第26話 伴


色々街中を探索したりしてあっという間に、楽しい休みの時間が過ぎていた。

二人は帰る事に。

モンクはこの日は良いところを全然見せられなかった。 例えばオムライスのデミグラスを服に付けてしまい、桃に染みを落としてもらったり転んだりアイスを食べたら、ズボンに垂れてしまい散々だった。

楽しかったのは間違いないが、もう少しカッコいい所を見せたかったモンク。


( 何かダメダメだったなぁ……。)


桃の考えてる事は全然違う。

1日がとても早く感じ、もっとモンクと居たい気持ちになっていた。 桃にとってモンクはカッコいいとは違うかもしれないが、見ていてとても和むのであった。


( 楽しかったなぁ♪ …… おっちょこちょいさんな所も沢山見れたし。)


二人はゆっくり帰っていると雑貨屋さんを見つける。 モンクは良いことを思いついた。


「 あっ! 急にトイレに行きたくなったから、ちょっとトイレ行ってくるね。」


スタスタと走って行った。

一人になり座って10分くらい待っていると、やっとモンクが帰って来た。


「 待たせてごめんね。 良かったらこれどうぞ!

今日は楽しかったから思い出に♪ 」


「 ありがとう。 何かな? 」


貰った小さな袋の中身を確認すると、それはやる気のないペンギンぬいぐるみだ。

見た目は最低。 何故こんな物にしたのか?

ただセンスが無かったのだ。


「 可愛い。 ありがとう。 これ大切にするね。」


桃は凄い喜んでいた。 モンクのプレゼントを貰うのが初めてなのもあるが、単純に気に入って喜んでいた。

桃のセンスはモンクに似ている所もあったのだ。


「 喜んでもらえて良かったぁ。 やる気無いペンギンって言うんだよ。 ペンギンはやる気ないとこんな顔になるんだね。」


桃の喜びゲージはMAXになっていた。

桃は勇気を出して想いを伝えようと考えていた。


( どうしよう? …… 告白したいけどフラれたら

怖いしなぁ……。)


「 じゃあ家こっちだからまた今度ね。」


別れ道になり別方向なので、ここで別れる事に。


「 …… うん。 あの……。」


「 今日はありがとう。 また何処かに行こうね。

今度は僕から誘うから。」


「 うん! 待ってる♪ 」


想いは伝えられなかったが、モンクから次の誘いがあって大満足。

奥手なモンクが言ってくれただけで嬉しかった。


「 じゃあ、またね。」


「 うん。 またね。 ぬいぐるみありがとう♪ 」


そしてデートは終わった。

モンクはウキウキと家に帰る。

スキップ! スキップ! と帰るのだった。


「 ただいまぁ。 サム君。 元気にしてるかい? 」


「 ん? お帰り。 一人だけでズルいぞ!! 」


サムは置いてけぼりの事にカンカンだ。


「 ほいっ! たこ焼きだよん。 これで許して。」


「 たこ焼き?? 許すぅ〜〜。 あむ。

美味いぞぉ〜〜い。」


サムはたこ焼きに大満足で皆ハッピー。

モンクも一緒に食べて、ゆっくり時間が過ぎていった。


次の日。 モンクは学校に行くと昨日のお陰で、最高の気分だった。


「 おいっ。 モンク。 おはよう。

何かご機嫌じゃん。 どうした? 」


海荷だった。 モンクの顔は緩みまくり。


「 おはよう。 えっ? 何にもないよ笑。」


隠しても顔みれば一目瞭然だった。

モンクがトイレに行くと、海荷はモンクの鞄を散策してみる。

鞄の中にはラビットの森のスタンプカードが見つかる。


( ん? あいつはこんなシャレタ店知らない筈。

誰か女の子と行ったなぁ? もしかして桃かな? )


凄い勘が働いていた。

でもモンクが誰と何をしても関係が無い。

忘れる事にした。 何故かモヤモヤしていた。


先生が来て出席を取り始める。


「 今日は伴君がお休みね。」


モンクは少し気になる事が。

伴が最近休みが多いのだ。

モンクはパンを取られるから関係ないが、少し心配になっていた。

休む事はちょこちょこあったけど、さすがに長かった。 二週間くらいは休んでいる。


( 伴君。どうしたのかな?

