第38話 修学旅行
モンクはバイト終え帰宅。
近道を使って家へ帰る。
最近は少しは身体的にも並み程度になっていた。
走って公園を突っ切ろうとすると、そこには白夜の姿があった。
( 白夜…… 。
前に殴ってから一切話していなかった。
ゆっくり近づいて話をかける。
「 よっ。 こんな遅くにどうしたんだい? 」
「 ん? モンクか。 何か夜空見たくてな。」
相変わらず洒落た野郎だった。
それとは関係ないから謝らなければ。
「 白夜。 …… この前はごめん。 やり過ぎたよ。 本当にごめん。」
白夜は空を見ながら全く動じない。
「 気にしてねぇよ。 あんなへなちょこパンチ。
にしても、お前強くなったな。 昔は泣いてばかりで弱虫だったのに。」
白夜が人を褒めるなんて珍しい。
何を考えてるのか?
「 全然変わんないよ。 ただ、紅葉ちゃんを傷付けるのは許せなかったんだ。」
白夜はモンクの顔を見て話し始める。
「 お前は俺にずっと嫉妬してたろ? 」
「 そりゃそうだろ。 頭も顔も良いし、運動神経も抜群で気が利くし。 嫉妬しない訳ないだろ! 」
モンクの本音だった。 小さなときからずっと嫉妬して負けたくなくてもがいていた。
「 ふっ。 本当になんだろうな。
俺はお前に嫉妬してたんだぜ? お前には俺に無いもの沢山もってら。 だから俺もそのお節介や優しさを手に入れたくもがいてたんだ。」
モンクには良く分からなかった。
嫉妬される所何て、一つも無いのだから。
「 紅葉をフったのは、紅葉の本心を知っていたからだよ。 アイツはお前に惚れてるよ。
自分では気付いてないだろうけど。」
モンクは激しく動揺する。
紅葉は昔から白夜が好きなのだと思っていたから、自分に惚れてるなんて考えられなかった。
「 またからかってんだろ? 騙されないぞ。」
「 何言ってんだよ。 紅葉はデートしてるときも、お前の話が出てこない事何て殆ど無かった。」
知らなかった。 モンクにはとても嬉しかった。
「 紅葉はその気持ちに気付いてないから、お前から告白しろよ? 好きなら出来んだろ?
それじゃないと、なんで俺が別れたか分かんないだろ。 ちゃんと男らしくやってこいよ。」
白夜はそう言い残し帰ろうとする。
「 ちょっと待ってよ! 何でこんな事すんだよ。
お前も好きなんだろ? 何で身を引くんだよ!
可笑しくないか? そんな事されても全然嬉しくないから。」
白夜はまた鼻で笑う。
「 本当にお前さんは人の事ばっかり優先するな。 少しは欲張りになれよ。 後一つ…… お前の為じゃねぇよ。 バーカ! 」
笑いながら帰って行く。
白夜も想いを全部吐き出して満足していた。
「 なぁ? 僕達…… 友達だよな?
僕はずっとそう思ってる。 今度出掛けようよ!
友達なんだから。」
白夜は帰りながら手を振る。
モンクはずっと帰る姿を見ていた。
( バカだなぁ。 俺なんかと友達なんて。
まぁ、気が向いたら奢りで出掛けてやろうかな? )
白夜も口には出さないが、モンクを友達だと思っていた。
今まで遊んだ事や楽しく話した訳ではない。
でもお互いに意識していたのは、友達になりたかったからだった。
もう二人は友達になれていた。
まだまだ互いに素直にはなれないが、これから少しずつその
二年生になり三ヶ月。 少しは二年生にも慣れ一年生にもそれらしい先輩に見えるくらいになっていた。
学校で先生から重大なお知らせが。
「 みんなぁー! 遂に今月修学旅行だね。
楽しみだったわよね。 バスで山の山頂行ったり、海が見えるホテル泊まったり最高よ。 」
前々から話していた修学旅行。
モンクも大忙し。 班は仲の良いメンバーに。
班長の伴。 海荷にキムナリ君。 それとモンク。
完璧なメンバーに。 モンクはワクワクしていた。
「 本当に楽しみだね。 僕は修学旅行がこんなに楽しみなの初めてだよ。」
モンクはそう言うと伴は直ぐに反論してくる。
「 おい! 今までずっと修学旅行一緒だったろ?
