第41話 修学旅行前日
そろそろ修学旅行。 みんな大忙し。
モンクもバイトしながらも準備に追われる毎日。
伴も紅葉も白夜や海荷も、修学旅行を楽しみにしていた。
サムはついて行こうか悩んでいた。
サムも学校生活を味わいたいと思い、何度もモンクにお願いしていたが、やっぱり学生でもない人が修学旅行に参加する事は出来なかった。
「 くそぉー。 どうやってでも参加してやる。 」
サムは全然諦めてはいなかった。
すると、家の庭にいきなり大男が現れた。
前に来たサムと同じ宇宙人のジャッカルだった。
「 サミュエル。 そろそろ良いのではないか?
一緒に帰りましょう。 」
ジャッカルはサムを早く元居た星に迎えに来たのだ。 ジャッカルは少し我慢の限界を向かえていた。
「 ジャッカル。 そろそろ帰るよ。 だから静かにしていてくれるかい? 悪いけど。 」
「 わか…… りました。 帰りの時は私を呼んで下さい。 直ぐに迎えに来ます。 」
そう言い残しジャッカルは消えていた。
ジャッカルは星に帰らず地球を探索するのだった。
「 はぁ…… そろそろ限界かぁ。
本当に楽しかったなぁ。 まだまだ居たいよ。 」
心残りが沢山あるサム。
その姿を遠くから見ていたジャッカル。
「 あんなにこの星に馴染んでしまっている。
これは…… 少しお
目を覚まさせてあげるしかない。 」
何やら良からぬ事を考えていた。
ジャッカルはまた地球の探索に行くのだった。
次の日は修学旅行。 モンクは家で海荷とサムで海外ドラマを見ていた。
海外ドラマは日本のドラマより恋愛要素がたまに激しいのが存在している。
海荷はその積極的なシーンが大好きだった。
主人公が危ない所へ行く時、ヒロインを抱き締めて安心させて敵地へ向かう場面を見ていた。
海荷はうっとりしてしまう。
「 アンタ達。 ここのシーン最高じゃない??
こんな男になるんだよ? 」
男達は全然無縁な為、良く分からなかったのだ。
「 これはイケメンだから許されるシーンだよ。
僕がやったら喜んでくれる人なんて居ないよ。 」
「 右に同じ。 この俳優さんだから許されてるんだよ。 晴斗君がもしやったら…… 突飛ばされちゃうかもね。 」
サムはモンクをからかい、二人は直ぐに揉み合いながらふざけてしまう。
「 分かってないなぁ…… 。 これはイケメンだから格好いいんじゃないんだから。
誰かの為に戦う姿は容姿なんか関係ないんだから。 本当に男共には分からないんだから。 」
海荷は共感してもらえずにガッカリしていた。
恋愛経験0の二人には到底分からない話だった。
「 そんなもんなのかね? ありゃ。 店長にお土産何買って来て欲しいか聞いてこないと♪ 」
モンクはバイト先へ。
海荷とサムは家で海外ドラマを見て待っている。
ラーメン屋は丁度ラッシュが過ぎて暇な時間。
裏方で店長と二人でお土産の話をする。
「 そうだなぁ。 山に登るんだから、出店のよもぎまんじゅうも良いなぁ。 海にも行くなら恋愛成就の御守りも良いなぁ。 」
「 ふむふむ。 何となく分かりました。
任せて下さいな。 」
店長もモンクの修学旅行を楽しみにしていた。
「 鈴木君? 実はね。 君がいつも一生懸命頑張ってる姿を見て、俺ももっと頑張ろうと思って新しいラーメンのアイディアを練ってるんだ。 」
「 新しいのですか? それは凄いなぁー。 」
モンクは店長の才能には尊敬しかなかった。
「 料理人には現状維持なんてないんだよ。
無限なる可能性があるんだ。 まず出来たら鈴木君に食べて貰いたいんだ。 良いかい? 」
モンクは光栄過ぎて大喜び。
自分へそんなに評価してくれる人は初めてで、本当に嬉しかったのだ。
「 楽しみにしてますね。 僕で良ければ。 」
「 絶対だよ? 前から作っててもう完成するんだ。 修学旅行から帰って来るまでに完成させるから、楽しみにしていてよ。」
モンクは店長のラーメンが大好き。
大喜びで店を出て行った。 その姿は可愛い男の子でした。
「 よぉーし! 頑張るぞ。 」
店長は黙々と新作ラーメンの為に味の研究をするのだった。
その日の夜。 綺麗な星空をベランダからモンクとサムは眺めていた。
「 本当に綺麗だね。 」
「 晴斗君の家から見える星空は最高だよ。 」
二人は染々干渉に浸っていた。
隣の家から紅葉は二人の姿が見えて、パジャマ姿でこっそり見ていた。
「 サム。 修学旅行行って来るけど待って居られるかい? 」
「 …… うん。 待ってるよ。 だってここが僕のもう一つの我が家なんだから。 」
少し返答が遅くなっていた。
サムは少し作り笑いを浮かべていた。
「 帰って来たらその分お祝いしよう!
