第29話 能力の暴走


モンクを馬乗りしてた奴がぶっ飛んでいった。

モンクの超パワーがモンクの意思に反応して、自動的に発動したのだ。

不良達も慌てまくる。 それはその筈。

人間があんなにぶっ飛んだ所を見たことがなかったからだ。


「 どうなってんだ? あいつ何しやがった? 」


「 舐めやがって! くらえっ!! 」


鉄パイプを思いっきり振り下ろす。


ブンっ!! ガシッ!!

モンクは鉄パイプを易々と手で受け止めていた。

超反応の能力によりどんな物も人より反応が速い。

そして超パワーにより力も人間の何倍も強くなってるから、鉄パイプなんかはおもちゃレベルになっていた。


「 人に使って良い道具じゃないぞ? 」


そして易々と鉄パイプを丸めてしまう。


「 うわぁーーっ! どうなってんだ!? 」


周りもざわつく。 ボスも座って見ていたが流石にビックリして立ち上がる。

倒れてる伴も驚きが隠せない。


( モンク。 どうなってんだ?? )


直ぐに残りの不良達が飛びかかってくる。

ヒュイ! ヒュイ!

簡単に右へ左へパンチやキックを避ける。


「 大した事ないな。 なら痛い目を味あわせてやるよ。」


避けながらデコピンをおでこに一発……


バチンッ! 凄いスピードでふっ飛ぶ。

ゴロン、ゴロン。 ドゴォーーンッ!!

沢山の機材とかゴミの山にぶつかり気絶した。


「 後はこれでどうだ? 」


不良に軽くビンタを入れる。

ヴァチーーン!! 不良は空中で回転して倒れてしまう。

あっという間にボス以外を気絶させてしまった。


( あのひょろっこい奴どうなってんだ?

人間じゃねぇのか!? )


ボスも慌てる。


「 ボスさん。 僕は争いが好きじゃないんだ。

仲間を連れて帰ってもらえるかい?

そして伴とは2度と関わらないで欲しい。」


「 ざけんなぁ!! 」


思いっきりパンチをするが軽く避けてしまう。


「 仕方ない…… オラァーーっ! 」


腹にパンチを入れる。 ぐにゃぐにゃ!

腹にめり込むようにパンチが入る。


「 うぐぅああぁっ!! 」


凄い威力の為倒れ込んでしまう。

気絶しないだけ流石はボスだった。


「 クソすげぇ威力じゃねぇか。

もっとやってみろよ? 」


「 分からないなら何度でもしてやるよ。

ウラァーーっ!! 」


モンクも怒りのせいで我を忘れていた。


「 モンク!! もういい! ボスはもう耐えられない。 やめろぉ!! 」


その言葉を聞いて拳が止まり、モンクは伴の事を見る。


「 はぁ…… はぁ。 伴君……。 止めてくれて

あり…が…… とう。 」


バタンッ!! 思いっきり倒れてしまうモンク。

ボロボロの状態で能力を最大限に出して、モンクは限界を迎えていた。


「 伴君に…… 手を出してみろ?

僕が…… 黙ってない…ぞ。 大切な友達、、、。」


モンクは気絶してしまった。


「 モンク! 大丈夫かぁ!? おいっ! 」


駆け寄り様子を伺う。 命には別状ないようだ。


「 痛えな。 伴! 勝手に何処にでも行けよ。

二度と来るんじゃねぇよ。 分かったな? 」


「 ありがとうございます。 翔さん! 」


ボスはボロボロなのに清々しい気持ちだった。


「 伴。 バカな友達だな? コイツは。

お前みたいな不良を学校に戻って来いなんて。

俺もちゃんと学校行ってたら、コイツみたいな

友達出来たかな? 」


ボスは学校を辞めた事にいが残っていた。 ボスの翔が欲しかったのは本当の友達だった。


「 翔さん。 絶対出来たと思いますよ。

これから生きて仕事したりしてれば、絶対本当の友達に出会えます。 間違えた道に行っても戻って

やり直せば良いんですよ! それと……

俺を仲間に入れてくれてありがとうございました。

少しだったけど楽しかったです。」


伴はモンクを背負い帰って行った。

倒れながら翔は笑いながら少しだけ涙を流す。


「 本当バカだったよな俺も! あっははは。

ただの無駄な抵抗だったな。 やり直せるかな?

何度でもやり直してやるか。 お前ら、起きろ!

