エンチャント・エクスペリエンス 1
「私は第五十一性欲処理連隊所属の桜庭3佐である!貴様らは自衛隊における服務規程を再三注意したにも関わらずまたも違反した!! よって懲罰として今から私が貴様らの童貞を剥奪し、一から再教育する!! さぁ貴様らパンツを脱ぎ、股間の9ミリ拳銃を見せてみろ! ハッ何だ、貴様のはサツのニューナンブ以下、デリンジャーそのものだな。
次……なっ貴様、いつからこんなRPGを隠し持っていた!? 言え!まったく使い方も知らないくせに実にけしからん。私が今から貴様のその液体装薬が漏れたRPGを発射させてやるから、よく見ておけ……。おやおや……軽く撫でただけで暴発するとはこのRPGは相当埃を被っていたようだ。火縄銃の見間違いだったか? ほう……もう再装填は済んだだと? ッ……一丁前にさっきよりも大きくなりおって……! 新入りが生意気を抜かすな!許せん!お次は私のトーチカの中で貴様が発射して見せろ!そして……私という駐屯地を攻め落としてみるがいい!! 」
***
「なぁ椿君、椿君」
「ん?」
尊大な女性自衛官が複数の自衛官によって、炎天下の中汗だくで昇天させられていく様子を寝そべってタブレット越しに見ていると、横で熟睡していたはずの前垣さんが肩を裏拳でノックするように叩いてきた。
「居候の分際でこんなこと悪いんだけどさ、枕元で堂々とAV見るのはやめてくれないかなぁ?というかまず何このAV」
「淫乱JK自衛官、新兵を調教するはずが逆に調教されて、いざ肉欲の戦地へと赴く」
「星の数ほどあるAVからよくそんなキワモノ見つけてきたねぇ。というかまず性欲処理連隊どんだけあるんだよ、駐屯地に必ず置いてあるじゃねーか。日本が先進国の中でジェンダーギャップ指数最下位なの9割くらい性欲処理連隊のせいだろ。何が私のトーチカやねん」
流石にちょっとイライラしてるのか、前垣さんはAVのトンデモ設定にマジレスしてきた。JKには突っ込まないのか。
「明日、今まで会ったこともない子とぶっつけ本番でベッドシーンなんですから、こんなんでもせめて勉強しないと」
「おい何私の顔にぶっかけたものを無視している!貴様は演習を終えたら出た空薬莢も拾わずに放置するのか?さっさと拭け!!」
「うるさい止めろ止めろ。そう……まぁ俺も役作りで色々やってきたし止めはしないが、まだ保健体育の教科書読んだ方が100万倍は効果的だと思うよ、ちょっとトイレ」
そう言って、そそくさとスマホを持ってトイレに入っていった。どうやらイライラしていたのではなくムラムラしていたらしい。
明日のことを思うと、目を閉じただけで心臓の鼓動が聞こえるほど緊張していて、今晩は寝れそうにない。名前を失念したが、あの子を抱きしめたら柔らかくて気持ちいいんだろうけど、カメラと衆目に囲まれてそれが永久に記録されるとなると、下手な芝居は普段以上にできない。
やはり、司くんは前垣さんに任せて僕はソープに行くべきだったか? いや、もし外部に知れたら親父にまた雷を落とされる。いっそ前垣さんで……。いやバカバカバカ、僕は一体何を血迷っているんだ。冷静に考えろ。明日僕が撮影するのはAVじゃない。R15指定だが、デパートの映画館とかでも公開される何も恥ずかしくない立派な映画だ。別に本番をやるわけじゃないんだから、緩くやればいいんだ。
リラックスして台本通りに……いや、台本にはベッドシーンとしか書いてなくて、ディレクターが赤ペンで椿君の手腕に期待とか書いてあるだけだった。聞けば原作にはその手のシーンはほとんど無いらしく、僕のは映画オリジナルらしい。なら一体どうすればいいんだ……。
「やっぱ男優のイチモツはでけーなぁー……」
あまりに前戯が長すぎるので、ビデオを半分くらいスキップしたら、責められる女性自衛官がいつのまにか5人に増えていた。考えてみたら自衛隊要素迷彩服しかねぇな。そう思ってたら、いつのまにか僕は寝ていた。
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