休み過ぎると卒業出来なくなるぞ?? )


モンクはモヤモヤしてきたので、先生に聞きに行く。


「 先生。 伴君どうしたんですかぁ? 」


「 うん……。 お母さんから風邪で休むって。

大丈夫なのかなぁ? 」


伴の家族構成を説明すると、お父さんが子供の頃に失くなりお母さんと二人暮らし。

伴もバイトしてお母さんと頑張って暮らしてる。

伴のお母さんはスーパーのパートを掛け持ちする、がんばり屋さん。

とても綺麗で伴は絶対に父親似。


それにしても、伴はヤンチャでガキ大将だがお母さんを心配させる奴ではない。

モンクは帰りに家に行ってみることに。


バイトの前に寄ってから行く事に。

ピンポーーン!! チャイムを鳴らす。


「 はぁーい。 あれ? モンク君?

久しぶりね。 どうしたの? 良かったら上がって。」


「 おばさんありがとうです。

それじゃあ、遠慮なくお邪魔します。」


アパートであまり広い家では無いが、ちゃんと掃除もしていて綺麗。

伴のお母さんは若い頃に伴を産んでるので、まだまだ若い30代前半。

羨ましい限りである。


「 おばさん。 伴君は? 」


思い詰めた表情で答えてくれた。


「 …… 伴ね。 最近悪い友達とつるんでいて帰って来ないのよね。 心配だけどたまに電話してきて大丈夫だって言うし。 学校も休み多くて進級出来るかも心配なのよね……。 はぁ…… 。」


休みの理由はそう言う事か。

元々悪ガキだからいつこうなっても可笑しくは無かった。 いきなりどうしたのか?


「 おばさん伴君の居場所分かります? 」


「 えっ? 多分駅前のゲーセンかな?

いつもたむろってるって言ってた。」


「 ちょっと見てきますね。」


モンクは家を後にしてゲーセンへ。

学校から結構離れたゲーセン。 噂によると他校の学生や悪い兄ちゃん達の溜まり場。

モンクとは無縁の場所。

中に入り周りを探すと、金髪や青髪や赤髪の奴らが大騒ぎしている。 その中に伴の姿が。


( なんだあいつらは……。 怖いなぁ。

おばさんの為にも話さないと。)


近くに行くと凄い目付きで睨み付けてくる。

やっぱりヤンチャマン達のようだ。


「 ……あのぉ。 伴君。 一緒に帰ろう! 」


「 あん? モンクじゃねぇか。 何の用なんだよ?」


いつもよりも態度が悪い。 周りの影響力は凄まじいようだ。


「 おい。 こいつ誰だよ伴。 ボコるか? 」


「 待って下さい。 俺がやりますから。

モンク表出ろよ。」


二人は外へ行った。


「 モンク。 もう俺に構うな。

お前にとっても俺なんか学校に来ない方が良いだろ? だから構うなよ。」


「 どうしたの? 伴君はちゃんと学校に来ないと。 みんな心配してるよ? 」


「 んな訳あるかよ。 構うんじゃねぇよ! 」


ドゴオッ!! 思いっきりお腹に蹴りが入る。


「 うげっ! ごほっ! ごほっ!

何するんだよ。 痛いじゃないか。」


モンクは蹴りのダメージにより、立つ事が出来ない。

周りの仲間達も外に来ていて、笑って観戦していた。


「 伴。 あんまりやり過ぎんなよ?

可哀想だろ? 程々にな。」


「 おう。 こんな奴は関係ないからな。」


伴達は何処かへ行ってしまった。

モンクは痛みにより、動けないでいた。


( 伴。 …… どうしたんだよ。

あんな奴らと。 クソ野郎だよ。 痛てて。

思いっきりやりやがって。

もう知らないぞ……。)


動けないでいるとそこに海荷が来た。


「 おい! ボンクラ。 何してんだよ。

こんなにやられて。」


「 あれ…… 海荷ちゃんどうしたの?

こんな所に来て。」


海荷は偶然駅前の方に向かうモンクを見つけ、後をついて来たのだった。


「 偶然見つけただけだよ。 でもあんた何で伴の所何かに来たのよ。 あいつ、何か凄いヤバそうなのとつるんでるし。」


「 あはは。 痛てて。 何でだろうね?

いつもいじめられてるし、ほっとけば良いよね。」


ボロボロモンクを抱えて、海荷はバイト先に行くのだった。

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