第6話 美少女の嘘とおすそわけ
この状況は一体なんだろうか。
俺は白石と二人だけというのも気まずさを感じていたのにまさかのリア充二人追加なんてあっていいのだろうか神様。嫌がらせですか?
白石は文武両道の超絶美少女。
恒星はルックス&性格イケメン。そしてスポーツ万能。
佐藤は白石とは違うタイプの超絶美少女。
俺は教室にいても全く気づかれない、影が薄い普通の生徒。
ダメだ。周りの視線が痛すぎる。いくら俺が影が薄いからって、このスーパーリア充3人の中に俺がいたら悪目立ちするに決まっている。
どうしたらここから撤退できるだろうか?俺がこんなにも頭をフル回転させるのはいつぶりだろう。
そうやって俺は策を考えているというのに他の三人は笑い話やらで盛り上がっている。
「なあなあ白石さんよ。歩とは一体どのようなご関係でございますか?」
「そーそーそれ!いきなり二人でご飯食べるなんて怪しいですよ?」
この美男美女カップルはバカな恋バナを聞き始めた。全く何の関係もないがあまり関わりたくない話しだ。俺は知らん顔でまた撤退策を考えることにした。
んー……。お腹痛いで撤退するのが一番楽かもしれないな。でも白石のご飯はこの昼食と今日の夜ご飯で食べる機会がなくなってしまう……。
「おーいあゆむー?」
どうしたもんか。お腹痛い以外で全く策が浮かばない。俺の食い意地があるせいだけど……。
「あゆむー?聞いてるかー?」
それじゃあ、あと少し貰ってすぐ教室に戻るという案はどうだ?いや、流石にそれは失礼すぎるな……
「あ!ゆ!む!」
ビクッ!!!!!!
「な、なんだよ急に……」
急に耳元で大きな声を出されびっくりしたじゃないか。
「あのなぁ…。どうせここからどうやって撤退するか考えててたんだろ……」
見事当てられてしまった。白石といい恒星といいイケメンや美少女は相手の心が読める超能力でもあるのだろうか。
「え?まじ?あゆむもっと楽しまないとぉ〜」
どうやら全員心が読める訳では無いらしい。
白石は無言でこっちを見てきた。
無言の圧力……
「歩はいつもは周りの視線なんて気にしない癖にこーゆー時はなんでそんなに気にするんだ?」
「そりゃあお前ら三人と昼ごはん食べてると俺が異常な場違い感が出るからな。恒星と二人の時でも視線は痛いが、今はもっと痛いぞ」
これで帰らせて貰えるなら幸いだな。白石には少し悪い気もするがこれ以上は耐えるのは厳しそうだ。白石の作ったご飯が残り一回になるのは惜しいことだけどやむを得ないな。
「はぁ……歩は自分の評価が低すぎるんだよなぁ。」
「だよね〜。髪型とか整えればイケメンになると思うよぉ〜」
美男美女に言われるとただの嫌味にしか聞こえないのは気のせいだろうか。
「まあ、いいや。それより歩、白石さんとはどんな関係なんだ?白石さんに聞いたら神崎さんに聞いた方がわかるって言ってたからよ」
帰るタイミングを逃したか。それより白石のやつ俺がこの話題を意図的に無視していたのがわかって俺に話題を振らせたのか……?
「いや、別に俺んとこのアパートの隣のマンションに白石が住んでるってだけだよ。」
「んじゃあなんで一緒に飯食ってんだよ?」
これは白石に誘われたって言われた方がいいのか?でもそれじゃあいらぬ誤解を生む可能性があるか。
「俺が朝ゼリー飲料飲んでて昼ごはんもゼリー飲料?って聞かれたから頷いたら、昼ごはんお裾分け《おすそわけ》してくれたんだよ。」
何とか誤解を生まずに回避出来たな。
「ほぉ〜。なるほどなるほど。そうなのか?白石」
俺だけの証言じゃ信用ならないと言うのか友人!!?!
「そうですよ。朝聞いたら昼もそうだと言うので、少しお裾分けを思いまして。今日は少し作りすぎたのもあるのでこちらも助かりました。」
「そうなのかぁ〜。良かったな歩!」
「……良かったよ」
ご飯はちょー美味しかったけど周りの視線が痛すぎて食べずらかったのがなー。
「それじゃあハクちゃんと歩の間には何もないと??」
「なんもない」
「ないですよ」
「まあそうだよね〜。歩が誰かと付き合うと思わないし、ましてはハクちゃんっていうちょー可愛い子と付き合えるわけないか。」
「間違ってはないけどそんなにディスらないでくれ。」
「あはは〜ごめんごめん」
「それじゃあそろそろ昼休憩も終わりだし教室戻ろうぜー」
やっと終わった。せっかくの昼休憩がこんなに疲れるなんて。また次の五限目もこれは寝ることになるのか。まあいつもの事だからいいか。
「んじゃあ、ゆきなまた後でなー」
「あとでね〜」
相変わらずこいつらは人目気にせず仲のいいカップルだ佐藤は白石と同じクラスで二人ともクラスの中に入っていった。
「なあ恒星、お前らはいつから付き合い始めたんだ?」
「ちょうど中2のこの時期だけど。どうしたんだ急に」
「いや、今のバカップルぶりを見ていつからやってんのかなぁーって思っただけだよ。」
「そかそか」
「歩は白石にお礼しとけよ?多分作りすぎたって言ってるけどそんなに入ってなかっただろ?」
「確かにそうだな。またあったらお礼言っとくよ」
そんな事を喋りながら俺と恒星も教室に入った。まだ周りの視線が痛い気がするけどもう気にしないでおこう。
これ以上はもう白石とは関わることはないんだから。
それからの五時限目、六時限目の授業はあんのてい爆睡して今日の全ての授業を終えた。
授業の終えた俺はすぐ帰る準備を済ませて駐輪場まで歩き、バイト先まで自転車を動かした。
今日の風は少し強い生暖かい風が妙に気持ち悪いと感じた。
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