第30話 本当の気持ち


色々な事があり次の日になった。

モンクが目が覚めると、何故か布団の中に居た。

可笑しいなぁ…… 確か伴の為に必死に頑張っていたはず。 記憶を呼び覚ますようにさかのぼると、隣には看病で疲れて眠ってしまった桃がいた。


( えっ!? 何で桃ちゃんがここに?? )


全く状況が掴めないままいると、サムが部屋に入って来た。


「 晴斗君おはよう。 昨日は色々大変だったね。」


「 うん。 ちょっと頑張り過ぎたかな笑。」


サムは少し怒っていた。


「 ( 能力 ) 良くもあんなに人前で見せたね?

まぁ、キミがしたのだからそれだけ必死だったんだろうけど……。」


バレバレだった。でも怒られると分かっていてもやって良かったと思っていた。


「 ごめん…… やらなかったら後で絶対後悔するから。 にしても、何で桃ちゃんが何で居るの? 」


「 何言ってんだよ。 昨日倒れたのを伴君と桃ちゃんが運んでくれて、晴斗君の事を必死に看病してたんだよ。感謝しないと。」


凄い迷惑をかけてしまったようだ。 伴はともかく桃ちゃんにまで迷惑をかけているとは思わなかった。

二人が話してる声で目が覚める。

具合が良くなり、起き上がってるモンクを見て安心して抱きつく桃。


「 モンク君。 何で無理ばっかりして。

こんな…… ボロボロになって。」


桃は心配で仕方なくて泣きながら訴えて来た。

モンクは申し訳なさでいっぱいになっていた。


「 ごめんね。 看病してくれて本当にありがとう。 誰かの為になると、止まれなくなるんだよね。」


桃はとっさに抱きついたが、我に返りモンクに抱きついている事に恥ずかしくなり慌てて離れる。


「 あわあわあわ…… 全然気にしないで。

看病も勝手にした事だから。 でもモンクは自分の事をもっと大切にしなきゃダメだよ?

他人に思うように自分も大切にしないと! 」


モンクはその言葉を聞き、急に笑ってしまう。


「 あっはっはは! ごめんね。 何かいつも紅葉ちゃんにも言われてる事と同じ事言うから、何か可笑しくなっちゃって。」


紅葉はその話を聞いて、やっぱりいつも人の為にばっかり動いてるのは今に始まった訳ではない事がなんとなく分かった。


「 お腹減ったね。 僕がお礼に何か作るよ。」


ふらふらな体で立ち上がろうとする。

慌ててモンクを止める桃。


「 何言ってるの!? 昨日あんなに大変な目にあったのに…… 今日はお休みだから時間あるから、私がご飯作るから大丈夫だよ。だからじっとしてて。」


桃に迷惑掛けっぱなしだった。 仕方なくゆっくり横になる。

すると、伴が訪ねて来た。 モンクが心配で居ても立っても居られなかったのだ。


「 モンク…… 大丈夫か? 体は大丈夫か? 」


伴はいつにもなく元気は無かった。


「 全然大丈夫だよ。 いつも殴られたりして慣れっこだよ笑。」


皮肉混じりに返答する。 照れ隠しでもある。


「 悪い…… 。 昨日久しぶりに家に帰ったら、お袋に泣かれてな。 何か色々みんなに迷惑掛けて。

本当すまない。」


凄い反省していた……。

モンクはらしくない伴に腹が立っていた。


「 何言ってんだよ! いつも伴君は誰かに迷惑掛けて当たり前だろ? もう学校休んじゃダメだぞ?

僕との約束だ。」


伴は肩の荷が降りた。 伴も新な一歩を踏み出す事に決めた。


「 ああ。 約束だ! お前も体早く治せよ?

いじめる相手が居ないと、行く意味ねえからな。」


照れ隠しに悪ぶる。伴らしい行動だ。


「 伴君らしくなったね。 でも僕も抵抗するよ。

必死にね笑。」


二人は笑いあっていた。 二人はあの頃のように仲良しに戻っていた。 二人をこっそり見守る桃とサム。


「 本当に男って分かんない笑。」


「 本当にね。 興味深いよね。 勉強になる♪ 」


桃とサムは二人を少しそっとしていた。

その後みんなでモンクの部屋でご飯を食べた。

モンクを相変わらずからかい、必死に言い返すモンク。 桃もサムもそんな二人の会話聞いて、笑いが止まらない。


モンクの伸ばした手はしっかり届いていたのだった。


少しして二人は帰る事に。 モンクはまだ全快してないから休む。

二人は帰り道で少し話をしていた。


「 本当にあいつはお節介だよな。

こんな俺の為に……。 バカな奴。」


「 本当にね。 友達だからほっとけないのね。

モンク君らしい。」


モンクの話題しかでない。


「 気になったんだけど、桃はモンクが好きなのか? 」


慌てて隠そうとする。


「 あわあわあわ…… 好きは好きだけど、それはありゃ。 そう! 友達としてでして。 だから。

あのぉ……。」


一目瞭然だった。 桃は分かりやすい性格。

顔にも直ぐに出てしまう。


「 そうかぁ。 あいつは最高の親友だ!