ケンカ売ってんのかよ! 」
皆が伴を
モンクは離れている白夜を見ると、一人きりで本を読んでいた。 班がまだ決まって居なかった。
「 白夜!! こっちにおいでよ。 一緒に行こうよ。 絶対楽しいから。」
モンクは白夜を誘う。 周りは傲慢な白夜を誘ってビックリしていた。
「 俺か? …… まぁ良いけど? 」
内心嬉しかった。 白夜も仲間に入りたかったのだ。
離れている先生がこっちを見ていた。
( 晴斗君は本当に変わったわ。 誰にでも優しく手を差し伸べる。 私は勘違いしてたわ。
あんなにも笑うのが好きな生徒だったなんて。
本当に良かったぁ。)
先生は微笑みながらみていた。
モンクは白夜にからかわれたりしながら笑い合っていた。
その日の放課後。 白夜と二人で服を見に行く事にしていた。
白夜はファッションセンスも最高。
良い服を選んで貰おう。
「 まぁ、お前に合う服なんてあるのか分かんないけどな。」
「 うるさいなぁ。 意外に何でも似合うから。」
そう言いながら歩いて居ると、煙がマンションから出てるのが見えた。
マンションの二階が火災になっていた。
野次馬は凄い量だった。
「 なんだ? 火事か。 結構火がすげぇな。
皆避難したのかな。」
白夜はそう言い下から眺めながら心配する。
モンクも心配そうに見つめる。
「 たしゅけて…… 。 たしゅけて。」
その時、
「 ん? 今子供の声が聞こえなかった? 」
「 んな訳ねぇだろ。殆ど逃げ出してんだろ?
まだ居たらヤベーからな。」
すると三階のベランダに小さな男の子が。
下に居る人に助けを求めていた。
「 健ちゃん! 健ちゃん! まだあの部屋に子供が居るんです。 寝てたからそのまま買い物していて。
誰か助けてぇ!! 」
なんと三階に取り残された子供が居たのだ。
火災は二階で直ぐに上に広がるだろう。
炎も危ないが煙を吸いすぎで、意識を失うリスクも高い。 とても危険な状態だった。
消防隊が来ても直ぐに消せない。
まだ来るのに時間がかかる。
渋滞で身動きが取れないのだ。
「 白夜。 大変な事に、あれ? 白夜? 」
そこには白夜の姿は無かった。
モンクは直ぐに周りを探しても見つからない。
何処に行ったのか?
「 おい! 今高校生くらいの男の子が、非常階段から上に登って行ったぞ。 大丈夫なのか? 」
白夜は直ぐに動いていた。
子供を助けたい事で頭が一杯になっていた。
白夜は非常階段から火の気がまだ無いことに気付き、直ぐに上がって行った。
( 白夜…… 。 )
モンクは白夜の身を案じていた。
あっという間に白夜は三階へ。
部屋を一つ一つ開けて行く。
火の気は既に三階に回っていた。
( 何処の部屋なんだ。 今助けるぞ。)
白夜は火の気が凄くなってる部屋を見つける。
もしかしたらあの部屋なのでは?
最悪を考え部屋に突入した。
「 大丈夫か!? 居た! 」
そこには火が部屋に燃え移りつつある中で、煙を少し吸ってしまい気絶してる子供が居た。
「 おい! 大丈夫か? おい! 」
白夜はあまり煙を吸わないようにしながら、子供を抱き抱え外へ。
でも遅かった。 もうその階は火の気で一杯に。
( ヤバい。 ダメだ。 諦めるな。
俺の命はいらねぇから、せめてこの小さな命を
救って下さい。 神様…… 。 お願いします。)
白夜は抱き抱え意識が
早く子供を病院に送らなければ命が。
二人の命は消えかかっていた。
ドゴォーーンッ!!!
非常階段の扉が吹き飛んだ。
( なんだ? 爆発か? )
白夜は火の気が回っている非常階段を見つめていると、そこから現れたのはモンクだった。
「 モンク! 何しに来たんだ。 関係ねぇだろ?
死にてぇのか!? 」
「 やっと見つけた。 格好つけんなよ。
二人で逃げよう。 助けに来たんだよ。」
モンクは優しく微笑む。
でも非常階段も火の気で通れない。
白夜は万策尽きていた。
「 諦めるな。 君が見つけなかったら、その子は助けられなかったよ。 後は任せて。」
白夜は意識が消えつつあった。
「 超パワーオン! 」
モンクは能力を使った。
軽く二人をおんぶしてしまう。
( おいっ。 何だこのバカ力は? コイツどうなってんだよ。)
白夜はモンクのパワーに驚いていた。
「 しっかり捕まってて。 下へ降りるよ。」
そう言うと三階から地上目掛けて飛び降りた。
「 モンクーーっ!! バカ野郎ーー! 」
白夜は下へ加速する圧に恐怖していた。
どんどん落ちて行く。
下はマンションに備え付けにされている公園の茂みになっていた。
地上にいる誰もが目をつぶってしまう。
「 安心して。 任せて。」
普通に落ちたら即死だろう。
モンクには基本的には不可能は無かった。
地面に着陸する瞬間に、違う能力を発動する。
「 バウンド!! オン! 」
そう言うと、地面に落ちるとボールのようにバウンドする。 能力の効果だ。
ボールのように何度かバウンドして能力を切り、着陸するのだった。
周りの人には草とかの茂みになっていて良く見えない。 だから能力は見られて居ない。
そこの野原に白夜と子供を横にして、直ぐにモンクは姿を消した。 色々面倒だからだ。
直ぐに救急車が駆けつけて搬送されて行った。
モンクは搬送されたのを確認して、病院へ向かうのだった。
白夜は子供を助けた英雄になった。
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