お土産も沢山買って来るし。 ねっ?
待っててね。 サムは僕の大親友だ。 」
「 ありがとう。 うん。 相棒だもんね。 」
二人は星空を眺めながらコーラを飲んでいた。
「 何男二人でコーラ飲みながら星空眺めてんだろ。 本当に面白いっ。 あははっ! 」
こっそり覗きながら笑う紅葉。
その日はそれぞれゆっくり眠るのだった。
次の日。 モンクママは朝から少し仕事に出掛けていた。
モンクは夜更かししてしまい大寝坊。
「 やべぇーーっ。 寝過ごした。 何で誰も起こしてくれないんだよ。 サム? 」
家にはサムの姿は無かった。
何処か遊びに行ったのだろうか?
「 まぁいいや。 早く準備して行かないと。 」
モンクは間違えなく置いてかれてしまう。
仕方ないから後で合流しようと考え、山にみんなはバスで登ってその後に下山して来るから、それまでに電車で下山先に行き拾ってもらう作戦にした。
直ぐに先生に電話をする。
「 晴斗君! 本当にダメじゃないの!
仕方ないから山では一緒に堪能出来ないけど、下山したら拾ってあげるから待ってなさい。
本当におっちょこちょいなんだから笑。 」
「 ごめんなさい。 ありがとうございます。
絶対に下山までには間に合わせます。 」
直ぐに電話を切って高速でご飯を食べて、大きい鞄を背負い家を出る。
家を出たら海荷がモンクの家に迎えに来た。
「 あれ? 海荷ちゃん。 どうしたの?
もしかして寝坊したのかな? 」
「 はぁ…… 。 ボンクラ! 遅いから迎えに来てやったのよ。 山楽しみにしてたのに。
後で何か奢りね? 」
海荷はわざわざ心配して、学校からモンクの家に迎えに来てくれたのだ。
モンクは優しいなぁっと思いながら、仲良く電車で下山先に向かう。
山に登ったクラスのみんなは景色を堪能し、出店でお土産を買ったりしていた。
紅葉はモンクに怒っていた。
「 本当にこんな日まで遅刻するなんて。
お越しに行けば良かった。 」
文句言いながら出店を見て回る。
偶然会った白夜と回る事になった。
白夜とは別れたけど、仲の良い友達になっていた。
「 まぁ、あんまり文句言うなよ。
あいつらしいし。 後で山の景色スマホで見せて自慢してやろう。 」
笑いながら白夜は話していた。
その姿はモンクへのわだかまりが無くなり、素直な笑顔を浮かべていた。
「 白夜君変わったね。 前とは大違い。 」
「 関係ねぇよ。 早く行くぞ。 」
少し恥ずかしそうにバスへ向かった。
紅葉は白夜のそんな姿を見てクスクス笑いながらバスに乗り込む。
お昼も食べて、全員がバスに乗り込み下山する。
すると、高い所からサムの仲間のジャッカルがバスを眺めていた。
「 鈴木晴斗とやら。 あいつを絶望させれば帰って来るしか無くなるだろう。 仕方ないが目を覚まさせてやる。 悪く思うなよ。 はぁっ!! 」
ジャッカルは能力を使う。
バスは走り出すと、バスからはブレーキオイルが垂れ流しになっていた。
ジャッカルはバスに細工をして、大事故を起こそうとしていた。 サムにバレたらヤバいからバレない程度にブレーキオイルを抜いたのだ。
恐ろしい作戦だった。
ジャッカルには人間への敬意なんて物はない。
敵意しかないから平然とやってしまう。
バスはゆっくり高い山から下山して行く。
それは地獄の下山ツアーと化していた。
何も知らずにバスの中では楽しい時間を過ごしていた。
モンクと海荷も知らずに下山先に向かう。
これからとても長い一日が始まるのを、まだ誰も知らなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます