第36話 白夜の告白
モンクママとサムは家のリビングで向かい合い話をする。 真面目な雰囲気に包まれる。
サムはこの雰囲気が苦手な為、そわそわしてしまう。
「 サム君。 あなたはもしかしてクロニクル星人? 本で見た事があるの。」
サムは言葉を選びながら話す。
「 実はそうなんですよね。 彷徨っている所を晴斗君に助けて貰いました。」
「 そうだったの……。 あまり答えたくないかも知れないんだけど、聞きたい事があるんだけどいい?」
サムはゆっくり
「 何の為に地球に来たの? 」
少し黙って考えてしまう。
「 ママさんは色々調べたみたいで詳しいから分かると思うけど、少し互いの利害が一致しなくてケンカしてたんですよね……。 あまり話せないんだけど、僕は分かり合いたくて来たつもりです。
この言葉にだけは嘘はありません。」
その目は嘘偽りの無いような真っ直ぐな目をしていた。
「 そうだったの…… 。 でも昔に色々あったみたいだけど、皆が皆悪い訳じゃないのよ?
これだけは分かって欲しいの。 」
サムはその言葉を聞くとニッコリしながら答える。
「 ここに来てから色々あったんですよ。
毎日が本当に楽しかったです。 見ず知らずの僕を助けてくれたのは、晴斗だけでした。
本当に、本当に嬉しかったんですよ。
あの日に晴斗君に会って、もっともっと人間を知りたくて今日まで厄介になってしまって…… 。
人間は良い人も沢山居る事が分かりました。
僕は…… 人間が大好きになりました。
あっ! 因みに晴斗君には内緒にしてもらえます?
晴斗君は気にするから。」
「 うふふっ。 本当に変わった宇宙人さん。
あなたがあの親子を助けてる姿を見て、絶対に悪い宇宙人じゃないと思ったの。 むしろもっと知りたくなったわ。 好きなだけ居てね? サム君。」
サムはその暖かい言葉が嬉しかった。
それと同時に罪悪感も感じていた。
ママさんにも言えない事があったからだ。
サムはグッ!っと歯を噛み締めながら、もどかしくも内緒にするのだった。
学校では紅葉と白夜が別れた事が広まっていた。
紅葉狙いの男子は傷付いた紅葉にアプローチしまくり。 モンクは内心嬉しくもあり、紅葉の事が心配になっていた。
白夜は相変わらずで、別れてもお構い無しに他のクラスの女子とイチャイチャしていた。
イケメンで酔っている白夜らしい。
モンクはその光景を見てイライラしていた。
モンクにとってはその結果の方が良かったのに、モンクは紅葉をフって傷付けて、直ぐに他の女子の所に行く白夜が許せなかった。
ビビりだけど怒り、白夜の元へ行く。
「 白夜!! ちょっと
お前みたいなデリカシーない奴は許さない! 」
女子との会話を止め、白夜の表情は怒っていた。
「 良いぜ? 弱虫野郎。 近くのパンダ公園でケリつけるか? 」
二人はにらみ合い、公園に向かう。
大きな公園で噴水があり、とても綺麗な公園。
モンクは白夜に素直な気持ちを伝えた。
「 何でフったんだよ! あんなに紅葉ちゃんが好きで色々尽くしてくれたのに…… 。
お前にはその気持ちが分からないのか? 」
白夜は鼻で笑う。
「 本当お気楽な奴だよ、お前は。
重かったんだよ。 何もかもが…… 。」
「 ふざけんな!! 」
モンクは走って白夜に飛びかかるが、軽く避けられてしまい転んでしまう。
「 本当だせぇな。 お前みたいな奴が紅葉の事が好きだとか笑えるぜ。 出来損ないの弱虫で、助けて貰いっぱなしのお前が。」
正直その通りだった。
モンクは弱虫で紅葉がいつも助けてくれていた。
「 僕は弱虫だったかもしれない…… 。
でも紅葉ちゃんの事を思う気持ちは、お前なんかに負けてない!! こんのぉっ!! 」
モンクのへなちょこパンチが白夜の頬に当たり、軽く吹っ飛ぶ。
「 痛ぇ! お前は昔から今まで本当にうぜぇんだよ。 俺に干渉してくるんじゃねぇよ! 」
尻餅を付きながら激しく罵倒する。
モンクは全て気持ちを伝えたので、帰ろうとする。
「 白夜。 僕達は幼稚園の頃から一緒だったよね? 僕はもっと仲良くなりたかった。
今でもそう思う…… 。 次紅葉ちゃんを傷付けたら絶対に許さない。 分かったな? 」
モンクは帰ってしまう。
白夜はその場で大の字になり、空を見ながら寝転がる。
「 仲良く出来る訳ねぇんだよ…… 。 絶対に。
お前何かに…… 。 」
そこへ海荷が通りかかる。
「 ほいっ。 ハンカチ。」
「 何のつもりだよ? 暇な野郎だな。」
海荷は隣に座りしゃがみこむ。
「 あんたって不器用だね。 見てたらなんとなく分かった気がする。 あんた…… 紅葉の事まだ好きなんじゃない? 」
白夜は下を向き言い返して来ない。
「 もしかして紅葉の為に身を引いたの? 」
「 本当にギャルは口が軽いな。 勝手な妄想だな。 何でそう思う? 」
海荷はモンクに片想いで遠くでずっと見ていた。
白夜を見たときに、何故か自分と重なって見えていたのだ。
「 あんたがモンク嫌いなのって、紅葉が好きだから? それとも…… 。」
白夜は確信を突かれ、立ち上がり言い返す。
「 ああ。 そうだよ。 お前に何が分かる!
