気遣いについて 『周富徳の料理屋の話』

すでおに

気遣いについて 『周富徳の料理屋の話』

『炎の料理人』と呼ばれた周富徳さん。中国料理店の店主で、大ヒット番組『料理の鉄人』で名勝負を繰り広げたほか、持ち前のキャラクターでバラエティ番組でも活躍、毎日のようにテレビで見かけた時期もありました(ワイドショーを騒がせたこともありましたが)。2014年に亡くなりました。


 僕は周さんが生前語っていた話が好きで、折に触れて『周富徳の料理屋の話』として披露します。テレビ番組の会話の中で何気なく発したものでしたが琴線に触れました。


 周さんの店には、知人や有名人が訪れることも多かったそうです。

 そういう時にどのようなもてなしをするか?

 周さんの答えは単純明快でした。


「なにもしない」


 理由は「余計なことをすると次から来にくくなるから」。

 

 知り合いのお店に食事に行き、注文していない料理をサービスされたり、会計を割引されたりしたら、申し訳なくて次から行きにくくなりますよね?だからあえて何もしないそうです。


 何もしない気遣い。


 裏の裏は表、敵の敵は味方じゃないけれど、核心を突いているように思えました(こういう店も多いのかもしれませんが)。相手の負担になってはただの自己満足になりかねません。


 気を遣ったつもりが逆に気を遣わせてしまう、良かれと思ってやったことが裏目に出てしまうのは往々にしてあることです。


 先日知人がレストランにいたら後から奥さんのママ友が入ってきて。帰り際店員に頼んでその席へケーキをプレゼントしたそうなんです。いい格好したい気持ちもあったようですが、そうしたら後からお返しをされた。逆に気を遣わせてしまったと、自省気味に話していました。

 なかなか耳の痛い、誰もがやってしまいがちなエピソードです。その話を聞いて、ここぞとばかりに『周富徳の料理屋の話』を披露したわけですが。


 周さんの話を聞いて以来、僕は「何もしない気遣い」を心にとめて生きています。単に無神経で気が利かないだけ、という評価は甘んじて受け入れます。

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気遣いについて 『周富徳の料理屋の話』 すでおに @sudeoni

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