これからも宜しく頼むな。」


伴はモンクの事を好きになってくれる人が嬉しかった。 今までそんな人が居なかったから。

だから本当に嬉しかった。

二人はモンクの話をしながら帰るのだった。


そして月曜日。 モンクの体調はまだ悪くお休み。

隣の席の海荷は心配する。


( あいつ…… 何で休んでんだよ。

ずる休みか? にゃろぉ〜。)


伴が久しぶりに登校してきた。

周りはガヤガヤしながら、話題は伴の事で持ちきりに。


( 伴君久しぶりに来たね。 悪い連中とまだ付き合ってるのかしら? )


色々周りから言われてしまう。

伴は自分の犯した過ちを味わう。


「 俺はもう間違えた真似はしねぇよ!

だから絶対に迷惑かけないから。

迷惑かけて本当に…… 悪かった。」


伴はみんなに聞こえる声で自分の意思を伝える。

迷惑をもうかけたくなかったからだ。

周りは伴の反省の姿に驚愕した。

あのガキ大将の伴が、みんなに謝るなんて夢にも思わなかったからだ。

みんなは返答はしなかったが、何となくその気持ちを受け止めるのだった。 そして腰巾着の仲間達が近寄って来て、いつもの伴メンバーの完成。

腰巾着達も伴が居なくて寂しかったのだ。


海荷はもしかしたら、伴が学校に来たのとモンクが学校を休んだのは何か関係があるのか?

と気になってしまう。 居ても立っても居られ無くなり、海荷は伴の元へ向かう。


「 おい、いじめっこ! 改心したのは良いけど、モンクが関係してんの? 」


伴はその質問をされると、暗くなりながら答える。


「 ああ。 …… あいつが俺を止めてくれたんだよ。 後は仲間からも抜けられたしな。」


海荷は察した。 またモンクは( 能力 ) を使って疲れてしまったのを。 海荷もモンクの事を良く分かってきた。


「 あんたは…… 全く。 モンクは大丈夫なの?

ケガとかはしてないの? 」


「 まぁ…… 色々とぼこぼこにはしちゃったかも。 寝てれば治るって。 多分大丈夫。 気にすんなよ。」


海荷は顔には出さなかったが慌ててしまう。


( どうなってんの? ぼこぼこ? あのヘタレに?

看病は誰が? 宇宙人に出来んのかよ!

…… よぉーし。 任せておけよ。 恩返しだ!)


海荷は恩返しをしようと計画を立てるのだった。

そして海荷に電話が掛かって来る。


「 もしもし? 店長? どうしたの? 」


「 ああ。 海荷ちゃん? 実は今日鈴木君が体調不良の為、お休みするんだけどバイト入れないかな?」


何と言うバットタイミング。

海荷は少しだけ考えて、直ぐに返答する。


「 用事あるから無理です。 ごめんなさい。

他当たってもらえます? 」


海荷は看病を選んだ。

店長が落胆しながら電話を切る。

海荷は放課後に買い物をしてから、モンク家に向かう予定を立てるのだった。


海荷は学校が終わると直ぐに走ってスーパーに行き、モンクの好きな食べ物を沢山買い込む。

そこから直ぐに家へ向かう。

必死に走り、汗を沢山かいてしまう。

海荷が走るのは珍しかった。


家に着いてチャイムを鳴らす。

すると、サムが出迎える。


「 海荷ちゃん。 どうしたの? 」


海荷はモンクを気にして来たから入ろうとすると、中からモンクの声と女の子の声が聞こえる。

聞き覚えのある声だ。

…… 桃の声だった。

海荷は先客が居るから、恥ずかしくなり入るのをためらう。


「 これ。 モンクに食わせて。 果物沢山買って

来たから、早く治せって言っといて。」


そう言い、海荷は帰ってしまう。

サムはキョトンとしながら、果物を持って家に入る。


海荷は自分の意気地無しな所に呆れてしまう。

何故入らなかったのか? 桃が居て恥ずかしくなったから? 今要約理解した。


「 ウチ…… あのボンクラに惚れてるのかも。」


自分の気持ちに気付き、やることもないからモンクの代わりにバイトに入るのだった。

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