第6話『魔法使い、その後…』

 彼の名前はフミト。


 勇者一行、魔法使いとして活躍した。


 得意魔法は攻撃的魔法。


 とくに炎を使う魔法においてこの世界で彼の右に出る者はいない。もちろん攻撃的魔法だけではなく回復魔法やステータスをいじくる魔法、移動魔法といった多彩なスキルも持っている。優秀な魔法使いとして実力もあり魔王を倒した勇者一行の1人という肩書もある男だが冒険中にある地位までには辿り着けなかった。


 それは『賢者』だ。


 賢者とはなんぞや?

 

 賢者とは魔法使いの上位互換と言われ魔法使いを超越した存在となる。魔法を手品のように操り想像と具現を=に結びつけることができる魔力の支配者。世界でも賢者の称号を得た者は過去を遡ってもたった1人しか存在しなかったと言われている。魔法使いとして優秀と言われている彼が一体何を成せば賢者へと辿り着くのであろうか?


 答えは出ている。


 それは『死者蘇生』だ。


 文字通り亡き者を蘇らす魔法のことだ。


 莫大な魔力と生命力を必要とするこの大魔法はレベルの高い魔法使いでさえも命そのものを失ってしまう危険性があるとんでもない魔法だ。おまけに成功例もほぼなく情報も乏しい。この大魔法を極める為には魔力以外に分析と解析が求められる。


 死者蘇生の大魔法を極めた時こそ彼は魔法使いを超越し賢者になることができる。


フミト「ボクは賢者になる…!!」


 魔王を倒し世界を平和に導いた魔法使いの新たな目標は魔法の全てを極め賢者になること。目標はシンプルだがその内容に関して言うならば魔王を倒すことより難しいのかもしれない。


 フミトは原点回帰し魔法と親身に向き合うことを決める。


 魔法とは一体何なのか?


 魔力の本質とは?


 戦いの日々はなくなったとはいえこの世から魔法が消えることはない。むしろ魔法は生活の一部としての利便性がある。今後世界の中で魔法というツールは拡大していくとフミトは予測していた。


フミト「魔法を正しく…」


 便利という言葉には必ず裏がある。便利と危険は表裏一体、魔法の使い道を間違えればとんでもない事故や魔王のような存在が生まれる可能性すらあるのだ。


フミト「そうだ!」


 フミトは魔法を1から学び直し、正しく伝えていく方法を思いついた。


 そう、学校だ。


 学校というシステムを導入すれば魔法を学びこれからの世代にも伝えられる。まさに一石二鳥というわけだ。


 フミトは早速動き始める。これまでに関わってきた魔法使いのスペシャリスト達を集めると魔法学校設立の説明会を開いた。


フミト「実はみんなに協力してもらいたいことがあるんだ!」



 2年後……



教頭「理事長!来年の生徒数は去年の倍になりそうですよ!」


フミト「そうか。それは良かった!」


 フミトは皆の協力とゴンドラ王から貰った莫大な褒美を全て注ぎ込み魔法学校を設立、理事長となり賢者を目指しつつも魔法と共存する世界を目指すという新たな道に進み始めていた。魔王を倒した1人の英雄としての知名度は絶大、魔法学校には若い子供達が殺到するほどの人気が出ていた。


校長「理事長、何者かわからない者があなたに用件があると訪ねて来ているみたいですが…どうしますか?」


フミト「通してくれ」


 

 突然謎の男が魔法学校を訪問する……



???「とても素晴らしい学校のようだ」


フミト「用件を聞きましょうか」


???「あんたの力を借りたい」



 新たな物語が始まる…!?



 つづく。




 

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