第4話『勇者、その後…』

「よし、今日もやるか」


 とある小さな村で1人の青年が毎日畑を耕している。


 彼の名前はタケシ。元勇者だ。


 かつて魔王を倒した男の右手に持つモノは剣ではなくクワだった。


 そう、彼は勇者から村人になった。


 パーティ解散後、生まれ故郷へ戻ったタケシはとくにすることもなく経済的にも困ったわけでもない。流れでこの選択を選んだ。


 主人公の生まれ故郷というわけもあり人里離れた小さな村。まさにスタート地点の象徴といえる。


 毎日畑を耕し作物を育てる。そんなのどかな生活は日々激しい戦いをこなしていたタケシにとっては真逆の環境。刺激のない日々にどこか物足りなさを感じでいた。


父「タケシ、あそこに生えた雑草全部抜いておいてくれ。あの場所も畑にする予定だ」


タケシ「やっておくよ。父さん」


 この平和的会話のラリーも物足りなさの1つだ。毎日習慣でやる作業がいつの間にか退屈と捉える身体になっていた。


 タケシはクワを持ち肩に乗せると雑草が生えた茂みに入っていく。辺りを見渡し、除草する地面の中止地点を確認した。


タケシ「ここが中心か…」


 クワを剣代わりに低い態勢で構えた。


 集中力が高まるにつれ辺りの風が静けさを増していく。


 ピタッ。


 風が止んだ。


 するとタケシの足元から気が流れ始め周辺の雑草が渦を巻くようなびいていく。


タケシ「ハッ!!」


 タケシがクワを一振りすると辺りの雑草は全て抜け宙を舞う。


タケシ「ふぅ~こんなもんか」


 タケシは歩き出した。気付けば後ろには山の様に積まれた雑草。さすが元勇者だ。


タケシ「こんな力…あってもな…」


 その表情からはどこか寂しさを感じるモノがあった。平和を目指したはずが自身が追い求めていたモノとは違ったのだろうか?あの頃の覇気は感じられなかった。


 元勇者は村人となり何を思う?



 2年後……



 パカラッ!


 パカラッ!


 バカラッ!


 馬の走る音が近づく。


???「勇者殿がこの村に?」


???「ああ、間違いない。アイツのことだ。やりたいこともなく村で畑仕事でもしてると思うぜ」


 2人の男が元勇者を求め近づく……。


 新たな物語が始まる…!?



 つづく。


 


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