第27話 友達
蹴られてボロボロになりバイト先まで運んでもらう。
( クソぉ……。 伴の奴思いっきり蹴りしやがって。 当分は動けそうにない。)
バイト先に着くと店長が慌てて迎えてくれる。
「 鈴木君!? どうしたんだぁ?
さぁ。 控室の椅子にでも座ってゆっくり休んで。」
海荷は直ぐに仕事場へ。 モンクはゆっくり動けるようになるまで休む。
「 鈴木君。 何があったんだい?
俺で良ければ聞くよ? 」
「 はい……。 実は。」
伴がいじめっこで幼なじみな事。
でも心配になり、伴のお母さんの為にも助けに行く事にして、返り討ちにあったこと」
「 そうかぁ。 色々大変だったね。」
店長は何か色々思い出していた。
「 俺にもね。 幼なじみの友達が居てね、不良に憧れて学校辞めちゃってね……。」
「 そんな事があったんですか? 」
店長は思い詰めた表情で語り始める。
「 俺はね、親友だったその友達を周りの目を気にして手を差し伸べる事は出来なかったんだ。
自分の意思で戻って来ることを期待して。
でも、ただの甘えと面倒だったからなのかもね。
学校を辞めた後に悪い連中と遊び回り、バイク事故で亡くなったんだ……。」
店長にとっても心残りのある、友達との過去を聞かされた。
モンクはその友達と伴が重なって見えた。
もし間違えたら伴も同じ道を辿ってしもうかもしれない……。
「 俺はね。 そのときの自分を今でもずっと恥じてるんだ。 あの時もし止められてれば、一緒にラーメン屋やれてたのかなって。 あいつもラーメン好きだったから。 後からならなんとでも言えるからね。
だから鈴木君には後悔してほしくなくて。
もし少しでも迷いがあるのなら……。
年長者の戯れ言だったね笑。 ごめん、ごめん。」
モンクにはとても他人事には聞こえなかった。
伴はモンクと今はそんなに仲は良くないが、幼稚園の頃とかはずっと側にいた。
少し昔の事を思い出していた……。
幼稚園の頃、モンクは直ぐに泣いてばかり。
周りの友達にからかわれては泣くの繰返し。
するとそんな時、伴が現れたのだ。
「 お前。 ずっと泣いてばっかりいるなぁ?
もっと強くならないとダメだぞぉ? 」
伴はいじめる奴らを一人で追い払ってくれた。
「 ありがとう。 でも、僕…… ケンカとか全然出来ないし。 怖いんだぁ…… 。」
「 何言ってるんだよぉ? なら出来ないんだったら、俺が助けてやるよ! その代わりにお菓子ちょっと分けてくれる?? 」
人の物を取るのは昔からだったのかもしれない。
「 うん! 良いよぉ♪ どうぞぉ。
あの…… もし良かったら友達に……。 」
「 ん? 何言ってるんだよ!
俺達はとっくに友達だろ? 」
モンクはその時初めて友達が出来た。
思い出したら、伴が初めての友達だったのだ。
その日から伴とモンクはいつも一緒。
幼稚園が終わるといつも二人は家の周りを探検していた。
周りの友達が伴の事を気に入り、探検する仲間は増えて行って、いつの間にか伴の周りには友達がいっぱいになっていた。
段々とモンクの存在は薄くなっていた。
小学校に入り、伴の存在はどんどん大きくなっていた。
伴の周りの友達が、文句をいつも小さな声で言っているモンクを指摘してきた。
「 晴斗。 お前は小さな声で文句タラタラ言いやがって。 お前のあだ名は今日から、( モンク ) だ! 」
そのときモンクになった。
思い出したらきりがないくらい色々あった。
「 店長ありがとうございます。
全然関係なんて無くないです。 店長はその友達の分まで生きてるって僕は思いますよ?
友達の大好きだったラーメンを今は作ってるんだから。」
店長は何故自分がラーメン屋をやっているのか?
ただ単にラーメンが好きだから?
違った。 友達の分まで好きな事を思う存分やる為にも、ラーメンを作ろうと思っていたからだ。
自分でも気付かない内に体は動いていた。
店長はモンクの言葉に少し救われたのかもしれない。
「 ありがとう。 やっぱり最高なバイトだよ。
君は! 俺の目に狂いは無かった。
鈴木君。 君は後悔の無いように生きるんだよ?
人生は楽しんだもん勝ちだ。 楽な道に逃げるな。
絶対に険しい道には、それだけの対価もある。
俺はそう信じてる。」
モンクは店長の話を聞いて、迷いは無くなっていた。 自分がやるべき事を少しは分かった気がした。
店長は何故モンクをここのバイトに入れたのか?
他に体育会系の男の子の方が、店には良かった筈なのに。 昔の自分に似ていたから。
どうしてもモンクを成長させたかった。
だから入れたのだと再確認したのだった。
痛みは無くなり、バイトをするモンク。
今は与えられた仕事を全うするのだった。
次の日、学校を伴はまた休んでいた。
モンクは当たり前にいた伴が居なくなり、やっぱり寂しくなっていた。
いつもはうるさくて、居なくなれば良いと思っていた伴の席が寂しく見える。
「 モンク。 伴の事は仕方ないよ。
あんたのせいじゃないから。 伴は諦めなよ? 」
海荷がモンクに気を使ってくれて話してくる。
心配だったのだ。 モンクの事が。
「 そうだね。 いじめられてたし、もうパン取られないと思うと最高だし! 」
モンクはニッコリ笑った。
その笑顔は作り笑いなのは直ぐにわかった。
お昼の時間に桃からメールが。
( こんにちわ。 モンク君。 今日夕方お時間あるかなぁ? ぬいぐるみ大きなの欲しくて、一緒に探しに行かない?? )
モンクは行きたかったが、やっぱり今は楽しむ事が出来なかった。
( お誘いありがとう。 今日は伴君学校に来てないから、探しに行って来るね。
次はこっちから誘うね。)
返信をして保健室でパンを食べる。
「 大丈夫かい? モンク君。 最近元気ないけど?」
キムナリ君が心配してくれていた。
モンクは表情を隠すのが得意ではないから、直ぐにバレてしまうのだった。
「 大丈夫。 伴君が気になって。」
キムナリ君も深く考える。
「 伴君はただ、今は道を踏み外してるだけなのかもしれないよね……。
でもケンカも強いし、注意したり指摘出来る人ってそう簡単には居ないからね。
取り巻きの二人も今は離れてるし。」
「 キムナリ君の言う通りだね。
伴君の事何だから自分で分かって戻って来て欲しいんだけどね……。」
保健室の先生も話を聞いていて参戦してくる。
「 あたしの周りにも伴みたいの沢山居たよ。
皆簡単に辞めるんだけど、絶対に後悔してるんだよね……。 伴には後悔してほしくないんだけどね。
あいつは見た目程に悪い奴じゃないから。」
保健室の先生も心配していた。
すると廊下から担任の椿先生の声が聞こえる。
「 今日の放課後に伴君に会いに行って来ます。
出席日数ももうギリギリだし、絶対に悪い道には行かせません。」
椿先生も伴の事を心配していた。
放課後に伴に会いに行くようだ。
放課後になり、ゲーセンに椿先生は向かう。
直ぐに伴を見つける。 前の伴とは違い、悪い連中達との付き合いにより見た目もとても悪い。
話をかけるな! と言わんばかりに。
「 伴君……。 先生と帰らない? 」
ビビりな先生にしては頑張った。
「 おいっ! 伴に何の用なんだよ。
先生さんよ。 俺達が話聞くぜ? 」
伴は一切先生を見ない。
周りの仲間達が先生を囲んで来る。
先生は震えが止まらない……。 怖い。
でも逃げたくは無かった。
「 もう伴君と付き合うのは、、やめてください。 お願いします……。」
怖くて怖くて逃げ出したい。
でも伴が大好きだったから、逃げたく無かった。
「 舐めてんじゃねぇぞ!? あん!? 」
伴は聞いていられなくなり、退室する事にした。
ゲーセンの裏口から出て、その場から逃げる事にした。
裏口から歩いて表通りへ向かうとその前に。
「 伴君。 一緒に帰ろう。」
モンクが立っていた。
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