第34話 揺れる心


事件は一件落着すると、紅葉は直ぐにモンクの家に向かった。 どうなったのかが心配で仕方なかったからだ。

直ぐにモンクの家に入ると、モンクはシップや絆創膏で応急手当が済んで伴とゲームしていた。


「 モンク! 少し上手いからって調子に乗るなよ! だから女みたいにナヨナヨしてんだよ。」


「 関係無いよ。 文句言ってないで勝ってみろ。」


二人は楽しく遊んでいた。


「 モンクン!! そんなにケガして何考えてんの。 もっと酷い事されたらどうすんのよ。」


紅葉は自分のせいで見ていられないような姿になり、凄い責任を感じていた。


「 大丈夫、大丈夫。 ちょっと怖かったけど、僕も男だからね。 守って当たり前だよ。」


「 そうそう。 コイツも少しは男な部分があったみたいだな。 あんまり気にすんなよ。」


伴も紅葉を励ます。 モンクはケガの痛みや腫れはあったが、紅葉の為なら男の勲章に感じた。


「 モンクン。 絶対に次はこんな無茶しちゃダメだからね? 後…… ありがとう。 嬉しかったよ。」


そう言って夜も遅いから直ぐに帰って行った。

伴もちょうど良いから一緒に出て行った。

二人で帰りながら少しだけど話をした。


「 モンクンはいつからあんなに危ない事するようになったのかな? 本当にもう!! 」


伴はポカンとしてしまう。


「 えっ? アイツってずっと前から変わんねぇと思うぞ? 」


「 えっ?? 」


伴はモンクの空回りをずっと前から見せられていた。 その空回りは自分の為よりも、誰かの為に何か力になろうとする空回りが多かった。

空回りも急いでやろうとするからだった。


「 って言うかアイツは特にお前の為にする事が頑張り過ぎて空回りしてる事多いぞ笑。」


紅葉もモンクが誰にでも優しいのは知っていた。

だけど自分の為に何かしようとしていて、空回りをしていた事なんて知らなかった。


「 そんな訳ないよ。 だって私は幼なじみでいつも一緒だったんだよ? 気付かない訳ないよ。」


伴はクスクスと笑う。


「 近くに居すぎて見えねぇもんもあんのかもな。 面白い事教えてやろうか?

俺はアイツの空回りを見るのも好きだったから色々知ってんだ。

昔のアルバム見てみ? ほとんどにアイツも写ってんだよな。 いつもミスしてるんだよな。」


伴と別れて直ぐに部屋に行き、直ぐにアルバムを開いた。 小さい時の頃から見ていった。

幼稚園の時の運動会。 紅葉はリレーで走ってる写真。 その写真には走ってる紅葉を走って応援していて、つまずいて転びそうになるモンクが写っていた。 一生懸命なモンクらしい姿だった。


小学校のとき、修学旅行で女の子達で記念写真を撮ってある写真。

モンクは折角の記念写真だから離れようとして、他の人にぶつかってまた写り混む。

見てみると沢山あった。 紅葉の知らないモンク。

いつも紅葉は見守ってもらっていた事が分からなかった。 だって成果が出てない事がほとんどなんだから。 じゃあ何故モンクは紅葉にはその事を言わないのか?

それは直ぐに分かった。


「 本当に、恥ずかしがりやなんだから。

私が守ってたんだと思ってたのに、本当はモンクンの方が守ってくれてたんだね。」


遂、嬉しくなり涙が出ていた。

その後に白夜から、電話で励ましのお話をして1日が終わった。

でも紅葉の心には、今までに無かった感情が生まれていた。 本人は気付いてはいなかった。


次の日。 紅葉は学校にいつものように行き勉強をする。 休み時間に友達と話をした。

昨日の話で持ちきりだった。


「 モンクンがあんなに頑張って走ったりする所初めて見たの。 ビックリしたの。」


「 本当に紅葉は鈍感だよね。 」

「 本当、本当。」


「 えっ? どう言う意味? 」


周りの女友達は皆は知っていた。


「 モンクってずっと前から紅葉の事好きなんでしょ。 周りから見たら直ぐに分かるわ。

いつも紅葉見てる事多いし、紅葉の休んだりした時も一生懸命ノートを自分のと合わせて2冊書いてるし。いつも紅葉に見せてんだろなぁ? って思ってたよ。」


実は紅葉はモンクにノートを見せて貰った事は無かったのだ。 いつも学校に休んだ次の日は、早く行き友達に見せてもらい写していた。

だからモンクは折角書いたノートは無駄になっていた。


「 私は知らなかったよ。 鈍感過ぎだよね。

でも私には白夜が居るからどうでもいいよ笑。」


「 そうだよね。 あんなおっちょこちょい関係ないよね。」


笑いながら話は変わりみんなで世間話をした。

紅葉は一つウソをついてしまっていた。

どうでもいい何て嘘だった。

紅葉はモンクを恋愛対象と見た事は無かった。

その日から紅葉はモンクの事が気になってしまうのであった。


またそこから月日が流れてクリスマス。

みんなそれぞれ楽しいクリスマスの計画を立てていた。 モンクはサムと初めてのクリスマス。

桃と海荷と伴やキムナリ君と家でクリスマスパーティーをする事に。

モンクは両親が離れているので、いつも電話をするだけで一人きりのクリスマス。

だから今年は最高の一日になりそうだった。


紅葉は白夜とクリスマス。

あのストーカーの事件の後から少しギスギスしていた。 別に何があった訳ではない。

でもお互いに少し壁を感じていた。

だから紅葉はこの日に関係を取り戻す為に、色々な計画を立てていた。

綺麗な服を着て白夜にプレゼントを用意して、美容室で髪をセットしてもらい準備万端。

さぁ、白夜の元へ。


その日は寒く、天気も悪い。

待ち合わせのカフェでお茶をして、その後にイルミネーションフェスティバルに行く事に。


「 白夜くーん。 お待たせ。」


「 おう。」


白夜はいつものように愛想悪く上の空。

すかしてカッコつけてるのか? 紅葉は自分が頑張って心を開かせてやろうと考えていた。


「 これクリスマスプレゼント! はい。」


「 わりぃな。」


中身を開ける事なく鞄に入れる。

少しショックだったけど仕方がないと思っていた。


「 あのプレゼントは?? 」


「 面倒臭くて買うの忘れたわ。」


とても傷付いてしまう。 折角のクリスマス。

大好きな白夜に何が貰えるか楽しみにしていた。

だから悲しかった。


「 そうなんだぁ。 なら仕方ないよね。」


涙を流さないように必死に隠す。


「 前から思ってたんだけど。 俺の事好きじゃないだろ? 」


「 そんな訳ないじゃん! 大好きだよ?

だって告白したの私だよ? 」


紅葉もビックリしてしまう。 動揺を隠せなくて焦ってしまう。


「 あの日からモンクの事気になってんだろ? 」


「 そんな訳……。」


意表を突かれて上手く言い返せない。


「 やっぱりな。 無理すんなよ。

俺も全然本気じゃなかったし、別れた方がお互いに良いかもな。」


「 本当に白夜君が好きだよ? だから、」


白夜は立ち上がり。


「 俺の事いつ好きになった? 」


「 それは小学校のとき鶏小屋で助けてもらって、それから気になって。」


白夜笑いながら帰り始める。


「 じゃあ、やっぱり合わないのかもな。

じゃあな。 」


紅葉には訳が分からなかった。

そこから動けずに泣いてしまう。


「 何で…… グスッ。 息なり酷いよ。」


白夜は帰りながら上を見ると雪が降り始める。


「 雪かぁ。 イルミネーション見たら綺麗なんだよなぁ。 本当に情けない男だな。 俺は……。」


白夜は一体どうしたのか?

白夜はプレゼントを開けると、手編みのマフラーが入っていた。


「 本当におめぇな。 アイツは合わないんだよ。 俺には……。」


帰りながらマフラーを巻いて帰るのだった。


その頃、モンク達は家でパーティーしていた。

サムは顔の周りケーキだらけ。

モンク達も大笑い。 伴もはしゃぎ過ぎて、モンクに無理やりケーキを食べさせる。


「 ゲホッ! ゲホッ! 無理やり過ぎるよ。」


「 悪い悪い。 手が滑った笑。」


「 モグモグ! 僕にもやっておくれよ。」


サムも伴のイタズラされたがる。

みんな笑いまくり。 楽しい楽しいクリスマス。


その頃紅葉は一人でイルミネーションを見ていた。 そのイルミネーションは本当に綺麗だった。




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