紅葉の心の中にはいつもアイツが居る。
負けねぇように、いつもいつも頑張って色々やってた。 だけどいつもアイツは俺より速かった。」
「 速い? 何の話? 」
白夜は海荷に真実を話始めた。
白夜の心の中を。
「 鶏小屋の話知ってるか? 」
それは紅葉が小学一年のときに閉じこめられ、白夜が助けて紅葉が好きになった出来事。
「 あの話には裏がある。 あの日、真っ暗な鶏小屋で必死に助けようとしたのは俺じゃない…… モンクだ。」
「 えっ!? どう言う事?? 」
実は閉じこめられ、日は落ちて暗くなり泣いて居ると、モンクは一緒に帰ろうと思い探していて紅葉を見つけたのだ。
モンクは必死に泣き止むように、慰めながら鍵をこじ開けようとした。 でも子供の力ではびくともしない。 モンクはその時必死に考えて、大人の人に頼る事を考えたのだ。
急いでその場から走って自分の家に向かった。
モンクは焦りすぎて、職員室の先生では無くて何故か両親に助けを求めた。
廊下を走っていたとき、白夜ど肩がぶつかった。
「 モンクどうした? 」
「 紅葉ちゃんが大変なんだ!
僕は親呼んで来る! 」
白夜は直ぐに思った。 先生に助けてもらえば良いことを。
職員室に行き鶏小屋の鍵を貰い、直ぐに白夜は紅葉の所へ向かい鍵を開けた。
紅葉は不安だったのが解放され、必死に抱きついて来た。
「 ありがとう白夜君! ずっと一人で不安だったのを勇気づけてくれて。」
モンクが必死にやってた行動は白夜がやっていたと思い、勘違いしてしまったのだ。
白夜は紅葉が一生懸命感謝を述べてるのを見て、つい言い出せなくなってしまう。
暗くてパニックになっていたのもあり、紅葉にはモンクだったと判別出来なかったのだ。
その日から紅葉の事が気になり、モンクの良いとこ採りをした事への劣等感もあり、モンクへ対抗意識が生まれたのだ。
「 その日から俺は紅葉の前で格好いい事をしようとすると、アイツが先に動いてんだよ。
まっ、アイツはテンパると空回りするから全然紅葉に格好いい所見せられて無かったけどな。
俺はアイツがやろうとしたのを、いつも横からかっさらう負け犬だったんだよ。
情けなさねぇ奴だよな。」
白夜の告白により海荷は言葉を失ってしまう。
あのクラスのイケメンはずっと、モンクに対抗意識を燃やし嫉妬していた事。
「 情けなくなんかないよ。 だってアンタも紅葉を沢山見てたんだろ? だから直ぐに動いてたんだし。 アンタはモンクに負けないくらい好きだったんだね。」
白夜は声を出さずに涙を流した。
本音を話して少し解放された気がした。
「 ギャルに何話してんだ俺は。
直ぐに忘れろよ? 良いな? 」
恥ずかしくなり直ぐに帰ろうとする。
「 白夜。 ちなみにモンクは家に帰ってどうしたの? 」
また白夜は鼻で笑いながら語る。
「 その日は雨で、必死に走って帰ってる途中で傘は壊れてビショビショ。 家に帰っても親が居なかったのかな? また直ぐに学校へ来る途中で、俺が付き添って紅葉を家に送ってく時に遭遇したんだ。
アイツは恥ずかしくなって、直ぐにバレる前に隠れたから紅葉は知らない。
次の日、アイツ風邪引いて休んじまったんだよな笑。 アイツらしい空回りだよな。」
白夜は馬鹿笑いしながら話す。
「 本当にアイツって子供の頃から、ボンクラでおっちょこちょいマンだったんだな笑。」
海荷も笑ってしまう。 モンクらしかったからだ。
誰かの為に必死に頑張る姿は、今も昔も同じだったのだから…… 。
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