第39話 平和な1日


白夜は病室で目が覚める。


( あれ? 俺何してたんだ。 確か子供を助ける為に必死になってて……。)


そこへ医者が気付き入って来る。


「 目が覚めたね。 君は本当にヒーローだね。

子供を助けてあの高さから落ちて、ケガ一つないなんてね。 地面が野原で草が多くてクッションになったからといって、助かる可能は低かったよ。

良く無傷で助かったね。 奇跡だよ。」


白夜は全く心当たりがない。


( ん? 俺があの高さから? 降りる訳ないのに。

そう言えばあの時…… モンク? )


白夜はモンクを思い出していた。

全てを思い出した。


「 先生。 あの子供は大丈夫でしたか? 」


「 本当に奇跡だ。煙をまだあまり吸って無くて、処置が早かったから無事だよ。

後遺症も残らない。 まだ寝てるけど直ぐに起きるだろう。 本当に良かった。」


子供も無事だった。

安心して少し疲れたから横になる。


( あの野郎…… 。 変な力使ってやがった。

どうなってんだ。 )


すると部屋に沢山のオヤツや果物を抱えて、モンクとサムが入って来る。


「 凄いなぁ。 今沢山白夜にお礼だって、お見舞いに沢山届いてるよ。 モグモグ。」


「 むしゃむしゃ。 本当に白夜君に感謝。

本当果物って瑞々しくて最高。 モグモグ。」


二人はお見舞いの果物やオヤツを食べまくる。

子供を助けたヒーローは扱いが違う。


「 何勝手に食ってるんだよ。

そんな事良いから、あの時何が起こったんだ。

お前は一体どうなってんだ? 」


サムとモンクは向かい合い、じっくり考えるのだった。

そしてモンクから宇宙人の事や能力について話す。


「 何か信じ難いけどなぁ…… 。

この前の見ると信じるしかねぇな。 」


「 後…… この事は内緒ね? サムの正体がバレると大変だからさぁ。」


白夜は深く考え答えを出す。


「 言わねぇよ。 そんな能力あるなら紅葉落とすなんて簡単なんじゃないか? 」


「 そんな能力で落としても嬉しくないよ。」


意外にプライドがあるモンク。

やっぱり自分の力だけで好きになってもらいたいのだ。

二人はお菓子とフルーツを沢山食べて帰って行った。 お見舞いなのかつまみ食いに来たのか。


( 本当にアイツって変わってんな。

俺と子供を助けたのはアイツなのに、手柄にしないなんてな。 本当にバカだな。)


白夜は一人病室でニヤついてしまっていた。

白夜はモンクがやっぱり友達として好きだった。

これからはもう少し素直になり、モンクの事を立ててあげたくなっていた。


その頃、桃も修学旅行の準備をしていた。

実は目的地は一緒でモンクに会うチャンスがあったのだ。


「 よっしゃー。 修学旅行でホテルに泊まったりしたときに、絶対告白するんだから。」


気合い充分。 服を買いに行ったりお洒落して準備をしていた。

周りの友達達も変な気合いが入ってる桃に少し引いてしまっていた。


「 桃。 あんたキャラ変わってない? 」


「 関係ないの。 早くしないと誰かに取られちゃうから。 絶対に告白するの。」


桃はいつの間にか奥手なのが直り、モンクが奥手なのでその分自分が積極的になる事に。

恋する女の子は美しくなるのだった。


平日の昼間。 モンク家ではサムとモンクママはいつも二人でドラマを見たりご飯作ったり。

すると、モンクママは立ち上がり大きな声を出す。


「 あぁーー!! この福引き今日までだ。

沢山あるから絶対当たるわよ。 サム?

