺が二人分出すでもいいけど」
「いえ、二人で半分にしましょう。そちらの方がいいです」
少しほっとした自分がみっともない。二人分だすとは言ったが二人分になると多分本は買えなくなるだろう。
「それならそっちで。あ、あと一つだけお願いがある」
「なんですか?」
「その、朝ごはんを作って貰ってるってことを学校では内緒にしてくれないか?他の男子達にバレた時に買う反感が強烈になると思うから」
「分かりました」
白石も納得したようなので一安心だ。この前の昼休憩の弁当の時はまさか言うとは思わなかったからな。言わなくてもバレてたかもだけど。
「それじゃあお昼ご飯と夜ご飯の買い出しに行きましょうか。一緒に行ってくれますか?」
「ああ別にいいけど、昼も夜も作らせるのはさすがに申し訳ないというか」
「一人分増えるぐらいなんともないですし、私から提案したことですから」
まさかここまでしてくれるなんて三日前の俺は考えられたことだろうか。
「ありがとな、なにからなにまで」
「お気になさらず。あっ、そういえばまだLINE交換してないじゃないですか」
そういえばさっきはまた作ってくれることに驚いて忘れてたな。
「そうだったな」
俺はスマホを出してLINEの画面を開いて白石に見した。白石は何をやってるの?みたいな顔をしてこっちを見てきた。
「LINE交換ってどうやってやるんだ?俺、LINEの連絡先両親と弟とカップル共だけたからさ」
カップル共っていうのは恒星と佐藤のことだ。
「……そうなんですね。分かりましたちょっとスマホ借りますね」
「ん」
俺はスマホを白石に渡して考えてた。
どうやったらこの先白石に恩返しできるかな。できるのが一つも見つからないんだが。
「追加しときましたよ」
一瞬で戻ってきたスマホをみて白石の名前が入ってることに、少し嬉しいと思ってしまった自分がきもい。
「それじゃあスーパーに行きましょうか」
そう言って玄関に向かう白石と共に俺も玄関に向かった。それと一緒に俺の頭に勘違いだけはするなと言う言葉が頭によぎった。
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