サツ《警察》が来るぞ。 逃げるぞ。」


翔と不良達はボロボロになりながらも立ち上がり、逃げていきました。 これから翔達は少しでも真面目に働いて生きて欲しい。

間違えても何度でもやり直せるのだから。


伴は背負いながらアジトを出て、モンクの家に向かう。


「 モンク。 大丈夫か? おい。」


「 伴君…… 学校に行こうね。 一緒に……。」


モンクはまた気絶してしまう。


「 モンク。 ごめんな。 今までいじめて。

恥ずかしかっただけなんだ。

みんなお前を笑ってるから。 でももう違うぞ?

俺は本当の意味で強くなる。 お前のようにな! 」


伴も沢山ケガしていて辛かった。

でもモンクを背負って歩く事で、とても心が安らいでいた。 伴の迷いや不安はもう無くなっていた。

一緒に家に向かう二人は、あの頃の仲良しだった

モンクと伴だった。

歩いていると桃が近寄って来た。


「 ごめんなさい! 途中まで見てたんだけど

あまりにも衝撃的で、気絶しちゃって……。

モンク君!? 大丈夫?? どうしよう……。」


「 俺のせいだから……。 家まで運ぶよ。

桃は家に帰りな? 」


桃は帰ろうとせず付いてきた。


「 心配だから。 私も行くの。 ぐすっ。」


桃はボロボロなモンクを見て泣きべそかいていた。 伴は歩きながら気になってる事があった。


モンクの人間離れした(力)の事だった。

気になりながらも家にゆっくり、ゆっくり歩いて行くのだった。

家に着くとサムが迎えてくれる。

サムの表情は暗く、モンクを見るなりやっぱりな。

と言わんばかりの表情をしていた。


「 さぁ。 皆さんどうぞお入り下さい。」


伴達はモンクの家にお邪魔する事に。

直ぐにリビングで伴とモンクの手当てをする。


「 モンク君。 大丈夫? 凄いケガばかり……。」


「 …… 俺がやったんだ。 全部俺が……。」


伴は自分のした事を恥じていた。

桃は怖い顔をしたが、直ぐにニッコリする。


「 モンクね。 伴君の事凄い心配してたんだよ?

だから、あなたの力になりたくて必死だったんだよ。 モンク君言ってたの。 伴君は見た目程悪い奴じゃないって。 良いところも沢山あるって。

だから信じてるの。 伴君が優しい人だって! 」


伴はその話を聞いて、どれだけみんなに迷惑を

かけたかを思い知らされた。

サムがお茶とお菓子を持って来た。


「 酷いケガだから治るには時間かかるかもね。

ゆっくりしていってよ。 それとありがとう。」


サムは深々と頭を下げる。


「 サムって言うのか? ごめんな。

友達をこんなにしちまって……。」


「 君の事は沢山聞いていたよ。 だから会う前から、良い奴だって知ってたよ。 君も不器用だって思ったから。 晴斗君と同じで。」


サムには伴の特徴が良く分かっていた。

だってモンクと同じ不器用だったのだから。


「 晴斗君の事は気にしないで。 本人の意思でやった事だから、後悔はないと思うから。

それに二人は晴斗君の大切な友達だから、秘密を守ってくれると思うから全て話すね……。」


サムは宇宙人である事を話して、能力の使い方をモンクに教えた事も話した。 能力を人に向けて使うとはサムも思ってもみなかった。

それ程モンクが必死だったのだと悟っていた。

ケガだけではなく、限界状態での能力使用がここまでモンクを傷つけたのだと語る。


「 サム。 本当なの? 宇宙人だって……。

全然気にしないけど現実味無くて。 モンク君は大丈夫なの? 」


「 大丈夫! 僕が見るには沢山睡眠取って、休息を取れば直ぐに治るよ。」


「 あいつがあんなにも強かったり、鉄パイプを受け止めた時に何か変だとは思ってたよ。

絶対誰にも言わないよ……。 そろそろ帰るな?

明日も来るから。」


罪悪感により元気がない伴は帰って行った。

桃は心配なので看病したくて、家に連絡して当分は居ることにした。


「 サム。 ( 能力 ) ってどんなの? 見せてくれる? 見たことないから。」


桃は興味津々だった。 当然の反応。


「 良いよ。 じゃあねぇ〜〜、ホイッ! 」


テーブルに乗ってるオヤツを軽く浮かせた。


「 凄い!! 本当に宇宙人なんだね。」


桃は感激していた。 能力を見た後はモンクの部屋に行き、モンクのおでこに乗せてあるタオルを交換する。 やっぱり心配だった。

でも寝ているモンクは何故か満足そうな表情だった。 やっとモンクは悩まずに眠れていたのだった。

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