絶対行くわよ。」


「 へいっ! ママさん。」


二人はママさんの下手くそ運転の車でデパートへ。 そこでは大福引き会が行われていた。

一等はマッサージ機。 二等は冷蔵庫。

三位は松阪牛のステーキ10キロ。


「 ママさん。 どれもこれも凄いね。

僕は松阪牛さんが良いなぁ♪ 」


「 サム分かってないわね。 こう言う時はマッサージ機一択よ。 やるわよ。 」


気合い充分。 10回ガラガラを回せる。

ママさんと二人で並び回す事に。


「 10回お願いします。 」


「 はぁーい。 どうぞ。 頑張って当てて下さい。」


そして回すと白い玉が出てきた。

二回目も白い玉が出る。 三回、四回もダメダメ。


「 くぅーっ。 全然ダメね。 負けないわよ。

この為に沢山買い物して貯めたんだから。」


「 ママさん頑張れ!! 」


すると、サムの脳裏に悪意の電波が流れて来た。

それはサムの自動発動する能力、悪意サーチャーだった。 邪念や殺意、悪い感情を感じるとサムの脳にその悪い感情が流れ混んで来るのだ。

基本的には人は悪い感情とかを持ってない訳はない。 だがサムは自分や仲間に向けた負の感情には敏感に反応する。


( ん? なんだろ? 変な感じがする。

ちょっと周りの人の心の声でも聞くかな。

たまには良いよね♪ )


能力で周りの人の心を読んでみる。

すると、店員さんの心の声が聞こえる。


( えっへっへ。 このガラガラには商品なんて一つも入ってないんだよね。 店長がそう言ってた。

だからこのおばさんが頑張っても当たらないんだよなぁー。 残念だったなぁ。)


なんと! ここのデパートのガラガラには当たり何て物は入っていなかったのだ。

悲しいがこのご時世。 騙してお金を取る所も多い。

信じてる人にはたまったもんじゃない。

サムは必死にドキドキして回すママさんを見て、悲しくなってしまう。


( ママさん。 僕はこんな信じる者がバカを見る世の中は嫌なんだ。 だからお手伝いするよ。)


ママさんの残りの回せる回数は三回になっていた。 モンクママは息を止め勢い良く回す。


( そこだ。 変換! 白を青に。)


ガラガラー!! ガラガラは激しく回り、玉が出てきた。 その色は青! 三等の松阪牛。


「 やったわぁーー! やったわよ。

サムやったぁ。 やったぁ! 」


「 ママさんやったぁ。」


二人は飛び上がる。


「 えっ!? そんな訳が…… 。」


すると近くに居たおばさんが店員に助言してきた。


「 ちょっとお兄さん。 早く鐘を鳴らしなさいよ。 三等が出たんだからさ。」


「 あっ。 おめでとうご…… ざいます。」


カランカラン!! 店員さんが鐘を鳴らす。

その音に反応して、店長が駆けつけて来た。

小声で店員に事情を聞く。


( 可笑しい。 入ってる訳がないのに。

これはマズイ…… 。)


サムは当然その声を聞いている。

玉が出ても言い訳は出来ない。

それは入って無かったら、何故表記していないのか?

ただの詐欺になってしまうから絶対に言えないのだ。

サムは少し懲らしめる為にまだまだ能力を使う。


ガラガラー!! 出た色は赤。 二等の冷蔵庫。


「 やったわ! 一生分の運使っちゃったわ。」


店長達は慌てまくる。 でも鐘を鳴らせないといけない。 これが詐欺師達の悲しい嵯峨さがなのだ。


「 最後の一回。 行くわよ。 えーーいっ!! 」


ガラガラーー!! 激しく回る。


( 変換。 色は金!)


またサムは能力を使う。

当然出た玉の色は金。

店長達はつい声を出してビックリする。


「 やったぁ! 神様ありがとう。

幸せ万歳!! サムちゃん。 やったわよ。」


「 本当にね。 やったね。」


鐘はデパート中に鳴り弾いた。

店長は落胆して膝をついてしまう。

多分これは店長の自腹になるだろう。

人を騙すと天罰は絶対降るのだった。

後日モンク家に発送される為、住所と名前とかを記入するのだった。


二人は幸せいっぱいで帰る。

笑顔いっぱいで帰る姿を見てサムは幸せになる。


( ああ。 信じる者は報われる。

僕はそう思うんだ。 ママさん良かったね。)


サムは能力を嫌う。 だが今回は特例だ。

騙す事や人を欺く。 絶対にやってはいけない。

サムは珍しく能力を使って罪悪感はなかった。

たまにはこんな使い方も悪くないと思うのだった。


「 サムちゃん。 マッサージ機が来たら使わないとね。 楽しみだわ。」


「 うん。 ママさん。 安全運転でお願いします。

事故ったら洒落にならないからね。」


そして二人を乗せた車はジグザグ運転し、危ないながらも家へ向かうのだった。

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